23 / 57
初回 8 ~シャンパンコール~
しおりを挟む
チェックをお願いして、お支払をすませると純さんの後に続いて入り口へ向かいます。
「お客さまお帰りです」
帰る時にも店内にアナウンスされてしまうのですね。
純さんはお店の外までお見送りしてくださいます。
これはホストクラブでは当たり前のことで、担当ホストさんは必ずお見送りすることになっているようです。
ちなみに、ホストクラブには私のようにホストさんに連れてきていただくのではなく、自ら直接お店へ出向くいわゆる飛び込みのお客さまもいらっしゃいます。
そういう方はまず最初に三名のホストさんを選んで指名するのだそうです。
そして最後にお店の外までお見送りしていただくホストさんを一人指名します(これを「送り指名」というそうです)。
送り指名に選ばれたホストさんは、お見送りした時にお相手の連絡先を聞くなどして次に繋げるチャンスを得られるわけですね。
余談ですが、ネットで見た知識では「初回荒らし」なるものがいるらしいです。
これは、いろいろなお店の初回のみに行ってお安くホストクラブを楽しもうというある意味での裏テクですね。
ただ、次に繋がるお客さまにはならないので、ホストさんたちはあまりいい顔をされないそうです。
「愛香ちゃん、今日は本当にありがとう」
「いえ、こちらこそありがとうございます」
お店の外で、ほんの数分間純さんと二人だけで立ち話。
このまま帰るのはとっっても名残惜しいです・・・。
「気をつけて帰ってね」
「はい」
何か言わなきゃと思うのですが、言葉が出てきません。
「家に着いたら連絡して。無事に帰れたか心配だし。営業中は返せないけど、また連絡するね」
「分かりました」
あああ、もう。
私ってば本当に気が利かない。
「じゃあ、失礼します」
「うん。またね」
そう言って手を振る純さんを後に、私は歩きだしました。
よく考えたら、お店に行く時は純さんが一緒だったわけで、歌舞伎町の中を私一人で歩いていくのはなかなかのスリルです。
深夜にはまだ遠い時間帯ですが、それでもほろ酔いの男性やたむろする外国人もいて、私は自然と早足になってました。
駅に着いて自宅方面に向かう電車に乘った時には思わず深い溜め息が漏れたほどです。
電車のドアに寄りかかって流れていく新宿の街並みを見るともなく眺めていました。
とにかく疲れました。
それを自覚するとにわかにドッと疲労感が押し寄せてきます。
とにかくいろんな事が目まぐるしくて刺激的で、私のキャパは完全にオーバー。
脳みそから何かが溢れだしそうです。
まだ今日起きたことを反芻する余地もありません。
「お客さまお帰りです」
帰る時にも店内にアナウンスされてしまうのですね。
純さんはお店の外までお見送りしてくださいます。
これはホストクラブでは当たり前のことで、担当ホストさんは必ずお見送りすることになっているようです。
ちなみに、ホストクラブには私のようにホストさんに連れてきていただくのではなく、自ら直接お店へ出向くいわゆる飛び込みのお客さまもいらっしゃいます。
そういう方はまず最初に三名のホストさんを選んで指名するのだそうです。
そして最後にお店の外までお見送りしていただくホストさんを一人指名します(これを「送り指名」というそうです)。
送り指名に選ばれたホストさんは、お見送りした時にお相手の連絡先を聞くなどして次に繋げるチャンスを得られるわけですね。
余談ですが、ネットで見た知識では「初回荒らし」なるものがいるらしいです。
これは、いろいろなお店の初回のみに行ってお安くホストクラブを楽しもうというある意味での裏テクですね。
ただ、次に繋がるお客さまにはならないので、ホストさんたちはあまりいい顔をされないそうです。
「愛香ちゃん、今日は本当にありがとう」
「いえ、こちらこそありがとうございます」
お店の外で、ほんの数分間純さんと二人だけで立ち話。
このまま帰るのはとっっても名残惜しいです・・・。
「気をつけて帰ってね」
「はい」
何か言わなきゃと思うのですが、言葉が出てきません。
「家に着いたら連絡して。無事に帰れたか心配だし。営業中は返せないけど、また連絡するね」
「分かりました」
あああ、もう。
私ってば本当に気が利かない。
「じゃあ、失礼します」
「うん。またね」
そう言って手を振る純さんを後に、私は歩きだしました。
よく考えたら、お店に行く時は純さんが一緒だったわけで、歌舞伎町の中を私一人で歩いていくのはなかなかのスリルです。
深夜にはまだ遠い時間帯ですが、それでもほろ酔いの男性やたむろする外国人もいて、私は自然と早足になってました。
駅に着いて自宅方面に向かう電車に乘った時には思わず深い溜め息が漏れたほどです。
電車のドアに寄りかかって流れていく新宿の街並みを見るともなく眺めていました。
とにかく疲れました。
それを自覚するとにわかにドッと疲労感が押し寄せてきます。
とにかくいろんな事が目まぐるしくて刺激的で、私のキャパは完全にオーバー。
脳みそから何かが溢れだしそうです。
まだ今日起きたことを反芻する余地もありません。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
この度、仮面夫婦の妊婦妻になりまして。
天織 みお
恋愛
「おめでとうございます。奥様はご懐妊されています」
目が覚めたらいきなり知らない老人に言われた私。どうやら私、妊娠していたらしい。
「だが!彼女と子供が出来るような心当たりは一度しかないんだぞ!!」
そして、子供を作ったイケメン王太子様との仲はあまり良くないようで――?
そこに私の元婚約者らしい隣国の王太子様とそのお妃様まで新婚旅行でやって来た!
っていうか、私ただの女子高生なんですけど、いつの間に結婚していたの?!ファーストキスすらまだなんだけど!!
っていうか、ここどこ?!
※完結まで毎日2話更新予定でしたが、3話に変更しました
※他サイトにも掲載中
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる