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入店3回目 6 ~こ、これが私ですか!?~
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「それにしても純さんグッジョブっすね! 愛香ちゃんをこんなに可愛く変えちゃうなんて」
「俺は別に何もしてないよ。元々愛香ちゃんにこれだけ可愛くなるポテンシャルがあったってことでしょ」
はわわわ、純さん、顔だけじゃなく心までイケメンすぎます。
純さんが先日美容院に誘ってくださらなければ、私が自分から外見を変える努力なんて思い付きもしなかったはずです。
「いえ、本当に純さんのお陰です。ありがとうございます」
そういえばまだきちんとお礼を言っていなかったことにそこで気づいた私は、改めて純さんに向き直って感謝の言葉を伝えました。
「どういたしまして」
にっこり笑ってそう言った純さんと一瞬目が合いました。
思わずその瞳に引き込まれそうになって、純さんから目が離せなくなります。
純さんも目をそらさなかったので、図らずも見つめ合う結果に。
周囲の音が消えて、視界には純さんしか映らなくなります。
このまま二人だけの世界に入っていけたらいいのに・・・。
「ヒューヒュー。お二人さん、熱いねぇ」
甘い雰囲気になりかけたと思った直後、泰知さんが全部ぶち壊してくださいました。
ていうか、その煽り昭和の小学生ですよ、泰知さん。
さすがの私も頬を膨らませたくなります。
何か一言泰知さんに言おうかと口を開きかけた途端、店内に大音量の音楽が響きました。
あ、これはシャンパンコールが始まる合図ですね。
「ごめんね、ちょっと行ってくる」
言葉と共に純さんと泰知さんは立ち上がります。
私は手を振ってお見送り。
初回の時は訳も分からずただただ圧倒されるだけでしたが、このシャンパンコールの熱気が私は意外と好きかもしれないです。
ホストクラブのホストさんたちは同僚であると同時に日々ランキングを競うライバル同士でもあると思うのですが、その彼らが一体となってお店を盛り上げている姿を見るのは、なんというか「男の絆」みたいなものを感じてしまうのです。
それに、コールに参加している時の純さんは掛け値なしに本当に楽しげで・・・。
このお店とこの仲間たちとこのお仕事が心底お好きなんだなぁというのがストレートに伝わってきます。
コールが終わると恒例のお姫の一言タイム。
「え、と。今日は夜羽くんとケンカしてしまったので、その仲直りのためにシャンパン入れました。これからも応援するので頑張ってください」
ところが、そのお姫の一言にホストさんたちはざわついています。
・・・? 何か問題発言でもあったでしょうか。
ほどなくして純さんは私のお隣に帰っていらっしゃいました。
「お帰りなさい」
普通に労いの言葉をかけたのですが、純さんが心なしウキウキなさっているのが感じられます。
「ケンカして仲直りしたらシャンパン入れてくれるんだって」
あー、そういうことですか。
ていうか純さん? そんな期待に満ちたキラキラした瞳で私をご覧になっても無理ですからね?
純さんとケンカなんてしたら私泣いてしまいます。
それよりもシャンパンて・・・やっぱり入れた方がいいんでしょうか。
以前雑談の際にそんな話が出た時、純さんは
「シャンパン入れてくれるならそのお金で指名増やしてほしいな」
と確かおっしゃっていたんです。
あくまでも指名数にこだわる純さんらしいなと思いましたし、純さんがそのおつもりでいらっしゃるなら私は指名数に貢献することだけに注力しようと考えたのですが・・・。
まぁ、シャンパン入れるのってとってもホストクラブらしいですし、ちょっと一度やってみたくはあります。
ただ、皆さまの前で一言発言しなければいけないのが私にとっては若干苦痛でしょうか。
――入店三回目の夜は、そんな感じでふけていきました。
「俺は別に何もしてないよ。元々愛香ちゃんにこれだけ可愛くなるポテンシャルがあったってことでしょ」
はわわわ、純さん、顔だけじゃなく心までイケメンすぎます。
純さんが先日美容院に誘ってくださらなければ、私が自分から外見を変える努力なんて思い付きもしなかったはずです。
「いえ、本当に純さんのお陰です。ありがとうございます」
そういえばまだきちんとお礼を言っていなかったことにそこで気づいた私は、改めて純さんに向き直って感謝の言葉を伝えました。
「どういたしまして」
にっこり笑ってそう言った純さんと一瞬目が合いました。
思わずその瞳に引き込まれそうになって、純さんから目が離せなくなります。
純さんも目をそらさなかったので、図らずも見つめ合う結果に。
周囲の音が消えて、視界には純さんしか映らなくなります。
このまま二人だけの世界に入っていけたらいいのに・・・。
「ヒューヒュー。お二人さん、熱いねぇ」
甘い雰囲気になりかけたと思った直後、泰知さんが全部ぶち壊してくださいました。
ていうか、その煽り昭和の小学生ですよ、泰知さん。
さすがの私も頬を膨らませたくなります。
何か一言泰知さんに言おうかと口を開きかけた途端、店内に大音量の音楽が響きました。
あ、これはシャンパンコールが始まる合図ですね。
「ごめんね、ちょっと行ってくる」
言葉と共に純さんと泰知さんは立ち上がります。
私は手を振ってお見送り。
初回の時は訳も分からずただただ圧倒されるだけでしたが、このシャンパンコールの熱気が私は意外と好きかもしれないです。
ホストクラブのホストさんたちは同僚であると同時に日々ランキングを競うライバル同士でもあると思うのですが、その彼らが一体となってお店を盛り上げている姿を見るのは、なんというか「男の絆」みたいなものを感じてしまうのです。
それに、コールに参加している時の純さんは掛け値なしに本当に楽しげで・・・。
このお店とこの仲間たちとこのお仕事が心底お好きなんだなぁというのがストレートに伝わってきます。
コールが終わると恒例のお姫の一言タイム。
「え、と。今日は夜羽くんとケンカしてしまったので、その仲直りのためにシャンパン入れました。これからも応援するので頑張ってください」
ところが、そのお姫の一言にホストさんたちはざわついています。
・・・? 何か問題発言でもあったでしょうか。
ほどなくして純さんは私のお隣に帰っていらっしゃいました。
「お帰りなさい」
普通に労いの言葉をかけたのですが、純さんが心なしウキウキなさっているのが感じられます。
「ケンカして仲直りしたらシャンパン入れてくれるんだって」
あー、そういうことですか。
ていうか純さん? そんな期待に満ちたキラキラした瞳で私をご覧になっても無理ですからね?
純さんとケンカなんてしたら私泣いてしまいます。
それよりもシャンパンて・・・やっぱり入れた方がいいんでしょうか。
以前雑談の際にそんな話が出た時、純さんは
「シャンパン入れてくれるならそのお金で指名増やしてほしいな」
と確かおっしゃっていたんです。
あくまでも指名数にこだわる純さんらしいなと思いましたし、純さんがそのおつもりでいらっしゃるなら私は指名数に貢献することだけに注力しようと考えたのですが・・・。
まぁ、シャンパン入れるのってとってもホストクラブらしいですし、ちょっと一度やってみたくはあります。
ただ、皆さまの前で一言発言しなければいけないのが私にとっては若干苦痛でしょうか。
――入店三回目の夜は、そんな感じでふけていきました。
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