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初回 2 ~シャンパンコール~
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「来てくれてありがとう」
こないだのカフェで待ち合わせて店内に入ってからも、私の動きはぎくしゃくしています。
「愛香ちゃん緊張してる?」
「す、少し・・・」
笑おうとするのですがうまく笑えません。
「大丈夫。今日は楽しも?」
純さんはそう言ってくださいますが、果たしてその余裕があるのやら・・・。
「純さん、あのっ」
「何?」
「私その、前にもお伝えしましたが、男性と接するのがちょっと苦手で・・・」
「あー、前にも言ってたね」
「お店ではその、お話するのは純さんだけでしょうか。他の人は、その・・・」
「愛香ちゃんは俺の担当さんだから、横に座るのは俺だけだよ」
断言してくださったので、ちょっとホッとしました。
ご存じの方も多いでしょうが、ホストクラブでは“指名制度”というものがあります。
お店に通うにはいずれかのホストさんを指名しなければならず、また一度どなたかを指名するとそれはいかなる理由があっても変更不可です。
これを「永久指名制度」というらしいです。
ホストさんを指名したお客さんのことは“担当”といいます。
まれに担当ホストを変えるお客さんもいらっしゃるらしいですが、もちろんそういう方は煙たがられます。
私は当然純さん一筋なので、他の方に目移りするなんてありえません。
まだお店に行く前ですが、それは断言できます。
ついでに、ホストさんたちはお客さまのことを総体的に“姫”と呼んでらっしゃいます。
お店のオープンは20時からなので、オープン10分前くらいにはカフェを出てお店へ向かいました。
といっても、私の体はぎくしゃくしたままで、右手と右足を同時に出して純さんに笑われました。
カフェからお店に行くには、途中歌舞伎町の裏路地を抜けます。
夏に向かう季節とはいえ日はもうすっかり落ちて、立ち並ぶお店にはどこも明かりが灯っています。
表通りに出れば派手にきらめくネオン、行き交うたくさんの人たち。
そこかしこで話し声や笑い声がさざめきのように聞こえ、宣伝カーが通りすぎて行きます。
その中を純さんと肩を並べて歩いていると、まるで自分が異空間に紛れ込んでしまったような錯覚に陥りました。
日本一の歓楽街、猥雑な夜の街。
本来なら私とは一生無縁だった場所です。
純さんに出会わなければ。
そんなことをぼんやりと考えていると、お店にはあっという間にたどりつきました。
表通りから一歩裏の道へ入ったところにある、雑居ビルの一階。
御影石の壁と瑠璃色の地に金文字の看板。
そこが「BLUE DIAMOND CLUB」です。
こないだのカフェで待ち合わせて店内に入ってからも、私の動きはぎくしゃくしています。
「愛香ちゃん緊張してる?」
「す、少し・・・」
笑おうとするのですがうまく笑えません。
「大丈夫。今日は楽しも?」
純さんはそう言ってくださいますが、果たしてその余裕があるのやら・・・。
「純さん、あのっ」
「何?」
「私その、前にもお伝えしましたが、男性と接するのがちょっと苦手で・・・」
「あー、前にも言ってたね」
「お店ではその、お話するのは純さんだけでしょうか。他の人は、その・・・」
「愛香ちゃんは俺の担当さんだから、横に座るのは俺だけだよ」
断言してくださったので、ちょっとホッとしました。
ご存じの方も多いでしょうが、ホストクラブでは“指名制度”というものがあります。
お店に通うにはいずれかのホストさんを指名しなければならず、また一度どなたかを指名するとそれはいかなる理由があっても変更不可です。
これを「永久指名制度」というらしいです。
ホストさんを指名したお客さんのことは“担当”といいます。
まれに担当ホストを変えるお客さんもいらっしゃるらしいですが、もちろんそういう方は煙たがられます。
私は当然純さん一筋なので、他の方に目移りするなんてありえません。
まだお店に行く前ですが、それは断言できます。
ついでに、ホストさんたちはお客さまのことを総体的に“姫”と呼んでらっしゃいます。
お店のオープンは20時からなので、オープン10分前くらいにはカフェを出てお店へ向かいました。
といっても、私の体はぎくしゃくしたままで、右手と右足を同時に出して純さんに笑われました。
カフェからお店に行くには、途中歌舞伎町の裏路地を抜けます。
夏に向かう季節とはいえ日はもうすっかり落ちて、立ち並ぶお店にはどこも明かりが灯っています。
表通りに出れば派手にきらめくネオン、行き交うたくさんの人たち。
そこかしこで話し声や笑い声がさざめきのように聞こえ、宣伝カーが通りすぎて行きます。
その中を純さんと肩を並べて歩いていると、まるで自分が異空間に紛れ込んでしまったような錯覚に陥りました。
日本一の歓楽街、猥雑な夜の街。
本来なら私とは一生無縁だった場所です。
純さんに出会わなければ。
そんなことをぼんやりと考えていると、お店にはあっという間にたどりつきました。
表通りから一歩裏の道へ入ったところにある、雑居ビルの一階。
御影石の壁と瑠璃色の地に金文字の看板。
そこが「BLUE DIAMOND CLUB」です。
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