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星の書庫

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三人目

アイン

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早朝、まだ日の昇っていない頃。シーフの家ではロクとシーフの怒号が、聞こえていた。
「そんなんじゃ接近戦で魔族に力負けするわよ!スピードが肝心!まだまだ鍛えなさい!」
「分かってらぁ!」
「なら実践!!」
「おぅ!!」
ただ一人、ヘンリエッタだけは俯いて何かをしている。不意にヘンリエッタが立ち上がった。
「ロク……です」
「何よ?ヘンリエッタ。今は訓練中よ?」
ロクは訓練中に話しかけられた事もあり、少々不機嫌になった。ヘンリエッタは落ち着かない様子で二人に告げる。
「託宣……です。アインが来る……です」
「「っ!?」」
ロクは、知った名前を聞き、驚いた。
シーフは、敵が現れるのかと身構えた。
「なぁ……」
緊張の中、シーフが口を開いた。
「なによ?」
「アインって誰だ?」
「後で嫌でも知る事になるわよ」
「……そうか」
その時
「おっはよう!!あたしはアイン!アイン・スラムさ!シーフって奴の家はここかい?おーおー、こんな朝っぱらから訓練だなんて……ロクも鬼だなー!」
そんな少女のうるさ……元気の良い声がシーフ達の耳を支配した。
「まだ日も昇らない早朝からこんな大声で話すあなたが鬼よ、アイン・スラム!」
すかさず反論するロク。
「アイン、うるさい……です。」
「そうか?元気が良いのは良いことだぞ?」
「あなたの場合元気がありすぎてうるさいのよ!」
かく言うロクもうるさかったりするが……。
「なんだい、ロク。朝っぱらからうるさいのはあんたも同じだろ?それよりあたしはシーフってのに用があるんだ……。ほほぅ……あんたが時詠みの継承者かい?」
アインはシーフに歩み寄ってくる。
「あぁ、そうだが?」
「へぇ……訓練してるのかい?」
アインはなぜかそんなことを聞いてきた。
「あぁ……」
「それにしては貧相な体つきじゃないか?ほんとに訓練してるのか、あたしが試してやるさね!」
「まちなさい、アイン!あなたまさかあの能力を!?」
ロクが今、不吉な事を言った気がするが……?
「使わないよ。こんなひょろっちいのにあたしは素で勝てるわよ」
「おい……」
「「なに(よ)?」」
「その……能力ってなんだ?」
「「教えないよ(わ)」」
アイン、ロクに全否定された。ヘンリエッタはどうでも良さそうにそっぽを向いていた。
「さぁ、シーフ!あたしと勝負よ!」
アインは強引にシーフの手を引き、二人の身体のまわりに魔法陣を発動させた。
「結界魔法……!厄介ね……」
「あれ?出られないぞ、ロク?」
「結界魔法……です。術者を倒すまで出られません……です」
「まじかよ……」
「さぁ!出たいならあたしを倒して出なさい!」
そんな事を言いながら、槍を構えたアインは先程までとは違うただならぬ闘気を醸し出している。
「こないなら……あたしから行くよ!!」
アインはシーフに飛びついた。
「くそ……!!どうなっても知らねぇぞ!」

アインとシーフの戦いが始まった……。
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