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伝言ゲームと思惑
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「アリシアは取り敢えずここで待っててくれ!すぐ戻って来るから。俺が戻った時はノックを三回するから開けてくれ。それ以外は絶対に開けるなよ。いいな!」
マサキはそう言いながら外していたガンベルトを腰に巻き、M500のセーフティーを解除した。
「はいです!」
アリシアの返事を背中で聞いて一階に降りる階段に向かった。
ったく……スチュアートの奴、勘違いにも程があるぞ!やっていい事と悪い事位解れってんだ!
…………と、ここで疑問が頭に浮かび、階段を降りる足が止まる。
果たして、あのスチュアートがここまでの勘違いをするのだろうか?こんな護衛まで使った大芝居。既に第三者まで巻き込んで居るので冗談では済まされないレベルだ。もしこれが有事の作戦行動なら完全に全滅だ。何かおかしい……
仮にスチュアートが誤った情報を知らされていたらどうだろうか?知り合ってまだ日は浅いとは云え、冗談やネタでする様な人間では無い。(と思う)
てことは大元はジェニファーか?あの時呼んだのはジェニファーだった。彼女からその時の俺に関する最もらしい情報を得たからスチュアートはそれを信じた…………。一応コレで筋は通ったな。
にしても、ジェニファーが同僚を陥れるような綱渡りをするだろうか?同性で今後も同僚としてやって行かないといけないのにバレた時のリスクが大き過ぎる。そんなリスクを犯してまで得るメリットって…………多分無いよなぁ。
なら、ティナとの会話の中でエロに繋がるワードが出たと仮定して、ジェニファーが勘違いした、ならどうだ?
何かそれは有り得そうだぞ……(冷汗)あの時、折角のエ○本探索に水を刺されてかなりイラっとしたからなぁ。もしティナとの会話の事前情報で、やったのやられたのみたいな下ネタ系の話題が上がって会話をしていたら……
「あっ!何か繋がった……多分間違いない……………そういう事か…………でもまぁ……いいや……みんな理由はどうであれ、俺を思っての事だろうから……」
自分の中で一つの結論を見出せたマサキは、踵を返してアリシアの居る階に階段を登って行った。
「コンコンコン………」
「カチャッ……」
内側へ開くドアの隙間から恐る恐るアリシアが覗いた。
「ただいま。」
そう言って、マサキは部屋に入りながらガンベルトを外してテーブルに置いた。
「遅かったです。何か不都合があったですか?」
と少し心配そうな顔で聞いてくる。
「いや、不都合は無かったけど、護衛にアリシアの服を届けて貰うのも辞めた。だから今日は寝るぞぃ!明日も休みだしな(笑)」
「え?え?ど、どういう事なのですか?私の服持って来ないですか?それだと、さっき言ったみたいに余計拗れる可能性大になるです……」
アリシアは話を聞くとオロオロして落ち着かなくなってしまった。
「う~ん……多分大丈夫なんじゃないのか?……まぁ一つ問題になるのはスチュアートがティナに嘘を付いたって所だな。」
「クラタナさんはどうやってここへ来たのですか?」
「スチュアートと二人で歩いて来たよ。」
「いえ、そうじゃないです。質問の仕方が悪かったです。ごめんなさいです。私が聞きたかったのは、どういった理由で此処に来れたのかって事を聞きたかったです。」
「あ~……それは、会議の後……みんなと別れた後だな、そのままは帰らずにティナと外食して帰ったんだよ。で、目的地迄行きも帰りも迷って宿泊してるホテルに戻ったのが二十二時頃だったかなぁ……」
「はいです。」
アリシアは目も逸らさず真剣に耳を傾けていた。
そんなアリシアを見て、ある事が脳裏を過ぎった。
「アリシア?もしかして晩飯とか食べて無いんじゃ無いのか?」
「はいです。会話の後直ぐで色々と準備もあったので食べてないです。でも何日か食べなくても大丈夫な様に、いつも訓練してるですから大丈夫です!」と自信満々で言ったが
「いや、それを大丈夫とか云うのは間違ってる。有事の時の為に訓練するのは理解出来るけど、有事では無い時に、有事の基準で物事を判断しちゃ駄目だ。腹が減ってるなら減ってるって言わなきゃ。」
アリシアはハッとして何かに気付いたようで「えへへっ……」とはにかんだ後「お腹空いてるです!」とハッキリ言った。
「ヨシ来た!なんか頼むけど何にする?どうせ経費持ちだからジャンジャン頼めよ!」と簡素なメニューを渡した。
「ん~……なら、このタマゴとハムとチーズのサンドイッチとこだわりタマゴの焼きプリンで!」
「そんだけで良いのか?もっと頼んでも良いんだぞ?」
「そんなには食べられないです~……」
「解った。ロリ子はちっちゃいからな!(背は)じゃ頼むな!」
と電話……っとフロント直通電話どこだ?
