36 / 50
クロムウェル
アインVS
しおりを挟む
「いいか……?」
「えぇ……。いつでも大丈夫よ」
物陰に隠れて言葉を交わし合うロクとシーフ。視線の先には油断しきっているアインがいた。
「よし、今だ!」
「甘いよ!」
シーフの声と共に一斉にアインに飛びかかり捕まえようとするが、気付かれていたらしく躱されてしまった。
「くっ……。キリがないな……」
「えぇ……。どうしたら捕まえられるのかしら……」
「さすがに……好きな物で釣るとかはないよなぁ……」
「……あるかもしれないわね」
シーフの何気ない一言にロクは目の色を変えた。
「本当か!?あいつの好きな物はなんだ!?」
「確か……林檎ね」
「林檎ならマーケットに売ってあるな……。二つくらい買うか?」
「そうしましょう。罠を作らないと……」
シーフ達四人は集まって、アインを捕まえるための罠を作り始めた。
二時間して、穴を掘ってそこを隠すだけの簡易的な罠が出来上がった。
「これ……本当に捕まるのか……?」
「……多分、捕まえられるわ」
「大丈夫……です」
「僕は捕まらないと思いますけどね……」
エモの言葉に一同は項垂れるも、物は試しとアインを待ってみた。
10分すると、アインが現れた。
「……なんでだよ」
「単純すぎるわね……」
「馬鹿……です」
「アインは馬鹿ですからね……」
アインが林檎へと近付き、手を伸ばしたその時だった。
地面が抜け、林檎と共にアインがその中に落下した。
「……なんでだよ!!罠だって分かるだろ!!」
シーフがアインの所へと歩きながら突っ込む。
「林檎があるなーと思ったら体が勝手に……」
「馬鹿ね……」
「馬鹿……です」
「アインはやっぱり馬鹿だったんですね……」
「馬鹿とは何だー!!……あっ」
呆れて馬鹿としか言えない四人にアインはムキになるが、自分の今の状況を見て、赤面する。
アインを落とし穴から出してやった後、四人で滅茶苦茶説教した。
「それで?なんで逃げたんだ?」
「……」
アインは答えない。
「黙ってても分からないぞ?怒らないから言ってみろ」
「怒られると思ったから……」
「……」
「ひっ……」
もはや何も言えなくなって黙るシーフに、アインが怯える。
「……ごめんなさい」
これ以上は身に危険が及ぶと思ったのか、アインが謝る。
「謝るべきは俺じゃないだろ。あのおじいさんに謝らないといけなかったのに……」
「はぁい……」
「まぁ、もう過ぎた事だ。仕方ない。今度から気を付けるんだぞ?」
「分かったぞ!」
説教が終わった途端に、シーフが持っていた林檎を奪い取り食べ始めた。
追いかけっこではシーン達が勝ったが、色々な意味でアインに負けた気がする四人であった……。
「えぇ……。いつでも大丈夫よ」
物陰に隠れて言葉を交わし合うロクとシーフ。視線の先には油断しきっているアインがいた。
「よし、今だ!」
「甘いよ!」
シーフの声と共に一斉にアインに飛びかかり捕まえようとするが、気付かれていたらしく躱されてしまった。
「くっ……。キリがないな……」
「えぇ……。どうしたら捕まえられるのかしら……」
「さすがに……好きな物で釣るとかはないよなぁ……」
「……あるかもしれないわね」
シーフの何気ない一言にロクは目の色を変えた。
「本当か!?あいつの好きな物はなんだ!?」
「確か……林檎ね」
「林檎ならマーケットに売ってあるな……。二つくらい買うか?」
「そうしましょう。罠を作らないと……」
シーフ達四人は集まって、アインを捕まえるための罠を作り始めた。
二時間して、穴を掘ってそこを隠すだけの簡易的な罠が出来上がった。
「これ……本当に捕まるのか……?」
「……多分、捕まえられるわ」
「大丈夫……です」
「僕は捕まらないと思いますけどね……」
エモの言葉に一同は項垂れるも、物は試しとアインを待ってみた。
10分すると、アインが現れた。
「……なんでだよ」
「単純すぎるわね……」
「馬鹿……です」
「アインは馬鹿ですからね……」
アインが林檎へと近付き、手を伸ばしたその時だった。
地面が抜け、林檎と共にアインがその中に落下した。
「……なんでだよ!!罠だって分かるだろ!!」
シーフがアインの所へと歩きながら突っ込む。
「林檎があるなーと思ったら体が勝手に……」
「馬鹿ね……」
「馬鹿……です」
「アインはやっぱり馬鹿だったんですね……」
「馬鹿とは何だー!!……あっ」
呆れて馬鹿としか言えない四人にアインはムキになるが、自分の今の状況を見て、赤面する。
アインを落とし穴から出してやった後、四人で滅茶苦茶説教した。
「それで?なんで逃げたんだ?」
「……」
アインは答えない。
「黙ってても分からないぞ?怒らないから言ってみろ」
「怒られると思ったから……」
「……」
「ひっ……」
もはや何も言えなくなって黙るシーフに、アインが怯える。
「……ごめんなさい」
これ以上は身に危険が及ぶと思ったのか、アインが謝る。
「謝るべきは俺じゃないだろ。あのおじいさんに謝らないといけなかったのに……」
「はぁい……」
「まぁ、もう過ぎた事だ。仕方ない。今度から気を付けるんだぞ?」
「分かったぞ!」
説教が終わった途端に、シーフが持っていた林檎を奪い取り食べ始めた。
追いかけっこではシーン達が勝ったが、色々な意味でアインに負けた気がする四人であった……。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる