上 下
117 / 184
1章 幼少期編 I

104.エピローグ

しおりを挟む
 
最近気づいたの。

魔素って、絶望とか恐怖とか、負の波動に触れると活性化するらしいの。

だから私、「境の森」の魔素溜りで実験してみたの。

死にかけの鼠を放り込んだら少しだけ反応したわ。


人間でも試してみたら、もっと広がったの。

人間の死に際の波動が一番効くみたいね。


次は「境の森」で戦争を起こしちゃおうかな。

たくさん人が死ねば魔素溜りが大きくなるもの。

魔素溜りが大きくなると魔獣がたくさん出てくるの。

そうしたら、ますます魔素溜りが拡大していくの。


魔素溜りが大きくなると便利なのよ。

だって私、魔素を食べて生きてるから。


私の体は特別なの。

魔素を体に取り込むと、年を取らないのよ。

寝ている時が多いけど、もう800年ぐらい生きてるかしら。






おかしいな……どうして魔獣大暴走スタンピードが起きないの?

おかしいな……魔素溜りがなくなってる。花だらけの丘になっちゃってる。


──最初から、やり直し?


境の森は警戒されちゃってるから、他を探さなきゃ。

でも、ティストームの北側限定なの。

魔素が定着しやすい地脈って他にないの。


──決めた。次はオマー領にしよう。


今度はじっくり、いくわよ。






準備に、20年以上かかっちゃった。

オマー領主のオジさんと、息子を殺して、魔素溜りの素を作って……っと。


──準備ができた。


食べ物を全部燃やして、橋を落とすの。

孤立させて、オマーの領民を飢え死にさせるの。

ジワジワと死んでいくほうが波動が負に大きく傾くの。

巨大な魔素溜りが出来上がるはずよ。






おかしいな……オマー領民の命が消えてない。

どうなってるの?


──シュシューア姫の予言?


なによそれ。

私、邪魔された?


腹立つわネ。


──呪い殺しテやる。


なにヨこれ。

結界?

魔導士ガ周りに何人もいるじゃナい。

魔力防御が凄すギて呪いが届かないワ!


なんなノよ!

加護までついてルじゃないノ!

信じラんない!

魂まで護られてルわ。


──ナに?


違う次元から、チカラが来てるノ?


──なんなのよ!


なんなのよ!ナんなのよ!ナんナのよ!ナんナノよ!ナんナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!ナンナノヨ!


──ふん。


今がダメなら、前世に遡って、呪ってヤる。

できるのヨ、私。

体に馴染んだ魔素がごっそり、持っていかれるけどネ。




あら、前世って、異世界なノね。

やだ、ここ知ってる。私の故郷だわ!

そういえば私、日本から転移して来たんだった。

平成だったから……私、800年も過去の西大陸に出現したのね。今さらどうでもいいけど。




あ、見つけた!

シュシューア姫の前世の体……まだ子供ね。


私の同魂の体も見つけた。

波動に思念を乗せて送ると憑依できるの。

同魂だから干渉しやすいのよ。




やだ、こっちの体シュシューアの前世にも手が出せないの?……忌々しい加護ね。

じゃぁ、親を殺しちゃおうかな。

車で突っ込んじゃえ~!

ひ・き・こ・ろ・せーーーーっ!

いっかーい……にかーい……さんかーい!

見てる? 見てるぅ? シュシュゥーアァー!

ぐちゃぐちゃだね~。

お父さん、死んじゃったねぇぇぇ~。

泣けーーーっ! 泣けーーーっ! あはははははははははははは……


私の邪魔をするからよ。いい気味~。


私の同魂には犯行時の記憶がないから、なんで殺人を犯したのかわからなくて発狂してる。
警察に捕まって人生台無しにしちゃったけど、ま、いいわよね、1回くらい無駄にしたって。どうせ私の前世か後世だし、また転生するし。今の私は飽きるまでこのまま不老するけどね~。




それじゃぁ、次の魔素溜り作りに取り掛かろ~っと。

次は、そうね……ガーランドに。




頑張らなくちゃ。

待っていてね、愛しいあなた。

可愛い姿のままで、あなたに会いに行くから……絶対に見つけるから……今度こそ離さないから……

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

前世は婚約者に浮気された挙げ句、殺された子爵令嬢です。ところでお父様、私の顔に見覚えはございませんか?

柚木崎 史乃
ファンタジー
子爵令嬢マージョリー・フローレスは、婚約者である公爵令息ギュスターヴ・クロフォードに婚約破棄を告げられた。 理由は、彼がマージョリーよりも愛する相手を見つけたからだという。 「ならば、仕方がない」と諦めて身を引こうとした矢先。マージョリーは突然、何者かの手によって階段から突き落とされ死んでしまう。 だが、マージョリーは今際の際に見てしまった。 ニヤリとほくそ笑むギュスターヴが、自分に『真実』を告げてその場から立ち去るところを。 マージョリーは、心に誓った。「必ず、生まれ変わってこの無念を晴らしてやる」と。 そして、気づけばマージョリーはクロフォード公爵家の長女アメリアとして転生していたのだった。 「今世は復讐のためだけに生きよう」と決心していたアメリアだったが、ひょんなことから居場所を見つけてしまう。 ──もう二度と、自分に幸せなんて訪れないと思っていたのに。 その一方で、アメリアは成長するにつれて自分の顔が段々と前世の自分に近づいてきていることに気づかされる。 けれど、それには思いも寄らない理由があって……? 信頼していた相手に裏切られ殺された令嬢は今世で人の温かさや愛情を知り、過去と決別するために奔走する──。 ※本作品は商業化され、小説配信アプリ「Read2N」にて連載配信されております。そのため、配信されているものとは内容が異なるのでご了承下さい。

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。

しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹 そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる もう限界がきた私はあることを決心するのだった

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を庇おうとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女

かなかな
ファンタジー
異世界に突然やって来たんだけど…私これからどうなるの〜〜!? もふもふに妖精に…神まで!? しかも、愛し子‼︎ これは異世界に突然やってきた幼女の話 ゆっくりやってきますー

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...