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第一話 意識改革
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僕は何のために生まれたんだろう。
そんなことを考えていると、家の近くまで来ていた。考えごとをしていると時間があっという間に過ぎていくな...
無意識に早足になっていたんだろう...。そうなるのも無理はない。だって、「...振られたもんな...」無意識に口から出た。
叶わないとわかっていても、一度だけ「好き」という言葉を彼女に掛けたかった。
先日、ついに彼女に告白をした。返事はもちろんNO。その理由は好きなアーティストがいるからだそうだ。「そんな理由で諦めきれるかよ...!!」口からこぼれた。
その相手は小学校時代の友達。中学校でバラバラになり、偶然会うことがあるくらいだった。突然のことだったから彼女も驚いたのだろう。
そろそろ自己紹介をしようか。俺の名前は「山凪慧武」。今年から高校生だ。そして、好きになった彼女の名は「山村未夢」だ。
彼女はぜんそくで学校に来ないことがたびたびあった。そんな彼女を好きになったのが初めて見た時、所謂一目惚れっていうやつだ。
何度か告白しようと思ったことはある。けれど、独特の緊張感に苛まれて告白出来なかった。
一度目は雪の降ったある日。珍しく雪が積もった。雪だるまとかを作って、そのまま告白しようと思ったけれど親とかが居たから出来なかった。二度目は修学旅行の途中で告白しようと思った。独特の緊張感とかいうやつに駆られ出来なかった。三度目は修学旅行の帰り道。いいムードで告白するのに最適だった。...振られるのが怖かった。あの頃の俺はずっとその事だけを考えていた。
ここまではよくある前語り...というやつだ。
幼い頃よく聞いたことがある言葉がある。「優位に立ちたくば先に回れよ」と。
幼いときは意味が解らなかったが、今となってはよく解る。「優位に立ちたかったら、すぐ行動に移しなさい」と。つまり、好きなら好きときちんと思ったときに言う...。そう俺は思っている。
「...あの時気持ちを伝えていたら...今頃...。」なんて思うことがある。あくまで仮定の話だが、そんな世界線もあるのではないかと思う。...いや違う。有って欲しいのだ。せめて、他の世界線の俺には幸せであってほしい...そう思う。
この手の事には無関心だった俺だが、最近一つだけ気になることがある。それは
「本当に”並行世界”というものがあるのか。」ということだ。
並行世界とは違う世界軸で同じ時間軸...というやつだ。並行世界がもしあるなら、どうしているのだろうか...というIfの世界だ。もしこの世界に”正しさ”というものがあるなら、あの時どうすればよかったのか、どうすれば後悔のないような事になったのか...。
おっと...話が逸れてしまった...。俺の悪い癖が出た。
...ということで振られた訳だが、とりあえずもう一日が終わる。気が付けば、こんなにも時間が過ぎるのが早いような気がしたのはいつかの日ぶりだ。
新しい一日がまたやってくる。時鳥が鳴いている。俺はいつもこの時鳥のさえずりで起きている。今日もまた、高校へ行って平凡な一日が終わる。
明日も今日のような毎日を繰り返す...のかと思いきや、そこに現れたのは...。
「お、お前は...。」開いた口が塞がらない...ということはこういうことを言うのか。
同じ高校に入った幼馴染だった。幼馴染は未夢と親交があった。
「未夢が今日あんたに言いたいことがあるらしいのよ...。と、とにかく伝えたんだから...来なさいよ...!」
「お、おう。」
何だろう...。はじめは頭が真っ白になったのだが、よく思い出してみれば
未夢が俺を振った理由って...”好きなアーティスト”がいるから...だったよな...。
だったら...俺はわずかな希望を持って待ち合わせ場所に指定されている公園に行った。
「...こんな所に来いって...。」
「そ、それは私の台詞よ...。」
「あいつ...噓を吐きやがったな...。」俺はそう呟いた。
「綾那は嘘を吐いてないの。」
「え...。それはどういう...。」そう言うと同時に何かが俺の唇に当たった。
「これが私の出した答えだよ...?」
そう微笑みながら未夢は俺の方へ歩いてきた。
そんなことを考えていると、家の近くまで来ていた。考えごとをしていると時間があっという間に過ぎていくな...
