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4章
58.戦争の幕開け
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夜が深まるとき、最悪と呼ばれる少女はその中心に着いていた。
「あの子が、来たって本当」
「そのようですね」
クリスの表情が変わる。
「生物兵器。破壊のメア」
「あの子は、手が付けれないほど、化け物ですからね」
「まあ、あの子を相手できる人間は、この世界に何人いるんだ」
「……。死者はあまり多くならないことを願いますねぇぇ」
「それは、誰のことかな」
クリスの表情が、引きつり始める。
「ねぇ。面白いことをする計画でしょ」
「面白いかは、分からないけどね」
「うーん?私が面白いと思えば、面白いよ」
メアは、少しだけ笑う。そして殺気をクリスにぶつける。その殺気を、クリスも殺気を放ち打ち消す。
「おー怖い」
「どういうつもりだ。メア」
「真王教団は、前回の七星教会との戦争で、大きく均衡が崩れたからね」
「……」
クリスは否定しなかった。むしろ否定ができなかった。
メアは楽しそうに、部屋を出て行こうとする。それを、クリスたちは眺めることしかできなかった。
それぞれの意志が乗った戦争が今始まる。
「ふはっはは」
「ジン様。どうされましたか」
「旬を呼べ」
「旬様ですか」
「ふはははは」
「ジン様……」
「面白い。神はこの道を、選択したのか…」
ジンは笑いながら、ワインを口に含む。そのタイミングで従者がその場を離れていく。
「この夜を照らす、月のごとく、世界を照らす未来へと……。誰が導くというのだろうな」
ジンが見る世界は、遠く遠く手に届くものではなかった。だが、今は、すぐそばにまで来た。
「さあ、見せてもらおう。城ケ崎家ども」
場所は、グラジア大国王都
「もしもし。久しぶりですね。隼人さん」
『零。お前は今どこにいる』
「世界の最前線です」
『世界の最前線?』
「グラジア大国です。陽人たちには悪いことをしたと思っています。ですが、もう後には、戻れない所にまで、来てしまった」
『平和のためか……』
「……。平和……。そうですね。平和のためかもしれません」
『……。なら一つ聞かせろ。城ケ崎家は、どこを目指す』
「世界のパイオニアですかね」
『ははは……。零。お前は、たどり着けると思うぞ。きつくなったら、また戻って来い。それまで、BIH事務は、NTW事務の傘下として預かろう』
「…。ありがとうございます。必ず、戻ります」
それを言い残し、電話を切る。
「零……」
「リリ。今回は、本当の目的のみ達成を目指す。その過程の死者は考えるな」
零が求めるものは、夜の完成形。ただそれだけだった。
「あの子が、来たって本当」
「そのようですね」
クリスの表情が変わる。
「生物兵器。破壊のメア」
「あの子は、手が付けれないほど、化け物ですからね」
「まあ、あの子を相手できる人間は、この世界に何人いるんだ」
「……。死者はあまり多くならないことを願いますねぇぇ」
「それは、誰のことかな」
クリスの表情が、引きつり始める。
「ねぇ。面白いことをする計画でしょ」
「面白いかは、分からないけどね」
「うーん?私が面白いと思えば、面白いよ」
メアは、少しだけ笑う。そして殺気をクリスにぶつける。その殺気を、クリスも殺気を放ち打ち消す。
「おー怖い」
「どういうつもりだ。メア」
「真王教団は、前回の七星教会との戦争で、大きく均衡が崩れたからね」
「……」
クリスは否定しなかった。むしろ否定ができなかった。
メアは楽しそうに、部屋を出て行こうとする。それを、クリスたちは眺めることしかできなかった。
それぞれの意志が乗った戦争が今始まる。
「ふはっはは」
「ジン様。どうされましたか」
「旬を呼べ」
「旬様ですか」
「ふはははは」
「ジン様……」
「面白い。神はこの道を、選択したのか…」
ジンは笑いながら、ワインを口に含む。そのタイミングで従者がその場を離れていく。
「この夜を照らす、月のごとく、世界を照らす未来へと……。誰が導くというのだろうな」
ジンが見る世界は、遠く遠く手に届くものではなかった。だが、今は、すぐそばにまで来た。
「さあ、見せてもらおう。城ケ崎家ども」
場所は、グラジア大国王都
「もしもし。久しぶりですね。隼人さん」
『零。お前は今どこにいる』
「世界の最前線です」
『世界の最前線?』
「グラジア大国です。陽人たちには悪いことをしたと思っています。ですが、もう後には、戻れない所にまで、来てしまった」
『平和のためか……』
「……。平和……。そうですね。平和のためかもしれません」
『……。なら一つ聞かせろ。城ケ崎家は、どこを目指す』
「世界のパイオニアですかね」
『ははは……。零。お前は、たどり着けると思うぞ。きつくなったら、また戻って来い。それまで、BIH事務は、NTW事務の傘下として預かろう』
「…。ありがとうございます。必ず、戻ります」
それを言い残し、電話を切る。
「零……」
「リリ。今回は、本当の目的のみ達成を目指す。その過程の死者は考えるな」
零が求めるものは、夜の完成形。ただそれだけだった。
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