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決着……です!?
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《梓side》
「レディ……ファイッ!!!!」
遂に試合開始のゴングが鳴った。闘技場の外野に設置されている観客席からは、開始と同時に信じられない光景が見えた。出場者の大半を飲み込む炎が現れたのだ。
「おぉっとぉ!大賢者チカ様の【エクスプロード】だぁ!今回の王都戦もこれで決着となってしまうのかぁ⁉︎」
「っ!いおりっ……!」
百を超える出場者は、殆どが火傷を負っていた。これでは戦えそうにもないだろうか。私はすぐにいおりを探した。
「いおり……。いおりはどこ……?」
「なんと!チカ様の【エクスプロード】を受けて立ち上がれる強者がいるぞぉ⁉︎しかも、誰かが【エクスプロード】を打ち消したようにも見えたぞ!どうなっているんだ⁉︎気になる数は……二人!二人生き残っている!」
諦めかけた時、闘技場に残る三人の影が見えた。もちろん、そこにはいおりがいた……。
《伊織side》
試合開始の瞬間、僕は全力で自分の周りに防御壁を出現させました。透明なドーム型の壁が出現したと同時、視界を紅が支配しました。
「熱い……!この防御壁でも熱が伝わってくる……」
想像を絶する程の熱気に、髪が焦げてきました。
「ほらほらぁ……。残っているのは伊織くんとエンシェントくんだけかなぁ?面白くないなぁ……。まぁ、二人残っただけでもいっかぁ。今月はやり甲斐がありそうだねぇ……」
紅の中、僕はそんな声を聞きました。ダメかと思って目を瞑った時、暑さが和らぎました。
「っ!ここだぁ!【ウィンドシェル】!」
僕の魔法で、大賢者さんの魔法を吹き飛ばしました。
「へぇ……。【エクスプロード】をねぇ……」
「はぁ……はぁ……。やっと止まった……」
司会の声が聞こえるけれど、今は聞いている余裕もありません。ようやく晴れた視界の先には、大賢者さんとアッシュさんが見えました。
「やっぱり君は強いんだねぇ……。俄然興味が湧いてきたよぉ」
「不覚にも敵に助けられてしまうとは……。だが助かったぞ、クジョウイオリ。お前の魔法がなかったら我が身も危なかった」
「そ、そうですか……」
「どうだ、ここは一つ共闘と行かないか?二人で奴を倒すというのは……」
「ちょっとぉ……?私を置いて楽しそうな話はやめてよぉ。それに、チーミングは私の世界じゃぁ一番楽しくない行為だからねぇ?わかってるよねぇ?」
「ぐっ……。どうする、クジョウイオリ?」
「僕は、やめたほうが良いと思います。共闘なんてしたら、何をされるかわかりませんから」
「うんうん。伊織君はわかってるねぇ」
「……そうか。仕方がないな……」
「ごめんなさい。僕は、一人で倒してこそなんです。それに、この闘技場にいたら危ないですから……。アッシュさんにはここで、退場してもらいます。【テレポーター】!」
「なっ!」
「僕は、攻撃魔法を使いません。それがマーリンさんとの約束ですから。だから、相手を傷つけずに勝つ方法を考えました。アッシュさん、ごめんなさい」
「やるねぇ……。天才大賢者のチカちゃんは、ここで君に同じ事を君に仕掛けられるんだけどぉ。それじゃあ面白くないよね?」
そう言いながら、大賢者さんは近づいてきました。
「どうだい?この私と一つ、面白いゲームをしようじゃないか」
いきなり、大賢者さんの様子が変わりました。ものすごい量の覇気を纏ったオーラが、僕の内臓を刺激してきます。口調も、さっきまでのものから一変して、高圧的になっています。
「ゲ、ゲーム……?」
「そうさ。ルールは単純。一回だけ魔法を使ってどちらかが相手を倒せばいいのさ。やるかい?」
「一回だけ……」
一回だけの魔法で大賢者さんを倒す……。だったら、あれしか……。
「その様子だとやる気みたいだねぇ?そりゃぁそうか。マーリンを殺されたからねぇ。まったく、あんな奴のどこが良いんだか……」
「……ろよ」
「ん?なんだってぇ?よく聞こえないなぁ?」
「もういっぺん言ってみろよ!お前が……。お前がマーリンさんを語るなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
次の瞬間には、僕は魔法を放っていた。
「【エクスプロージョン】!!」
完全に、チカの【エクスプロード】の上位互換とも言える、爆裂魔法。標的はただ一人。その一人だけに焦点を当てて、僕は怒りのままに放った。
