泣き虫狼と優しいウサギ 溺愛BL

文字の大きさ
上 下
12 / 13

11話 犬じゃないです。

しおりを挟む







ご主人様にポスッと音を立てベットの縁に座らされる。相変わらずフカフカだ…

先程までご主人様が優しく背中をさすってくれたので、すっかり落ち着いてきた。帰ってきた時はあまりにも嬉しくて飛びついてしまったが、ご主人様は怪我してないだろうか…

「ノアール、昼ご飯は食べれそうか?何が食べたい」

すぐ隣にご主人様が座ってベットが少し音を立てる。

…ご飯食べてもいいのかな?
ご主人様は殴ってこないし、怒らないし、ご飯だってくれる。いい人…なのかな?

何を食べたいかと聞かれても、今まで残飯しか食べてなかったから良く分からない。
でも昨日のスープは美味しかったな…具がいっぱい入ってて、暖かかった。

「スープ…が食べたい、です?」

…疑問形になってしまった。だってよく分かんないんだもん、

「スープな。他には?」

…他?他にも食べていいの?
……ダメだ、全く思いつかない、そもそも料理自体あまり知らない。

今までの記憶を絞り出してると、1回だけ食べた事のあるアイスクリームを思い出した。
3歳の誕生日…まだ両親が俺を見捨ててなかった時に、ほんの少しだけ食べた事がある。とても甘くて冷たい氷菓子。

「…ア、アイスクリーム食べたいです」

ダメだろうか?
膝の上で手をにぎにぎする。
アイスクリームは一般家庭では食べれないような物だ。値段だって結構する。

「ごめんなさい、やっぱり…!」

高いし、奴隷ごときに食べさせれるような代物じゃない。やっぱり大丈夫です、と言いかけたがご主人様が声を被せてきた。

「ん、アイスクリームな。用意しとこう」

優しく微笑んで、頬を指で優しく撫でてくれる。

…いいの?俺、奴隷なのに…でもアイスクリームが食べれる、嬉しい!

嬉しくてパタパタとしっぽが揺れる。それを見たご主人様に「可愛いくて素直な犬だな」と言われ、笑われてしまった。

…犬じゃないもん、狼だもん





それからご主人様は一階にいるらしい部下の人に電話をしていた。
部下が居るってことはご主人様はやっぱり凄い人なのかもしれない、家だってこんなに大っきい。
ご主人様は部下の人に細く指示を出し、スープの具までも指定し始めた時はちょっとだけびっくりした。

…あと、電話の時は少しだけ声が低く凛としていて、怖いけどとてもカッコよかった。


電話が終わったらしく、ご主人様は電話を切っておもむろに立ち上がるとクローゼットの前へ行き、スーツを脱いでTシャツにズボンを履いたラフな格好に着替えた。
俺はと言うと昨日の風呂で着た、ご主人様のシャツとパンツだけ。ズボンが欲しい……

ご主人様の電話中や着替え中はする事も無く足の裏で絨毯をモフモフして感触を楽しんでいた。
すごくモフモフ…足の裏が溶けちゃいそう、大丈夫かな?足の裏溶けてない?
足を抱え込むようにして足の裏を確認する。

…溶けてない、良かった


「あと30分ほどで昼ご飯が届くから、それまで少し話さないか?」

急に話しかけられたのでびっくりした。慌てて「は、はい!」と返事をして立ち上がりクローゼットの前に居るご主人様の傍に駆け寄った。








オマケ

「なんでさっき足の裏見てたんだ?」

「絨毯がフカフカで…足の裏溶けてないかなって、思って……」

「そうか、溶けてなかったか?(可愛い)」

「溶けてませんでした!」

「良かったな(可愛い)」




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

異世界召喚されて勇者になったんだけど魔王に溺愛されてます。

BL
不幸体質な白兎(ハクト)はある日、異世へ飛ばされてしまう。異世界で周りの人々から酷い扱いをされ、死にかけた白兎を拾ったのは魔王、ジュノスだった。 優しい魔王×泣き虫な勇者の溺愛BL小説 ・自己満足作品 ・過去作品のリメイク ・Rが着く話は※を付けときます ・誤字脱字がありましたらそっと報告して頂けると嬉しいです

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...