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1章
2.BIH事務所
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「おはよう」
零は朝起きた時、一枚の写真に挨拶をする。その写真は学生時代の写真だった。
「彩花……」
写真に声をかけた時、スマホに通知音が鳴る。
「……」
零はスマホを手に取り、通知の中身を確認する。
「-ッ」
その中身を見て、零は慌てて家を飛び出すのだった。
場所は少し変わり、零の所属するBIH事務所にて
「ったく。社長は今日も欠勤かよ」
「いつもの、ことだよ」
「はは、大変ですね」
この場に居たのは、男2人と事務の女性が1人いる。
まず、最初に喋ったのは南城 陽人。科学武装師のレベル4だ。
次に喋ったのはタン・クロニクル。科学武装師のレベル4だ。
最後に事務の、須永 海里。非戦闘員だが、事務として腕は一流の女の子だ。
それでは、科学武装師のレベルについて、説明をしておこうと思う。現在、科学武装師になろうと思っていても、各国にある科学武装学園に通う必要がある。その科学武装学園を卒業した人に初めて、科学武装師と名乗ることができる。
科学武装師候補生でも、実力が分かれる。そこで、実力を一発で判断するためにレベルと呼ばれるものが生まれた。レベルは、非戦闘員(市民も含む)はレベル0から始まり、基本的にはレベル6までの7段階に分けられている。ただ一部の例外があり、レベル6に収まらない幻のレベル7が存在する。ここで捕捉だが中野彩乃はレベル5だが、レベル6候補でもある。候補とは、まだそのレベルには達していないが、特例任務や国や市民が認めれば、そのレベルになりやすいという、あくまでも判断基準の一つだ。
「今日は何か仕事しなきゃ、まずいよな」
「そうだね」
「あっ、仕事と言えば……」
海里が喋ろうとした時、ドアが思いっきり開く。それに驚く形で南城が椅子から崩れる。
「あ痛ぁぁぁぁぃ」
「海里、仕事を取る」
「えっ。社長?」
「SAPMにすぐつなげ」
「えっ。あっ。はい」
SAPM(Science armament person meeting)の頭文字を取ったものだ。通称『科学武装者会議』ともいう。
その会議は一つの小型機械を使う。それを使うことで、一定空間を会議場にすることができる。その範囲は、指定もできる優れものだ。
SAPMを開いた瞬間、司会者が話を始めようとしていた。
「おや、BIH事務所も今回は参加されるのですか」
「ああ。参加しようと思ってね」
司会者は、納得したのか頷く。
「かしこまりました」
「おやおや、珍しいお客さんだね」
そう声をかけてきたのは、スターナイト事務所の代表星野 修平だった。
「お久しぶりですね。修平先輩」
「久しぶりだな。お前が仕事に参加することがな。今日は、南城辺りが来ると思っていたのだが、予想が外れたな」
「まあ、いつもならそうするつもりだったんですけど。今回は、どうしても取りたくて、ですね」
「相場を、荒らすのか」
ここで言う相場とは、国に来たモンスターゲートの取り合いのことを指していた。基本的には、3パターンの仕事の取り方がある。
1つ目、引き受け競売。これは複数の事務所が、国が管理している1つのゲートを、いくらでなら引き受けると金額を出し、一番安い金額を提示した企業に仕事を割り振る競売だ。この場合だと、安くすれば安くした分仕事は来るが、高リスク低リターンになる。それでも、これがあるのは、小規模の事務所は少しでも仕事が欲しいからである。モンスターの死骸等は国が後処理するので、モンスターをお金にするということはできない。
2つ目、高額競売。これは、大企業が管理しているところでゲートもしくは、モンスターが生まれた時にそのモンスターごと事務所が買うことだ。1つ目と違うのは、倒したモンスターが事務所で自由に売買できることだ。倒したモンスターは高値で買い取りしてくれるので、お金に余裕のある事務所は、この仕事を引き受けることが多い。
