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葛藤と決意
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部屋で一人、考える。
川嶋は、運命だと言った。
それは違う。あの子と二度もぶつかったのは、ただの偶然。運命なんてあるわけない。少なくとも今の俺には、そう考える方が、気が楽だった。
愛する人を失う悲しみは、失った人にしか分からない。こんな思いをするくらいなら、もう恋愛なんてしないと、俺は茉莉を亡くした日に誓った。
誰かと結ばれて幸せになることで、その分辛い目に遭う。そんな事は、もう嫌だ。だから俺は、もう誰も好きにならない。
心に靄を抱えたまま、風呂に入ることになった。学校が露天風呂を貸し切っているらしく、川嶋は人がいない時間を狙って、俺を誘ってきた。
「さっきはすまんな……。無神経だったな」
部屋で落ち込んでいる俺を見て悪いと思ったのか、川嶋は俺に謝ってくる。別に彼のせいではないし、気にすることはないのに。
「俺も、少し神経質になりすぎたよ。ごめん」
「お前が謝るんじゃねえよ。悪いのは俺なんだから、仕方ないだろ?」
「……そうだな」
俺を心配してくれているのだろうか。もしそうだとしたら、川嶋には悪いことをしたな。つくづく俺は人付き合いが苦手だと感じた。
川嶋の予想通り、露天風呂には人が少なかった。少し寒いが、雲一つない星空で、綺麗な景色が広がっている。
「さっむいな!」
「……二月だからね」
「風邪引きそうだな!」
川嶋は笑いながらおどけてみせる。彼なりに場を盛り上げようとしてくれているのだろう。さすがは心身ともにイケメンだ。
「これで風邪引いたら、川嶋のせいだな」
「お、言ったな?のこのこと付いてきたお前も悪いからなー!」
二人で軽口を叩き合いながら、寒空の中、湯船に浸かった。その湯は冷え切った心を温めてくれるようで、すごく、暖かった。
空を見上げると、満点の星空。この上には、茉莉がいるのだろうか。まだ、俺の事を恨んでいるのだろうか。星になった彼女は、今の俺を好いてくれるのだろうか……。
茉莉が死んでから、悪夢にうなされ続けた日々。最近は、その夢も頻度が減ってきた。
「茉莉……」
俺は、隣にいる川嶋には聞こえないほどの声で、今は亡き愛する人の名を呼ぶ。自然と、涙が出てきた。
「なあ、島さ……っておい、大丈夫か!?」
タイミングを見計らったかのように、川嶋が俺の方を向いた。きっと彼の目には、情けなく泣く俺の姿が映っていたのだろう。俺は川嶋に介抱されながら、露天風呂を出た。
「あぁぁぁ……」
恥ずかしい。とても恥ずかしい。今まで男友達に弱みを見せた事はなかったのに、よりによってこいつに見られてしまった。部屋も同じだし、気まずくて仕方がない。
「まぁ、気にすんなよ」
「気にしない方が無理だろ……」
川嶋は気にするなと言って慰めてくれるが、気にしない方が難しい。泣き顔なんて、友達に一番見られたくなかった。
「……俺は、お前が泣いてくれてよかったと思ってるよ」
「……え?」
不意に、川嶋の声色が変わった。彼を見ると、普段の明るい雰囲気とは打って変わって、真剣な眼差しで俺を見つめていた。
「島崎ってさ、普段何考えてるか分からないんだよな。正直に言って、人の心を持ってるのか疑った時もあった。
それは、神林が亡くなってからだ。その直後に小野寺のストーカー事件だもんな。そりゃぁ人嫌いにもなるわけだ。
あれからお前は塞ぎ込んでしまって、人との関わりを拒絶するようになった。……違うか?」
「……そう、だな」
彼の言うことは当たっている。茉莉が死んでから、俺は傍から見ても分かるほど、自分を捻じ曲げた。
なるべく人と関わらないように。確かに、小野寺のストーカー事件も起因していたが、それは微々たるもの。
俺には、茉莉を亡くしたショックが大きすぎた。
「あれからもう何ヶ月経ったよ。今、お前は俺と言う友を持った。最強のな」
川嶋は、そう言って笑う。続け様に、俺の肩を掴んで語りかける。
「もうそろそろ、神林さんだってお前に、他に良い人を見つけて欲しいと思ってるんじゃないか?」
「……でも、俺は」
反論しようと立ち上がる俺を抑えて、川崎は言う。
「確かにお前の気持ちも大事だ。……だけどな。神林さんは、大好きなお前に、幸せになって欲しいんだよ。お前が悪夢に悩まされていたのは知ってる。それは、本当に神林さんなのか?お前自身が、彼女を助けられなかった罪悪感から生み出した、ただの虚像なんじゃないのかよ!?」
「……」
いつになく真剣な眼差しで、川崎は俺に問う。「それは本物なのか」と。
「本当はお前だって、気付いていたんだろ!?