アリシアもキョロキョロ探して、ベッドの脇にあるテーブルに置いてあるのを見付けた。
「あ、クラタナさん電話こっちです!」
「ありがと!」
と言って電話を受け取り、フロントに電話をしようとするがマサキは使い方が解らなかった。
「ロ、ロリ子……これどうやって使うの?使い方が解らん……掛けるだけ掛けてくんない?」
マサキはそう言って電話をアリシアに渡した。
「はいです!任せるです!」
受け取ったアリシアは事も無げにフロントへの取り次ぎを済ませ、受話器だけマサキに渡した。
「あ、遅くにすみません……あの~今の時間ってルームサービスって出来ますか?…………はい。……はい。」
心配そうに生暖かい眼で見るアリシア。
「あ、そうですか!助かります!…………はい。」
ジェスチャーでOKサインをアリシアに送ると万遍の笑みになった。
「えっと、タマゴとハムとチーズのサンドイッチを一つ、え―……こだわりタマゴの焼きプリンを一つ、グランベリーとチョコのティラミスを一つ、たっぷりクリーム乗せのアールグレイシフォンケーキを一つ、えーっと、後は大人のガトーミントショコラを一つ。以上で。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。大丈夫です。……はい。お手数お掛けします!はい、分かりました。」
マサキが電話を終え、 アリシアを見ると、硬直して眼が驚いており 何も言えない様だ。
「な、な、な、何であんなに頼むですかぁ~!」
口調は怒ってる感じだが全然怒ってる感じがしない。
「いや、ロリ子食べるかな?って……」
当たり前の様にマサキは言った。
「た、食べ物は、そ、粗末にしちゃダメですから、い、一緒に全部食べるです!」
「いや、別に今直ぐ全部食べなくても良いだろ。また起きた時とかでも……」
「ク、クラタナさん!何を言ってるですか!食べ物は出された時が一番美味しいですよ!なので完食するです!ふん!」
(あれ……ロリ子何かのスイッチ入っちゃった?言ってる事はご最もなんだけど、気合い入りまくりだぞ……)
「は、はい……」
「では、私はルームサービスが来る前にお茶を煎れるです!あ、もうコーヒーが無いので紅茶でも良いですか?」
と、お茶の支度をアリシアは始めた。
「そっか!紅茶でも良いぞ!コーヒー無いならルームサービス持って来た時に補充を頼むか。」
「よろしくです!」
この時、マサキは小さな違和感を感じて居たが、それが何なのかは解らないでいた。
ケトルのお湯が沸き、紅茶を蒸らしているとノックが聴こえた。
アリシアが出ようとしたが引っ張って止めて、風呂場へ行くようにとハンドサインを送り、マサキはガンベルトを付けながらドアに近付きノックに応答した。
「はい。」
「ルームサービスをお持ちしました。」
チェーンロックは外さず、メインキーだけを開けて5センチ程の隙間から覗く。
頼んだ量が多かったのでカートで持ってきており、サンドイッチとケーキにはホコリ避けの蓋が被されてあった。
「ありがとうございます。蓋をそこで開けてもらっても宜しいですか?」
マサキの右手には、セーフティーの外されたM500が握られて居る。
「畏まりました。」
とボーイは嫌な顔一つせず蓋を開けてくれた。
「こちらで御間違い無いでしょうか?」
パッと見、武器は隠されて無い、カートは引き出しや棚も無く食べ物が置かれている天板と底板だけであった。
「お手数お掛けしました、入って下さい!」