3つ目、国もしくは大企業からの逆指名。これは、企業が事務所を指定し、事務所が納得のいく金額が提示されれば、引き受けるという方法だ。これは、1件の依頼金はかなり高めになったりすることが多い。
そして本日は、1つ目の引き受け競売だ。
「えっと。時間になりましたので、今回の依頼を説明させていただきます」
それと同時に、資料が送られてくる。その資料に零は軽く目を通していた。
モンスターの種類は、二足歩行の四つの手を持つ化け物と書いてある。それに眷属は20近くいると書かれていた。
内容を読んでいるうちに、説明が終わる。
「……ということでして、市民の避難は9割完了しております。何か質問はありますか」
「じゃあ…少し、いいかな」
一人の女性が手を挙げる。それは、スカイウェーズの代表をしている一ノ瀬 未来だった。
「市民の犠牲は、どれぐらい出ていたのかしら」
「被害として確認しているのは、約20名です」
一ノ瀬は、続けて質問をする。
「じゃあ、最後に、このモンスターは完全討伐してもいいのよね」
「ええ。現状では、『完全討伐も可』という形になっています」
その答えに納得したのか、一ノ瀬は口に手を持っていき考え始める。
「完全討伐も可…か…」
零も考える。完全討伐というのは、討伐とは少し異なり、姿かたちがない状態になってもいい場合のみ完全討伐と言われる。それ以外は、討伐となり、なるべく多くのモンスターの死骸は残しながら戦わなければならない。
つまり、完全討伐は後先を考えなくてもいいので、必然的に安くなることが多い。
「なら、この金額かな……」
それから数分が経過し、皆の落札金額が決まる。金額が高い順に表示されていく。
化け猫事務所 580,000円
スターナイト事務所 576,000円
スカイウェーズ 575,000円
BIH事務所 400,000円
「BIH事務所。400,000円で落札とさせていただきます。それでは、BIH事務所は至急討伐に向かってください」
司会者がそう言って、司会者は退場する。それと同時に、化け猫事務所の代表である西山 海斗が難癖をつけてくる。
「おい。城ケ崎、何を考えている。D級だぞ。お前は、馬鹿なのか」
「おいおい。金額は自由なはずだろ。お前こそ、そんな高い金額で、引き受けれるとでも?」
「何だと」
西山が苛立ち始めると、星野が仲介に入る。
「まあ、まあ、落ち着きましょう。零は、昔からこんな感じですから、今言ったところで、何も変わりませんよ」
「くそが……」
次に抜けたのは、西山がこの会議から抜ける。それと同時に一ノ瀬は、零を睨み会議を抜ける。
「まあ、零も少し馴染もうとはしないの」
「……修平先輩。今回の依頼は、金に拘っていないのですよ」
「そう。それでもね、恨みは怖いよ。零」
星野は、零に向かって威嚇をするように、睨みつける。それに対して、零は冷静に返答をする。
「肝に銘じときます」
そして会議は終わる。
そしていつもの(いつもは来ていない)、事務所に戻ってくる。
すると、南城が零の所に駆け寄ってくる。
「社長。どうだったんですか」
「陽人、仕事だ。準備をしろ」
その言葉に、陽人の口角が少し上がる。そして、後ろにいるタンに向かって大きな声で、声をかける。
「了解。タン仕事だ、準備しろ」
「オーケー」
タンは親指を立ててサインをしながら武器を、準備する。
「社長は、準備大丈夫なんすか」
「ああ。大丈夫だ」
「ならいいですよ」
南城と、タンは学生の時からの付き合いだ。だからこそ、少しぐらいふざけても、許される。
「陽人、ボスモンスターは僕が仕留める。眷属20体前後任せてもいいか」
「何を言っているんですか。任せてください。すぐに蹴散らして見せますよ」
「……頼りにしているよ」
「久々に社長の戦闘が、見れるんですよ。僕も楽しみで、しょうがないです」
