発展科学の異端者

2章

25.城ケ崎喜一VS城ケ崎零

「はは、まさか。ここまで運がない戦いになるとはな」
「お父様。終わりにしましょう。あなたの時代も全て」

　零が銃で喜一の頭を狙う。その乾いた音が、この戦いの始まりとなる。

　零の放った弾丸は、喜一の体を捉えることはなかった。その弾丸を喜一は科学武器で弾いたからだ。それと同時に喜一は零との間合いを一気に詰める。

「シャアア」
「はあああ」

　零は一瞬で剣を抜刀し、喜一と鍔迫り合いに持ち込む。だが、その攻撃も一瞬で崩される。

「甘い」
「ぐっ」

　零はバックステップで下がると同時に、銃弾を放つ。だがその攻撃も、喜一の前ではかすりもしない。

「その程度の攻撃では、私の首はやれんぞ」
「だろうな」

　放つ銃弾の嵐の中、喜一は一気に間合いを詰めてくる。まるで、全ての弾丸が読まれているかのようだった。

「貴様には、言っていなかったか」
「何を……」
「銃弾など、殺気を読めば、当たらぬ」

　この間合いを制したのは、城ケ崎喜一だった。そして、喜一は零を目掛けて、科学武器を振り下ろす。

「貴様には、この土俵は早すぎたのだ」
「戦いに、早いも、遅いもねーよ」

　そのタイミングで零は、前に飛び出す。

「なっ」

　その行動は、読めていなかったのか、予想外の反応を見せる喜一を前に、今度は零が反撃に出る。

　零は、喜一の攻撃を、銃で受け止めてみせたのだ。左手に持つ銃から軋む音が聞こえる。

「なっ。それで受け止めれるかああ。シャアア」
「受け止めれるとは、思ってねーよ」

　零の左手に持つ銃が、切断されると同時に、右手に持っていた科学武器が喜一の体を目掛けて振り抜かれる。

「はああああ」
「ぬおおお」

　零の攻撃を、喜一は紙一重で避けてみせる。だが、喜一は吐血をしてしまう。

「ガハッ」
「僕を、なめるなあああああ」
「貴様ごときに止められるほど、私はやわではない」

　これは、喜一の執念が上回る。喜一の蹴り技が、零を捉える。

「ゲホッ」
「ガハッ」

　喜一はさらに、吐血をする。ここまで吐血するのには、大きな理由があったからだ。

「ぐっ、今日は、ついて…いない日だな」

　喜一の吐血は、城ケ崎澪、リアト・ルティーア、その傷が原因だった。

「貴様だけなら、ここまで追い込まれることは…なかった」
「ガハッ。何が……。言いたい」

　零はお腹で爆発が、起きたのと同時の痛さの中、立ち上がり問いを返す。すると喜一は笑うように、問いを返す。

「はは、連戦はやはり面白いなああ。そうは、思わないか」
「連戦が面白い？そんなことはないだろう」

　今度は零が大きく、間合いを詰める。だが痛みのせいなのか、スピードが少し落ちてしまっている。

　その隙を見逃すほど、城ケ崎喜一は甘くはなかった。

「スピードが落ちているようだな。そのレベルでは、私には届かん」
「くそがああ」

　その攻撃が、この勝負の決着となる。