と一旦ドアを閉じ、チェーンロックを外してドアを開けた。
(もし、今、武器を出されてたら次の瞬間お陀仏だな……)
開いたドアから「失礼します。」とボーイが会釈をして、遠慮がちにカラカラと音のするカートを押して入って来た。
蓋は2枚共底板に置かれていた。
「こちらに置いても宜しいでしょうか?」
「はい。そこにお願いします。」
ボーイは無駄のない動きで、注文したサンドイッチやケーキ類をテーブルに置いた。
「あの……」と言った瞬間、配膳をしていた手を止め、直ぐ様マサキの方に向き直り聞く姿勢を取った。
(エキスパートじゃん……)
「重ね重ね申し訳無いのですが、コーヒーの補充を頼めますか?美味しくて何杯も飲んでしまって……」
「畏まりました、では後程お持ち致します。もし宜しければ、下のお店でもこちらのコーヒーを取り扱っておりますのでご利用下さい。……ご注文のお品は以上になりますが、宜しかったでしょうか?」
「はい。結構です。ありがとうございます。」
とマサキは言ってボーイにチップを渡した。
「ありがとうございます。また何か御座いましたら、遠慮無くお申し付け下さい」
ボーイも緊張していたようで、チップを渡したら緊張が解けたのか笑顔になって帰って行った。
「ふぅ~……アリシア!もう出ても良いぞ~!」
そう言ってガンベルトを外して席に付いた。
「クラタナさん、どうしたですか?汗凄いです……」
心配そうに顔を覗き込んで来る。
「緊張してな、武器とか蓋の中に置いて暗殺!とかあるじゃん!もしそうなったら怖いなって警戒してたんだよ!(笑)」
ポリポリと頭を掻きながら言った。
「うふふふ……映画の影響受け過ぎです!もし暗殺とかなら武器よりも魔法の方が効率的です!」
話も他所に、眼をキラキラさせてテーブルのケーキを物色しているアリシアだった。
そんなアリシアを見て、マサキは
「ですよねぇ~。それ、全部アリシアが食べるんだぞ!」
と言い放った。
「はいです!任せるです!全部食べるです!ふん!」
アリシアは力強く、それに返答したのであった。
マサキはそう言いながら外していたガンベルトを腰に巻き、M500のセーフティーを解除した。
「はいです!」
アリシアの返事を背中で聞いて一階に降りる階段に向かった。
ったく……スチュアートの奴、勘違いにも程があるぞ!やっていい事と悪い事位解れってんだ!
…………と、ここで疑問が頭に浮かび、階段を降りる足が止まる。
果たして、あのスチュアートがここまでの勘違いをするのだろうか?こんな護衛まで使った大芝居。既に第三者まで巻き込んで居るので冗談では済まされないレベルだ。もしこれが有事の作戦行動なら完全に全滅だ。何かおかしい……
仮にスチュアートが誤った情報を知らされていたらどうだろうか?知り合ってまだ日は浅いとは云え、冗談やネタでする様な人間では無い。(と思う)
てことは大元はジェニファーか?あの時呼んだのはジェニファーだった。彼女からその時の俺に関する最もらしい情報を得たからスチュアートはそれを信じた…………。一応コレで筋は通ったな。
にしても、ジェニファーが同僚を陥れるような綱渡りをするだろうか?同性で今後も同僚としてやって行かないといけないのにバレた時のリスクが大き過ぎる。そんなリスクを犯してまで得るメリットって…………多分無いよなぁ。
なら、ティナとの会話の中でエロに繋がるワードが出たと仮定して、ジェニファーが勘違いした、ならどうだ?
