泣き虫狼と優しいウサギ 溺愛BL

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7話 手のひら。

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玄関を入って、螺旋階段を登った2階の奥の部屋。シンプルだが高級感溢れるその部屋はご主人様の部屋らしい。
一旦床に降ろされ、絨毯の上に立った時とても驚いた

…絨毯がすごくふわふわ…!凄い、足の裏が幸せだ…

ふわふわと柔らかくて気持ちがいい感触が新鮮で、その場で小さく足踏みをして感覚を堪能していると、上の方からクスクスと笑い声が聞こえてくる。上を見上げるとご主人様は口元を手で少し隠して面白そうに笑っていた。

「気持ちがいいか?堪能の所悪いが、まず風呂だ。着いておいで」

何だか、恥ずかしさが込み上げてきて小さく「はい…」と返事をしてご主人様の後を追った。







連れてこられた脱衣場は広くて、汚れてしまった服を脱がされ浴槽の前に連れていかれた。首輪や手錠、足枷もご主人様は鍵を差し込み外してくれた。

ちなみに服は「1人で脱げます、」と言ってもご主人様は聞いてくれず、非力な俺の抵抗も虚しく剥ぎ取られてしまった。

…俺、もう16歳だから1人でも脱げるのに、




浴槽はとても広く、大人2人は余裕で入るほど。湯が貼られており湯気がモウモウとたっていた。
ご主人様は服を着ていて俺の隣に立っている。いつまで経っても浴槽の中に入ろうとしない俺を不思議に思っているのだろう。

「どうしたノアール、入りたくないのか?」

フルフルと首を横に振って否定する。入りたくない訳じゃない、むしろ入りたい。
でも、いいんだろうか
お湯なんて小さな頃に入っただけで、ずっと今まで冷たい水浴びだった。

「お湯に、浸かってもいいんですか…?俺なんかが、」

父様と母様は「湯に浸かるなんておこがましい!」と許してくれなかった。

「…いいに決まっているだろう。体が冷えてしまう、早く入りなさい」

ご主人様は一瞬苦虫を噛み潰したような表情をしたかと思えば、優しく微笑んでそっと頭を撫でてくれた。

そっと浴槽の中に足を入れて、ゆっくりゆっくり肩までお湯に浸かっていく。
久しぶりのお風呂…熱くもぬるくも無いちょうどいい温度で、とても心地好くて気持ちがいい。

「シャンプーと石鹸はそこにあるから自由に使え。脱衣場に上がったら呼んでな」

シャンプーと石鹸の場所を教えてもらうとご主人様はお風呂場を出ていってしまった。
言われた通りシャンプーと石鹸で体と頭を洗って綺麗にする。モコモコと泡が泡立って面白く、つい夢中になって体を綺麗にした。








お風呂をあがって脱衣場へ入る。ご主人様に「脱衣場に上がったら呼んでな」と言われたが…なんと呼べばいいのか分からない。

ご主人様…?それともレイド様って呼べばいいのかな…?んん、わかんない…

困った、分からない。でも呼ばなきゃきっと怒られてしまう、怒られたくない
もしレイド様って呼んで名前で呼ぶなって怒られたら?ならご主人様って呼べばいいのか…?
頭の中がごちゃごちゃして来た。また泣いてしまいそう、


「ご主人様…」

小さく、小さく呟いた。
助けを求めるように、縋るように

すると脱衣場の扉が開いてご主人様が入ってくる。

「なんで泣いてるんだ、落ち着け。」

少し慌てたように近くのバスタオルを持って俺の頭に被せてくれる。あやす様にタオルの上から頭を撫でられ顔を除き込まれた。

「ごめ、なさい…」

優しいご主人様に安心してまた涙が溜まってくる。情けない…俺は本当にどうしようもない泣き虫だ

「大丈夫、不安だったんだよな…ちゃんと呼べていい子だな」

褒めてくれた…?俺の事、いい子って
嬉しい、褒められた!

身体は素直なもので、嬉しくて少し尻尾を振ってしまう。
そんな俺をよそに、ご主人様は魔法で俺の体や髪の毛の水分を飛ばして、下着と太ももまで隠れる大きなシャツを着せてくれた。
シャツからはご主人様の匂いがするからきっとご主人様の服なんだろう。
……何故かズボンは渡されなかった…。

「さぁ、おいで。ご飯にしよう」

歩けるのに、ご主人様に抱き上げられて一緒に脱衣場を出た。

ご主人様は小さめなテーブルの前に行って俺を椅子の上に下ろす。テーブルの上には小さく食べやすいサイズのパンとバター、カットしてある果物や具沢山のスープ…沢山のご馳走が並べてある。
スープは湯気が出ていていい匂いが俺の食欲をかき立てた。

「わぁ……!」

あまりのご馳走につい声が出てしまう。

「全部ノアールの分だよ。俺はさっき食べたからね…沢山食べな」

これ、全部俺のご飯…?

置いてあったスプーンを掴みスープに食らいついた。少しお行儀が悪いけど、沢山頬張ってお腹を満たす。

ご主人様は俺の正面の席に座って、優しく微笑みながら俺を見ていた。





「ご馳走様でした…!」

美味しかった。暖かいご飯をたらふく食べれて凄く幸せだ…

「ご馳走様が言えて偉いな…今は2時半…まだ昼か、疲れただろう。寝るか?」

お腹が満たされて実はかなり眠たかったんだ、
コクリと頷くとご主人様は俺を抱き上げてベットの上に寝かしてくれた。

「今日は色々な事があって疲れただろう、しっかり休みな」

ふかふかのベット。体が沈んで、溶けて、無くなってしまいそう。
暖かい布団を掛けられ頬を撫でられる。心地好くて、暖かくて、…


霞む意識の中ご主人様の手のひらの温かさを感じながら眠りについた。











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