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日常
決意 再び
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「永遠に俺の前に現れるな……それがお前達への懲罰だ!!」
そう言ってシーフは二人の姿を消した。
「おい……お頭って…………」
「あぁ……魔法が使えなかったはずだ」
「なんで……嘘をついていたのか?いや、頭領に限ってそれはないはずだ」
「じゃあなんで……?」
義賊員達のざわめきが聞こえる。シーフはその場の皆に向かって言葉を放つ。
「確かに……俺は一切魔法が使えなかった。今俺が使ったのは、俺の連れのロクが使っている時詠みの術だ。この才能があったから、俺は魔法が使えなかったらしい……。俺が義賊を辞めると決意したのも、この時詠みの術者に魔族の女王、フローリアを倒す宿命があると知ったからだ」
シーフは、自分の事を包み隠さず話し始めた。
「なっ……!?」
「そんな能力があったのか……」
「魔族ってなんだ……?」
「俺もつい最近まで知らなかった。最初はこの宿命を恨んでいたさ。訓練きついし、ロクと同等の力を持った奴と殺り合わなきゃいけないなんてさ」
「なんでそこで、諦めなかったんですか?お頭……」
一人がシーフに聞く。
「お前達のためさ」
『っ!?』
「お前達が平穏に暮らすために、俺はフローリアを倒すと決めた。一刻も早く、倒すと決めたんだ……」
シーフは、自分の思いを打ち明けた。
「だって俺は義賊だろ?義賊は民の平和を守るんだ。その頭領の俺はお前達も守らなきゃいけないだろ?」
「お頭……」
「頭領……」
「頭領様……」
義賊員達はシーフの言葉に感動した。涙を流す者までいた。
「だから、俺はフローリアを倒す。そうしたら、義賊にまた戻ってくるさ」
「へぇ……いい事を聞かせて貰ったわ。ねぇ?ヘンリエッタ」
「はい……です」
シーフの後ろからいきなり声がした。
「なっ!?お前達、いつの間に!?」
シーフは赤面し、慌てて顔を隠す。
「いいじゃないの。私はあなたの思いが戦いの前に知れて良かったと思うわ?」
「私も……です」
二人は、嬉しそうにしている。ヘンリエッタは相変わらず無表情だが、いつもより笑っているように感じる。ロクはどう見ても表情が明るい。
「お頭!!」
不意に、一人がシーフのもとに駆け寄ってきた。
「絶対に……生きて帰ってくださいよ!!」
その一人に発破を掛けられた様に、次々とシーフに駆け寄ってくる義賊員達。
「そうですよ頭領!俺達は頭領を待ってますよ!その、フロなんとかって奴を必ずやっつけて、また俺達の頭領になってください!」
「おう。絶対に、生きて帰ってくる。じゃないと、顔向け出来ないからな!」
『はい!!』
こうして、再びシーフは打倒フローリアを掲げた。
この時シーフは、大切な物を失う事にまだ、気付いていなかった……。
そう言ってシーフは二人の姿を消した。
「おい……お頭って…………」
「あぁ……魔法が使えなかったはずだ」
「なんで……嘘をついていたのか?いや、頭領に限ってそれはないはずだ」
「じゃあなんで……?」
義賊員達のざわめきが聞こえる。シーフはその場の皆に向かって言葉を放つ。
「確かに……俺は一切魔法が使えなかった。今俺が使ったのは、俺の連れのロクが使っている時詠みの術だ。この才能があったから、俺は魔法が使えなかったらしい……。俺が義賊を辞めると決意したのも、この時詠みの術者に魔族の女王、フローリアを倒す宿命があると知ったからだ」
シーフは、自分の事を包み隠さず話し始めた。
「なっ……!?」
「そんな能力があったのか……」
「魔族ってなんだ……?」
「俺もつい最近まで知らなかった。最初はこの宿命を恨んでいたさ。訓練きついし、ロクと同等の力を持った奴と殺り合わなきゃいけないなんてさ」
「なんでそこで、諦めなかったんですか?お頭……」
一人がシーフに聞く。
「お前達のためさ」
『っ!?』
「お前達が平穏に暮らすために、俺はフローリアを倒すと決めた。一刻も早く、倒すと決めたんだ……」
シーフは、自分の思いを打ち明けた。
「だって俺は義賊だろ?義賊は民の平和を守るんだ。その頭領の俺はお前達も守らなきゃいけないだろ?」
「お頭……」
「頭領……」
「頭領様……」
義賊員達はシーフの言葉に感動した。涙を流す者までいた。
「だから、俺はフローリアを倒す。そうしたら、義賊にまた戻ってくるさ」
「へぇ……いい事を聞かせて貰ったわ。ねぇ?ヘンリエッタ」
「はい……です」
シーフの後ろからいきなり声がした。
「なっ!?お前達、いつの間に!?」
シーフは赤面し、慌てて顔を隠す。
「いいじゃないの。私はあなたの思いが戦いの前に知れて良かったと思うわ?」
「私も……です」
二人は、嬉しそうにしている。ヘンリエッタは相変わらず無表情だが、いつもより笑っているように感じる。ロクはどう見ても表情が明るい。
「お頭!!」
不意に、一人がシーフのもとに駆け寄ってきた。
「絶対に……生きて帰ってくださいよ!!」
その一人に発破を掛けられた様に、次々とシーフに駆け寄ってくる義賊員達。
「そうですよ頭領!俺達は頭領を待ってますよ!その、フロなんとかって奴を必ずやっつけて、また俺達の頭領になってください!」
「おう。絶対に、生きて帰ってくる。じゃないと、顔向け出来ないからな!」
『はい!!』
こうして、再びシーフは打倒フローリアを掲げた。
この時シーフは、大切な物を失う事にまだ、気付いていなかった……。
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