南城は、嬉しそうに笑い始める。
そして僕たちは、モンスターの居るところに向かったのだった。
零は朝起きた時、一枚の写真に挨拶をする。その写真は学生時代の写真だった。
「彩花……」
写真に声をかけた時、スマホに通知音が鳴る。
「……」
零はスマホを手に取り、通知の中身を確認する。
「-ッ」
その中身を見て、零は慌てて家を飛び出すのだった。
場所は少し変わり、零の所属するBIH事務所にて
「ったく。社長は今日も欠勤かよ」
「いつもの、ことだよ」
「はは、大変ですね」
この場に居たのは、男2人と事務の女性が1人いる。
まず、最初に喋ったのは南城 陽人。科学武装師のレベル4だ。
次に喋ったのはタン・クロニクル。科学武装師のレベル4だ。
最後に事務の、須永 海里。非戦闘員だが、事務として腕は一流の女の子だ。
それでは、科学武装師のレベルについて、説明をしておこうと思う。現在、科学武装師になろうと思っていても、各国にある科学武装学園に通う必要がある。その科学武装学園を卒業した人に初めて、科学武装師と名乗ることができる。
科学武装師候補生でも、実力が分かれる。そこで、実力を一発で判断するためにレベルと呼ばれるものが生まれた。レベルは、非戦闘員(市民も含む)はレベル0から始まり、基本的にはレベル6までの7段階に分けられている。ただ一部の例外があり、レベル6に収まらない幻のレベル7が存在する。ここで捕捉だが中野彩乃はレベル5だが、レベル6候補でもある。候補とは、まだそのレベルには達していないが、特例任務や国や市民が認めれば、そのレベルになりやすいという、あくまでも判断基準の一つだ。
「今日は何か仕事しなきゃ、まずいよな」
「そうだね」
「あっ、仕事と言えば……」
海里が喋ろうとした時、ドアが思いっきり開く。それに驚く形で南城が椅子から崩れる。
「あ痛ぁぁぁぁぃ」
「海里、仕事を取る」
「えっ。社長?」
「SAPMにすぐつなげ」
「えっ。あっ。はい」
SAPM(Science armament person meeting)の頭文字を取ったものだ。通称『科学武装者会議』ともいう。
その会議は一つの小型機械を使う。それを使うことで、一定空間を会議場にすることができる。その範囲は、指定もできる優れものだ。
SAPMを開いた瞬間、司会者が話を始めようとしていた。
「おや、BIH事務所も今回は参加されるのですか」
「ああ。参加しようと思ってね」
司会者は、納得したのか頷く。
「かしこまりました」
「おやおや、珍しいお客さんだね」
そう声をかけてきたのは、スターナイト事務所の代表星野 修平だった。
「お久しぶりですね。修平先輩」
「久しぶりだな。お前が仕事に参加することがな。今日は、南城辺りが来ると思っていたのだが、予想が外れたな」
「まあ、いつもならそうするつもりだったんですけど。今回は、どうしても取りたくて、ですね」
「相場を、荒らすのか」
ここで言う相場とは、国に来たモンスターゲートの取り合いのことを指していた。基本的には、3パターンの仕事の取り方がある。
1つ目、引き受け競売。これは複数の事務所が、国が管理している1つのゲートを、いくらでなら引き受けると金額を出し、一番安い金額を提示した企業に仕事を割り振る競売だ。この場合だと、安くすれば安くした分仕事は来るが、高リスク低リターンになる。それでも、これがあるのは、小規模の事務所は少しでも仕事が欲しいからである。モンスターの死骸等は国が後処理するので、モンスターをお金にするということはできない。
2つ目、高額競売。これは、大企業が管理しているところでゲートもしくは、モンスターが生まれた時にそのモンスターごと事務所が買うことだ。1つ目と違うのは、倒したモンスターが事務所で自由に売買できることだ。倒したモンスターは高値で買い取りしてくれるので、お金に余裕のある事務所は、この仕事を引き受けることが多い。
