発展科学の異端者

ユウ

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4章

63.魔物との戦争 真相編

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 時は戻り、クリスたちの場所にて。

「……」
「クリス様」
「やあ。アイ。よく戻ってきたね」
「はい、すみません」
「何を謝っているんだい」

 クリスは、少しだけ不思議な顔をしていた。

「すみません。予定よりも早い段階で、神が降臨する形になりました」
「……。うん。気が付いていたけど……。確かに早いかもね」
「すみません」

 アイは、謝罪を繰り返し続けていた。それを、リアトが慰め始めた。

「あれは、仕方のないことだった。あの場で、私でも同じことをする。なら、今を見ていこう」
「そうだね。リアト」
「神ねぇぇぇ」

 クリスが、何か不思議なことを口にする。

「クリス様。一つ聞いてもよろしいでしょうか」
「何だい」
「お恥ずかしいことですが、神とは何なのでしょうか」

 アイも、気になる様子だった。それを見て、クリスは少しだけ語り始める。

「あれは、かなり昔の話になる」

 時は遡り1万年以上前の時代。人間社会はかなり発展を遂げることに成功していた。

 だが、その発展した時代が終わりを迎える出来事が起きる。

 噂でしかないが、人間が禁忌に触れることを行ってしまったということ。

 それで起きた悲劇は、世界の平和を一気に覆すことになる。戦争をしていた国も一丸となり魔物と戦いだす。

 だが、人間の抵抗もむなしく散っていく。そんな時に、人々は何を求めるだろうか。

 その答えは、一つだった。

 「英雄」

 ただその一言で終わるその言葉を、人々は追い求めていた。

 英雄は、世界を救うことに成功をした。魔物という脅威は圧倒的な武力で抑え込むことに成功したのだから。

 だが、そんな束の間の平和はあっという間に崩れた。だが、その話は誰も知らない。なぜなら、それを知るものが、この世界に居なかったからだ。

 『英雄譚~破滅の時~』に描かれなかった、もう一つの大きな物語がある。

 その話について、少し語ろうと思う。

 その日は、荒れているとても天気のいい日だった。

「クリスは、凄いよね」
「うん?そうかな」

 クリスには、滅亡しかけている世界で、唯一の友達がいた。名はゼロ。

「うん。すげーや。クリスが守ってくれるから、僕たちは生きていけるんだから」
「そう言って貰えると、嬉しいね」

 クリスは照れていた。多分恋をしていたと思う。だが、その恋は実ることはなかった。

 その日、11時ごろ突然アラームが鳴りだす。

「何?」
「何。何が起きてるの」
「ゼロ。安心して」

 クリスはゼロを抱きしめる。ゼロは少しだけ頬を赤くする。その直後。クリスの携帯電話が鳴りだす。

「対策本部……」

 すぐクリスは、携帯電話の通話ボタンを押す。

「もしもし。クリスです。何が起きましたか」
「ああ。クリス様。大変です。神と名乗る魔物が現れた」
「何だその変な魔物は……」
「ジン様との連絡も絶たれているこの状況は、かなりまずい状況です」

 ジンとの連絡が途絶えたこの状況は、普段の日常なら問題のないことだった。

 クリスは何か嫌な予感はするものの、確実にやばいと感じることができていないので、判断することができていなかった。

「とりあえず行ってみるか……。ゼロ。ここの護衛は任せるけど、無理はしないようにね」
「分かったよ。クリスも気を付けてね……」
「ええ」

 この判断を、クリスは一生後悔することになる。
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