神林さんはずっと、SNSでお前のことばかり呟いてた。夏休み初日に、ようやく恋人になれた事。自分の事を、身を挺して守ってくれる頼もしい存在だってこと。毎日、お前らの惚気でいっぱいだった。亡くなる直前まで、彼女はお前の事を呟いてた」
そう言って、川嶋はスマホの画面を俺に見せる。
そこには、ゲームセンターで取った、クマのぬいぐるみと一緒に映る、茉莉の姿があった。楽しそうに、満面の笑みで映っている。
「この文、読んでみろよ。最後までお前にぞっこんだっただろうが」
茉莉が投稿した文を読んで、涙が溢れた。最後の文には、『純が大好き』だと書かれている。
「……最期の最期までお前の事を想ってた彼女だぞ。そんな人が不可抗力の事故で、想い人を恨むなんて、するはずないだろう!」
「っ……」
「もう、お前は前に進んで良いんだよ。お前が神林さんの分まで生きて、幸せになれば良いんだよ!」
川崎は、掴んでいた俺の肩を離す。俺は力が抜けて、その場に崩れ落ちた。
「幸せに……。俺が?」
「そうだよ」
「いいのか……?」
「良いんだよ。お前みたいな良いやつは、幸せになるべきなんだ」
「そっか……」
川崎の放った言葉を深く噛み締める。今まで見えていなかった世界が、一気に広がっていく気がした。
「……ありがとう、川嶋」
「輝樹だ」
「え?」
「今までは見逃してたけどな。苗字なんて水臭い呼び方、許さないぞ」
「……」
押し黙る俺の手を、輝樹は力強く握りしめた。彼の表情は、いつもの明るいものに変わっていた。
「よろしくな、純」
「……よろしく、輝樹」
とりあえずは、茉莉の分まで生きよう。そして、幸せになろう。
輝樹との友情の確立とともに、俺はそう決意した。
川嶋は、運命だと言った。
それは違う。あの子と二度もぶつかったのは、ただの偶然。運命なんてあるわけない。少なくとも今の俺には、そう考える方が、気が楽だった。
愛する人を失う悲しみは、失った人にしか分からない。こんな思いをするくらいなら、もう恋愛なんてしないと、俺は茉莉を亡くした日に誓った。
誰かと結ばれて幸せになることで、その分辛い目に遭う。そんな事は、もう嫌だ。だから俺は、もう誰も好きにならない。
心に靄を抱えたまま、風呂に入ることになった。学校が露天風呂を貸し切っているらしく、川嶋は人がいない時間を狙って、俺を誘ってきた。
「さっきはすまんな……。無神経だったな」
部屋で落ち込んでいる俺を見て悪いと思ったのか、川嶋は俺に謝ってくる。別に彼のせいではないし、気にすることはないのに。
「俺も、少し神経質になりすぎたよ。ごめん」
「お前が謝るんじゃねえよ。悪いのは俺なんだから、仕方ないだろ?」
「……そうだな」
俺を心配してくれているのだろうか。もしそうだとしたら、川嶋には悪いことをしたな。つくづく俺は人付き合いが苦手だと感じた。
川嶋の予想通り、露天風呂には人が少なかった。少し寒いが、雲一つない星空で、綺麗な景色が広がっている。
「さっむいな!」
「……二月だからね」
「風邪引きそうだな!」
川嶋は笑いながらおどけてみせる。彼なりに場を盛り上げようとしてくれているのだろう。さすがは心身ともにイケメンだ。
「これで風邪引いたら、川嶋のせいだな」
「お、言ったな?のこのこと付いてきたお前も悪いからなー!」
二人で軽口を叩き合いながら、寒空の中、湯船に浸かった。その湯は冷え切った心を温めてくれるようで、すごく、暖かった。
空を見上げると、満点の星空。この上には、茉莉がいるのだろうか。まだ、俺の事を恨んでいるのだろうか。星になった彼女は、今の俺を好いてくれるのだろうか……。
茉莉が死んでから、悪夢にうなされ続けた日々。最近は、その夢も頻度が減ってきた。
「茉莉……」
俺は、隣にいる川嶋には聞こえないほどの声で、今は亡き愛する人の名を呼ぶ。自然と、涙が出てきた。
「なあ、島さ……っておい、大丈夫か!?」
タイミングを見計らったかのように、川嶋が俺の方を向いた。きっと彼の目には、情けなく泣く俺の姿が映っていたのだろう。俺は川嶋に介抱されながら、露天風呂を出た。