3つ目、国もしくは大企業からの逆指名。これは、企業が事務所を指定し、事務所が納得のいく金額が提示されれば、引き受けるという方法だ。これは、1件の依頼金はかなり高めになったりすることが多い。
そして本日は、1つ目の引き受け競売だ。
「えっと。時間になりましたので、今回の依頼を説明させていただきます」
それと同時に、資料が送られてくる。その資料に零は軽く目を通していた。
モンスターの種類は、二足歩行の四つの手を持つ化け物と書いてある。それに眷属は20近くいると書かれていた。
内容を読んでいるうちに、説明が終わる。
「……ということでして、市民の避難は9割完了しております。何か質問はありますか」
「じゃあ…少し、いいかな」
一人の女性が手を挙げる。それは、スカイウェーズの代表をしている一ノ瀬 未来だった。
「市民の犠牲は、どれぐらい出ていたのかしら」
「被害として確認しているのは、約20名です」
一ノ瀬は、続けて質問をする。
「じゃあ、最後に、このモンスターは完全討伐してもいいのよね」
「ええ。現状では、『完全討伐も可』という形になっています」
その答えに納得したのか、一ノ瀬は口に手を持っていき考え始める。
「完全討伐も可…か…」
零も考える。完全討伐というのは、討伐とは少し異なり、姿かたちがない状態になってもいい場合のみ完全討伐と言われる。それ以外は、討伐となり、なるべく多くのモンスターの死骸は残しながら戦わなければならない。
つまり、完全討伐は後先を考えなくてもいいので、必然的に安くなることが多い。
「なら、この金額かな……」
それから数分が経過し、皆の落札金額が決まる。金額が高い順に表示されていく。
化け猫事務所 580,000円
スターナイト事務所 576,000円
スカイウェーズ 575,000円
BIH事務所 400,000円
「BIH事務所。400,000円で落札とさせていただきます。それでは、BIH事務所は至急討伐に向かってください」
司会者がそう言って、司会者は退場する。それと同時に、化け猫事務所の代表である西山 海斗が難癖をつけてくる。
「おい。城ケ崎、何を考えている。D級だぞ。お前は、馬鹿なのか」
「おいおい。金額は自由なはずだろ。お前こそ、そんな高い金額で、引き受けれるとでも?」
「何だと」
西山が苛立ち始めると、星野が仲介に入る。
「まあ、まあ、落ち着きましょう。零は、昔からこんな感じですから、今言ったところで、何も変わりませんよ」
「くそが……」
次に抜けたのは、西山がこの会議から抜ける。それと同時に一ノ瀬は、零を睨み会議を抜ける。
「まあ、零も少し馴染もうとはしないの」
「……修平先輩。今回の依頼は、金に拘っていないのですよ」
「そう。それでもね、恨みは怖いよ。零」
星野は、零に向かって威嚇をするように、睨みつける。それに対して、零は冷静に返答をする。
「肝に銘じときます」
そして会議は終わる。
そしていつもの(いつもは来ていない)、事務所に戻ってくる。
すると、南城が零の所に駆け寄ってくる。
「社長。どうだったんですか」
「陽人、仕事だ。準備をしろ」
その言葉に、陽人の口角が少し上がる。そして、後ろにいるタンに向かって大きな声で、声をかける。
「了解。タン仕事だ、準備しろ」
「オーケー」
タンは親指を立ててサインをしながら武器を、準備する。
「社長は、準備大丈夫なんすか」
「ああ。大丈夫だ」
「ならいいですよ」
南城と、タンは学生の時からの付き合いだ。だからこそ、少しぐらいふざけても、許される。
「陽人、ボスモンスターは僕が仕留める。眷属20体前後任せてもいいか」
「何を言っているんですか。任せてください。すぐに蹴散らして見せますよ」
「……頼りにしているよ」
「久々に社長の戦闘が、見れるんですよ。僕も楽しみで、しょうがないです」
南城は、嬉しそうに笑い始める。
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