無意識に早足になっていたんだろう...。そうなるのも無理はない。だって、「...振られたもんな...」無意識に口から出た。
叶わないとわかっていても、一度だけ「好き」という言葉を彼女に掛けたかった。
先日、ついに彼女に告白をした。返事はもちろんNO。その理由は好きなアーティストがいるからだそうだ。「そんな理由で諦めきれるかよ...!!」口からこぼれた。
その相手は小学校時代の友達。中学校でバラバラになり、偶然会うことがあるくらいだった。突然のことだったから彼女も驚いたのだろう。
そろそろ自己紹介をしようか。俺の名前は「山凪慧武」。今年から高校生だ。そして、好きになった彼女の名は「山村未夢」だ。
彼女はぜんそくで学校に来ないことがたびたびあった。そんな彼女を好きになったのが初めて見た時、所謂一目惚れっていうやつだ。
何度か告白しようと思ったことはある。けれど、独特の緊張感に苛まれて告白出来なかった。
一度目は雪の降ったある日。珍しく雪が積もった。雪だるまとかを作って、そのまま告白しようと思ったけれど親とかが居たから出来なかった。二度目は修学旅行の途中で告白しようと思った。独特の緊張感とかいうやつに駆られ出来なかった。三度目は修学旅行の帰り道。いいムードで告白するのに最適だった。...振られるのが怖かった。あの頃の俺はずっとその事だけを考えていた。
ここまではよくある前語り...というやつだ。
幼い頃よく聞いたことがある言葉がある。「優位に立ちたくば先に回れよ」と。
幼いときは意味が解らなかったが、今となってはよく解る。「優位に立ちたかったら、すぐ行動に移しなさい」と。つまり、好きなら好きときちんと思ったときに言う...。そう俺は思っている。
「...あの時気持ちを伝えていたら...今頃...。」なんて思うことがある。あくまで仮定の話だが、そんな世界線もあるのではないかと思う。...いや違う。有って欲しいのだ。せめて、他の世界線の俺には幸せであってほしい...そう思う。
この手の事には無関心だった俺だが、最近一つだけ気になることがある。それは
「本当に”並行世界”というものがあるのか。」ということだ。
並行世界とは違う世界軸で同じ時間軸...というやつだ。並行世界がもしあるなら、どうしているのだろうか...というIfの世界だ。もしこの世界に”正しさ”というものがあるなら、あの時どうすればよかったのか、どうすれば後悔のないような事になったのか...。
おっと...話が逸れてしまった...。俺の悪い癖が出た。
...ということで振られた訳だが、とりあえずもう一日が終わる。気が付けば、こんなにも時間が過ぎるのが早いような気がしたのはいつかの日ぶりだ。
新しい一日がまたやってくる。時鳥が鳴いている。俺はいつもこの時鳥のさえずりで起きている。今日もまた、高校へ行って平凡な一日が終わる。
明日も今日のような毎日を繰り返す...のかと思いきや、そこに現れたのは...。
「お、お前は...。」開いた口が塞がらない...ということはこういうことを言うのか。
同じ高校に入った幼馴染だった。幼馴染は未夢と親交があった。
「未夢が今日あんたに言いたいことがあるらしいのよ...。と、とにかく伝えたんだから...来なさいよ...!」
「お、おう。」
何だろう...。はじめは頭が真っ白になったのだが、よく思い出してみれば
未夢が俺を振った理由って...”好きなアーティスト”がいるから...だったよな...。
だったら...俺はわずかな希望を持って待ち合わせ場所に指定されている公園に行った。
「...こんな所に来いって...。」
「そ、それは私の台詞よ...。」
「あいつ...噓を吐きやがったな...。」俺はそう呟いた。
「綾那は嘘を吐いてないの。」
「え...。それはどういう...。」そう言うと同時に何かが俺の唇に当たった。
「これが私の出した答えだよ...?」
そう微笑みながら未夢は俺の方へ歩いてきた。
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