……自分の中で禁じていた、攻撃魔法を。
「レディ……ファイッ!!!!」
遂に試合開始のゴングが鳴った。闘技場の外野に設置されている観客席からは、開始と同時に信じられない光景が見えた。出場者の大半を飲み込む炎が現れたのだ。
「おぉっとぉ!大賢者チカ様の【エクスプロード】だぁ!今回の王都戦もこれで決着となってしまうのかぁ⁉︎」
「っ!いおりっ……!」
百を超える出場者は、殆どが火傷を負っていた。これでは戦えそうにもないだろうか。私はすぐにいおりを探した。
「いおり……。いおりはどこ……?」
「なんと!チカ様の【エクスプロード】を受けて立ち上がれる強者がいるぞぉ⁉︎しかも、誰かが【エクスプロード】を打ち消したようにも見えたぞ!どうなっているんだ⁉︎気になる数は……二人!二人生き残っている!」
諦めかけた時、闘技場に残る三人の影が見えた。もちろん、そこにはいおりがいた……。
《伊織side》
試合開始の瞬間、僕は全力で自分の周りに防御壁を出現させました。透明なドーム型の壁が出現したと同時、視界を紅が支配しました。
「熱い……!この防御壁でも熱が伝わってくる……」
想像を絶する程の熱気に、髪が焦げてきました。
「ほらほらぁ……。残っているのは伊織くんとエンシェントくんだけかなぁ?面白くないなぁ……。まぁ、二人残っただけでもいっかぁ。今月はやり甲斐がありそうだねぇ……」
紅の中、僕はそんな声を聞きました。ダメかと思って目を瞑った時、暑さが和らぎました。
「っ!ここだぁ!【ウィンドシェル】!」
僕の魔法で、大賢者さんの魔法を吹き飛ばしました。
「へぇ……。【エクスプロード】をねぇ……」
「はぁ……はぁ……。やっと止まった……」
司会の声が聞こえるけれど、今は聞いている余裕もありません。ようやく晴れた視界の先には、大賢者さんとアッシュさんが見えました。
「やっぱり君は強いんだねぇ……。俄然興味が湧いてきたよぉ」
「不覚にも敵に助けられてしまうとは……。だが助かったぞ、クジョウイオリ。お前の魔法がなかったら我が身も危なかった」
「そ、そうですか……」
「どうだ、ここは一つ共闘と行かないか?二人で奴を倒すというのは……」
「ちょっとぉ……?私を置いて楽しそうな話はやめてよぉ。それに、チーミングは私の世界じゃぁ一番楽しくない行為だからねぇ?わかってるよねぇ?」
「ぐっ……。どうする、クジョウイオリ?」
「僕は、やめたほうが良いと思います。共闘なんてしたら、何をされるかわかりませんから」
「うんうん。伊織君はわかってるねぇ」
「……そうか。仕方がないな……」
「ごめんなさい。僕は、一人で倒してこそなんです。それに、この闘技場にいたら危ないですから……。アッシュさんにはここで、退場してもらいます。【テレポーター】!」
「なっ!」
「僕は、攻撃魔法を使いません。それがマーリンさんとの約束ですから。だから、相手を傷つけずに勝つ方法を考えました。アッシュさん、ごめんなさい」
「やるねぇ……。天才大賢者のチカちゃんは、ここで君に同じ事を君に仕掛けられるんだけどぉ。それじゃあ面白くないよね?」
そう言いながら、大賢者さんは近づいてきました。
「どうだい?この私と一つ、面白いゲームをしようじゃないか」
いきなり、大賢者さんの様子が変わりました。ものすごい量の覇気を纏ったオーラが、僕の内臓を刺激してきます。口調も、さっきまでのものから一変して、高圧的になっています。
「ゲ、ゲーム……?」
「そうさ。ルールは単純。一回だけ魔法を使ってどちらかが相手を倒せばいいのさ。やるかい?」
「一回だけ……」
一回だけの魔法で大賢者さんを倒す……。だったら、あれしか……。
「その様子だとやる気みたいだねぇ?そりゃぁそうか。マーリンを殺されたからねぇ。まったく、あんな奴のどこが良いんだか……」
「……ろよ」
「ん?なんだってぇ?よく聞こえないなぁ?」
「もういっぺん言ってみろよ!お前が……。お前がマーリンさんを語るなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
次の瞬間には、僕は魔法を放っていた。
「【エクスプロージョン】!!」
完全に、チカの【エクスプロード】の上位互換とも言える、爆裂魔法。標的はただ一人。その一人だけに焦点を当てて、僕は怒りのままに放った。
……自分の中で禁じていた、攻撃魔法を。
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