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3章
46.半壊する七星教会
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グラジア大国兵士救護テント
「ひどい結末ね」
「妥協点にも及ばない結末って、どうよ……」
「澪。休めたか」
城ケ崎澪と藤川が話している最中に、ロジャー・モーリーが声をかける。
「少しはね……。ただ、これ以上は、持たないわ」
「同じく」
「そうか……。そんな中悲報だ」
「また来たの?」
澪の言葉に、ロジャーが頷く。それを見てため息を吐きながら、澪は立ち上がる。
「百合絵、休んでていいよ。今回まで、私が行くから」
「でも……」
「それは……」
「この中で、軽症は私。君たちはこれ以上怪我したら、本当に引退を考えないといけなくなるわ」
この戦いで藤川百合絵は、左目を大きく切り裂かれ、視力が現在ない状況だった。
ロジャー・モーリーは、大剣を両手で振ることに特化している科学武装師だったが、左腕を失っている。
ジン・グラスレットは、腹部に重傷の傷に右腕を骨折している。
ミルア・ヴィヴィアーニは、そこまで大きな怪我はないものの、他のモンスター討伐に向かっている。
ルーン・エルメリアは、右手を失い戦い続け重体になっている。
一番ひどいのは、メルティア・ワイルズだった。
メルティア・ワイルズは、体中を切り刻まれており、重体回復の見込みはないとまで言われている。
こんなひどい状況に陥ったのは、歴代を見ても異例なことであった。つまり、歴史が大きく動く分岐点となる。
「百合絵。あなたまで失ったら、もう七星教会は機能しなくなる。それだけは、この世界の為を思うとできないことなの」
「……」
「でも、もう遅いかもしれないけどね……」
七星教会の存在は、世界の戦力の均衡を保つ役割を持っていた。
七星教会は基本的に、各国の最高戦力に匹敵する人間が選ばれ、それが世界の同盟になっている役割も持っていた。それが、このざまになってしまったとなると、各国を押さえる力が無くなると最悪な場合も考えないといけない。
「それじゃあ。行ってくるね」
「いってらっしゃい」
この時から、世界は最悪の選択を取り始める。
その情報は、零の所にも届いていた。
「社長。世界最高戦力、七星教会が緊急事態宣言を発令しました。これにより、各国含めたSAPMが行われます」
「そうか……」
「一応ですが、我々も参加できる権利を頂きましたが、どうされますか」
「……。そうだな、こんな事態だ。参加しないって、選択肢はないだろう」
臨時のSAPM。それは、これからモンスターにどのように対応するのかについて話し合う、大事な会議となると零は踏んでいた。
「さあ、行こうかね」
零は重い腰を上げて、会議に向かうのだった。
その会議は、これから起こる最悪の引き金につながっていくのだった。
「社長。って、社長は……」
「お疲れ様です。南城さん。社長は臨時のSAPMに参加されております」
「くそ、なら、終わったら伝えてほしいことがある。頼めるか」
「はい。いいですけど…。何ですか」
南城は一呼吸置き、伝言を残す。それを聞き、須永の顔から血の気が引いていた。
「じゃあ。よろしく」
そい言って事務所を、出ていく南城の背中はとても寂しそうなものであった。
「ひどい結末ね」
「妥協点にも及ばない結末って、どうよ……」
「澪。休めたか」
城ケ崎澪と藤川が話している最中に、ロジャー・モーリーが声をかける。
「少しはね……。ただ、これ以上は、持たないわ」
「同じく」
「そうか……。そんな中悲報だ」
「また来たの?」
澪の言葉に、ロジャーが頷く。それを見てため息を吐きながら、澪は立ち上がる。
「百合絵、休んでていいよ。今回まで、私が行くから」
「でも……」
「それは……」
「この中で、軽症は私。君たちはこれ以上怪我したら、本当に引退を考えないといけなくなるわ」
この戦いで藤川百合絵は、左目を大きく切り裂かれ、視力が現在ない状況だった。
ロジャー・モーリーは、大剣を両手で振ることに特化している科学武装師だったが、左腕を失っている。
ジン・グラスレットは、腹部に重傷の傷に右腕を骨折している。
ミルア・ヴィヴィアーニは、そこまで大きな怪我はないものの、他のモンスター討伐に向かっている。
ルーン・エルメリアは、右手を失い戦い続け重体になっている。
一番ひどいのは、メルティア・ワイルズだった。
メルティア・ワイルズは、体中を切り刻まれており、重体回復の見込みはないとまで言われている。
こんなひどい状況に陥ったのは、歴代を見ても異例なことであった。つまり、歴史が大きく動く分岐点となる。
「百合絵。あなたまで失ったら、もう七星教会は機能しなくなる。それだけは、この世界の為を思うとできないことなの」
「……」
「でも、もう遅いかもしれないけどね……」
七星教会の存在は、世界の戦力の均衡を保つ役割を持っていた。
七星教会は基本的に、各国の最高戦力に匹敵する人間が選ばれ、それが世界の同盟になっている役割も持っていた。それが、このざまになってしまったとなると、各国を押さえる力が無くなると最悪な場合も考えないといけない。
「それじゃあ。行ってくるね」
「いってらっしゃい」
この時から、世界は最悪の選択を取り始める。
その情報は、零の所にも届いていた。
「社長。世界最高戦力、七星教会が緊急事態宣言を発令しました。これにより、各国含めたSAPMが行われます」
「そうか……」
「一応ですが、我々も参加できる権利を頂きましたが、どうされますか」
「……。そうだな、こんな事態だ。参加しないって、選択肢はないだろう」
臨時のSAPM。それは、これからモンスターにどのように対応するのかについて話し合う、大事な会議となると零は踏んでいた。
「さあ、行こうかね」
零は重い腰を上げて、会議に向かうのだった。
その会議は、これから起こる最悪の引き金につながっていくのだった。
「社長。って、社長は……」
「お疲れ様です。南城さん。社長は臨時のSAPMに参加されております」
「くそ、なら、終わったら伝えてほしいことがある。頼めるか」
「はい。いいですけど…。何ですか」
南城は一呼吸置き、伝言を残す。それを聞き、須永の顔から血の気が引いていた。
「じゃあ。よろしく」
そい言って事務所を、出ていく南城の背中はとても寂しそうなものであった。
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