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1章 幼少期編 I

102.回避3(Side ロッド王)

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此度の損害は、全面的に国が支援し保証する旨を大々的に公表した。

国庫の穴埋めは捕縛した放火犯たちの労役から補填されるが、何分にも金額が金額である。今後の財務処理を考えると頭が痛い。

出火より三ヶ月間の犯罪は重罰化の宣言通り、火事場犯たちは放火犯と同等の重労役場に送ることとする。科せられた賠償金額の桁がなくなるまでは、人生の大半を費やすことになるだろう。

怪しい動きをしていた邸人らも例外ではない。
尋問と調査の結果、個々の少額な横領が多数発覚した。ここにも「出火より三ヶ月間の犯罪は重罰化」が適用される。摘発された時期が悪かったと諦めて、長い労役に服すがいい。

別件の子爵家乗っ取り計画は、家令と、数人の邸人の協力者と、例の元兵長が……

「南からわざわざ俺様を呼び寄せた、亡きオマー子爵の意思を慮る者はいないのか!? 軟弱な自分の息子に長く愁いておいでだったのだ! 御方の無念を晴らすには、期待を向けられていた俺様が婿入りし、領を強く盛り立てるのが正しき道であろうが!」

何やら勘違いして喚いているが、貴族家乗っ取りは理由如何に関わらず生涯労役が定めである。

「南の大侯爵家の次男が、真逆の北に送られた時点で何故気づかない。お前は排斥されてここに来たのだ。慮外者め」

リボンは決して声を荒げていない。
しかし、この空気のひりつきは……もしやシュシューアがていたというあれか?

「きっ、貴様! 子供のくせに生意気な! 帯剣もしない女のような─────────────」

木偶の棒は唾を飛ばして再び喚きだした。無視されていたが。

「さらばだ、名無し」

愛しの婚約者を寝取ろうとした男だ。
最後に馬の尻を蹴るように元兵長を憲兵の前に転がした。

そういえば、奴の名を呼ぶ者はひとりもいなかったな。


家令も口汚く喚き暴れていたが、誰も聞く耳を持つ者はいなかった。
家令の協力者である邸人たち、元兵長の腰巾着らも揃って生涯労役が決まっている。

取り調べの結果、やはり……というか彼らには、前子爵と子息の死に関与するほどの度量はなかった。
しかし調査は案件として続行とする。


以降───オマー子爵領現地に於いての調査は、憲兵と領兵に一任する。



今はただ、飢饉の回避を喜び、帰都することにしよう。

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