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1章
13.化け物
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警告を無視して、間合いを攻めてくるその男に対して、一ノ瀬は曲刀で応戦をする。
甲高い金属音が鳴り響く中、一ノ瀬が少しだけ押され始める。
「ぐっ」
「この程度か。ルーアの元エースは」
「私は、この程度の貴様には負けない」
その瞬間曲刀が、予想のできない軌道をする。それに対して、その男は少しだけ眉を寄せながら応戦をする。
その男は血が流れる、それなのにその男は怯むことはなかった。
「やはりこの程度だな」
「貴様は勘違いをしている。この場に居るのは、私だけではない」
「ほう。なら、これでどうだ」
一ノ瀬の体が宙に舞う。一ノ瀬は何が起きたのかが分からなかった。
その男の死角から、立花は一気に距離を詰める。
「その攻撃では、私の首は取れない」
「なっ」
それは、普通の人間だったら反応できない速度の攻撃。
甲高い金属音が鳴り、立花の一閃が止められる。だが攻撃は止まない。
宙を舞った一ノ瀬が、片足で勢いをつけて間合いを詰めてきたからだ。
「貴様には、死んでもらう」
「ほう。面白い反応だ」
その男の笑みは崩れない。つまり、対策がされていたと考えるべきだった。
一ノ瀬の左肩に、痛みが走る。一ノ瀬が反応できない速度の攻撃が飛んできていた。
「ぐっ」
「速度が落ちたようだな」
「なっ。まずっ」
「まずは、貴様の命から、貰おうか」
その時、立花が後ろに吹き飛ばされる。立花の瞳には一ノ瀬しか見えていなかった。
「打てえええ」
その立花の声は、他の仲間の攻撃開始につながる。
この場に残っていた科学武装師が一斉に銃のトリガーを引いた。
「これは、少しまずいな」
その男の表情が少しだけ、崩れる。だが、一ノ瀬は感じていた。この男はまだ余裕があると。まだ、本質が見えないと。
その勘は的中した。
「はははは」
その男は笑いながら、全ての銃弾を躱して見せたのだ。傷一つなく。
「なっ」
「嘘だろ」
科学武装師は、驚きの表情を浮かべる。それと同時に、目の前の化け物に恐怖を植え付けられた。
「立花、短期決着をつける。これ以上戦いを長引かせるな」
「先輩……」
「それに、スカイウェーズ、N&I事務所のメンバーに告ぐ。援軍を呼べ、この場に残ることは、許さない」
その言葉に、この場に居るメンバーは各自行動に移る。そして、一ノ瀬は立花に向かってこう言った。
「悪いな。こんな時まで頼ってしまって」
「先輩……。地獄でも、ついていきますよ」
「はは、死ぬ時は天国に行きたいな」
「なら、天国についていきます」
こうして、どちらかが死ぬその時までの戦いが幕を開ける。
「貴様の名を、聞いてもいいか」
「ふむ、そういえば名乗ってなかったな。私は、隅屋 啓示隅屋直輝の血のつながった兄だ」
「啓示……。それほどの力を持ちながら、なぜ敵対する」
「それはシンプルだ。私は、クリス・リバートの意志を継ぐ人間だ」
その男は、その言葉を皮切りに一ノ瀬たちとの間合いを一気に詰めた。
甲高い金属音が鳴り響く中、一ノ瀬が少しだけ押され始める。
「ぐっ」
「この程度か。ルーアの元エースは」
「私は、この程度の貴様には負けない」
その瞬間曲刀が、予想のできない軌道をする。それに対して、その男は少しだけ眉を寄せながら応戦をする。
その男は血が流れる、それなのにその男は怯むことはなかった。
「やはりこの程度だな」
「貴様は勘違いをしている。この場に居るのは、私だけではない」
「ほう。なら、これでどうだ」
一ノ瀬の体が宙に舞う。一ノ瀬は何が起きたのかが分からなかった。
その男の死角から、立花は一気に距離を詰める。
「その攻撃では、私の首は取れない」
「なっ」
それは、普通の人間だったら反応できない速度の攻撃。
甲高い金属音が鳴り、立花の一閃が止められる。だが攻撃は止まない。
宙を舞った一ノ瀬が、片足で勢いをつけて間合いを詰めてきたからだ。
「貴様には、死んでもらう」
「ほう。面白い反応だ」
その男の笑みは崩れない。つまり、対策がされていたと考えるべきだった。
一ノ瀬の左肩に、痛みが走る。一ノ瀬が反応できない速度の攻撃が飛んできていた。
「ぐっ」
「速度が落ちたようだな」
「なっ。まずっ」
「まずは、貴様の命から、貰おうか」
その時、立花が後ろに吹き飛ばされる。立花の瞳には一ノ瀬しか見えていなかった。
「打てえええ」
その立花の声は、他の仲間の攻撃開始につながる。
この場に残っていた科学武装師が一斉に銃のトリガーを引いた。
「これは、少しまずいな」
その男の表情が少しだけ、崩れる。だが、一ノ瀬は感じていた。この男はまだ余裕があると。まだ、本質が見えないと。
その勘は的中した。
「はははは」
その男は笑いながら、全ての銃弾を躱して見せたのだ。傷一つなく。
「なっ」
「嘘だろ」
科学武装師は、驚きの表情を浮かべる。それと同時に、目の前の化け物に恐怖を植え付けられた。
「立花、短期決着をつける。これ以上戦いを長引かせるな」
「先輩……」
「それに、スカイウェーズ、N&I事務所のメンバーに告ぐ。援軍を呼べ、この場に残ることは、許さない」
その言葉に、この場に居るメンバーは各自行動に移る。そして、一ノ瀬は立花に向かってこう言った。
「悪いな。こんな時まで頼ってしまって」
「先輩……。地獄でも、ついていきますよ」
「はは、死ぬ時は天国に行きたいな」
「なら、天国についていきます」
こうして、どちらかが死ぬその時までの戦いが幕を開ける。
「貴様の名を、聞いてもいいか」
「ふむ、そういえば名乗ってなかったな。私は、隅屋 啓示隅屋直輝の血のつながった兄だ」
「啓示……。それほどの力を持ちながら、なぜ敵対する」
「それはシンプルだ。私は、クリス・リバートの意志を継ぐ人間だ」
その男は、その言葉を皮切りに一ノ瀬たちとの間合いを一気に詰めた。
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