「あぁぁぁ……」
恥ずかしい。とても恥ずかしい。今まで男友達に弱みを見せた事はなかったのに、よりによってこいつに見られてしまった。部屋も同じだし、気まずくて仕方がない。
「まぁ、気にすんなよ」
「気にしない方が無理だろ……」
川嶋は気にするなと言って慰めてくれるが、気にしない方が難しい。泣き顔なんて、友達に一番見られたくなかった。
「……俺は、お前が泣いてくれてよかったと思ってるよ」
「……え?」
不意に、川嶋の声色が変わった。彼を見ると、普段の明るい雰囲気とは打って変わって、真剣な眼差しで俺を見つめていた。
「島崎ってさ、普段何考えてるか分からないんだよな。正直に言って、人の心を持ってるのか疑った時もあった。
それは、神林が亡くなってからだ。その直後に小野寺のストーカー事件だもんな。そりゃぁ人嫌いにもなるわけだ。
あれからお前は塞ぎ込んでしまって、人との関わりを拒絶するようになった。……違うか?」
「……そう、だな」
彼の言うことは当たっている。茉莉が死んでから、俺は傍から見ても分かるほど、自分を捻じ曲げた。
なるべく人と関わらないように。確かに、小野寺のストーカー事件も起因していたが、それは微々たるもの。
俺には、茉莉を亡くしたショックが大きすぎた。
「あれからもう何ヶ月経ったよ。今、お前は俺と言う友を持った。最強のな」
川嶋は、そう言って笑う。続け様に、俺の肩を掴んで語りかける。
「もうそろそろ、神林さんだってお前に、他に良い人を見つけて欲しいと思ってるんじゃないか?」
「……でも、俺は」
反論しようと立ち上がる俺を抑えて、川崎は言う。
「確かにお前の気持ちも大事だ。……だけどな。神林さんは、大好きなお前に、幸せになって欲しいんだよ。お前が悪夢に悩まされていたのは知ってる。それは、本当に神林さんなのか?お前自身が、彼女を助けられなかった罪悪感から生み出した、ただの虚像なんじゃないのかよ!?」
「……」
いつになく真剣な眼差しで、川崎は俺に問う。「それは本物なのか」と。
「本当はお前だって、気付いていたんだろ!?
神林さんはずっと、SNSでお前のことばかり呟いてた。夏休み初日に、ようやく恋人になれた事。自分の事を、身を挺して守ってくれる頼もしい存在だってこと。毎日、お前らの惚気でいっぱいだった。亡くなる直前まで、彼女はお前の事を呟いてた」
そう言って、川嶋はスマホの画面を俺に見せる。
そこには、ゲームセンターで取った、クマのぬいぐるみと一緒に映る、茉莉の姿があった。楽しそうに、満面の笑みで映っている。
「この文、読んでみろよ。最後までお前にぞっこんだっただろうが」
茉莉が投稿した文を読んで、涙が溢れた。最後の文には、『純が大好き』だと書かれている。
「……最期の最期までお前の事を想ってた彼女だぞ。そんな人が不可抗力の事故で、想い人を恨むなんて、するはずないだろう!」
「っ……」
「もう、お前は前に進んで良いんだよ。お前が神林さんの分まで生きて、幸せになれば良いんだよ!」
川崎は、掴んでいた俺の肩を離す。俺は力が抜けて、その場に崩れ落ちた。
「幸せに……。俺が?」
「そうだよ」
「いいのか……?」
「良いんだよ。お前みたいな良いやつは、幸せになるべきなんだ」
「そっか……」
川崎の放った言葉を深く噛み締める。今まで見えていなかった世界が、一気に広がっていく気がした。
「……ありがとう、川嶋」
「輝樹だ」
「え?」
「今までは見逃してたけどな。苗字なんて水臭い呼び方、許さないぞ」
「……」
押し黙る俺の手を、輝樹は力強く握りしめた。彼の表情は、いつもの明るいものに変わっていた。
「よろしくな、純」
「……よろしく、輝樹」
とりあえずは、茉莉の分まで生きよう。そして、幸せになろう。
輝樹との友情の確立とともに、俺はそう決意した。
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