何かそれは有り得そうだぞ……(冷汗)あの時、折角のエ○本探索に水を刺されてかなりイラっとしたからなぁ。もしティナとの会話の事前情報で、やったのやられたのみたいな下ネタ系の話題が上がって会話をしていたら……
「あっ!何か繋がった……多分間違いない……………そういう事か…………でもまぁ……いいや……みんな理由はどうであれ、俺を思っての事だろうから……」
自分の中で一つの結論を見出せたマサキは、踵を返してアリシアの居る階に階段を登って行った。
「コンコンコン………」
「カチャッ……」
内側へ開くドアの隙間から恐る恐るアリシアが覗いた。
「ただいま。」
そう言って、マサキは部屋に入りながらガンベルトを外してテーブルに置いた。
「遅かったです。何か不都合があったですか?」
と少し心配そうな顔で聞いてくる。
「いや、不都合は無かったけど、護衛にアリシアの服を届けて貰うのも辞めた。だから今日は寝るぞぃ!明日も休みだしな(笑)」
「え?え?ど、どういう事なのですか?私の服持って来ないですか?それだと、さっき言ったみたいに余計拗れる可能性大になるです……」
アリシアは話を聞くとオロオロして落ち着かなくなってしまった。
「う~ん……多分大丈夫なんじゃないのか?……まぁ一つ問題になるのはスチュアートがティナに嘘を付いたって所だな。」
「クラタナさんはどうやってここへ来たのですか?」
「スチュアートと二人で歩いて来たよ。」
「いえ、そうじゃないです。質問の仕方が悪かったです。ごめんなさいです。私が聞きたかったのは、どういった理由で此処に来れたのかって事を聞きたかったです。」
「あ~……それは、会議の後……みんなと別れた後だな、そのままは帰らずにティナと外食して帰ったんだよ。で、目的地迄行きも帰りも迷って宿泊してるホテルに戻ったのが二十二時頃だったかなぁ……」
「はいです。」
アリシアは目も逸らさず真剣に耳を傾けていた。
そんなアリシアを見て、ある事が脳裏を過ぎった。
「アリシア?もしかして晩飯とか食べて無いんじゃ無いのか?」
「はいです。会話の後直ぐで色々と準備もあったので食べてないです。でも何日か食べなくても大丈夫な様に、いつも訓練してるですから大丈夫です!」と自信満々で言ったが
「いや、それを大丈夫とか云うのは間違ってる。有事の時の為に訓練するのは理解出来るけど、有事では無い時に、有事の基準で物事を判断しちゃ駄目だ。腹が減ってるなら減ってるって言わなきゃ。」
アリシアはハッとして何かに気付いたようで「えへへっ……」とはにかんだ後「お腹空いてるです!」とハッキリ言った。
「ヨシ来た!なんか頼むけど何にする?どうせ経費持ちだからジャンジャン頼めよ!」と簡素なメニューを渡した。
「ん~……なら、このタマゴとハムとチーズのサンドイッチとこだわりタマゴの焼きプリンで!」
「そんだけで良いのか?もっと頼んでも良いんだぞ?」
「そんなには食べられないです~……」
「解った。ロリ子はちっちゃいからな!(背は)じゃ頼むな!」
と電話……っとフロント直通電話どこだ?
アリシアもキョロキョロ探して、ベッドの脇にあるテーブルに置いてあるのを見付けた。
「あ、クラタナさん電話こっちです!」
「ありがと!」
と言って電話を受け取り、フロントに電話をしようとするがマサキは使い方が解らなかった。
「ロ、ロリ子……これどうやって使うの?使い方が解らん……掛けるだけ掛けてくんない?」
マサキはそう言って電話をアリシアに渡した。
「はいです!任せるです!」
受け取ったアリシアは事も無げにフロントへの取り次ぎを済ませ、受話器だけマサキに渡した。
「あ、遅くにすみません……あの~今の時間ってルームサービスって出来ますか?…………はい。……はい。」
心配そうに生暖かい眼で見るアリシア。
「あ、そうですか!助かります!…………はい。」
ジェスチャーでOKサインをアリシアに送ると万遍の笑みになった。
「えっと、タマゴとハムとチーズのサンドイッチを一つ、え―……こだわりタマゴの焼きプリンを一つ、グランベリーとチョコのティラミスを一つ、たっぷりクリーム乗せのアールグレイシフォンケーキを一つ、えーっと、後は大人のガトーミントショコラを一つ。以上で。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。……はい。大丈夫です。……はい。お手数お掛けします!はい、分かりました。」
マサキが電話を終え、 アリシアを見ると、硬直して眼が驚いており 何も言えない様だ。
「な、な、な、何であんなに頼むですかぁ~!」
口調は怒ってる感じだが全然怒ってる感じがしない。
「いや、ロリ子食べるかな?って……」
当たり前の様にマサキは言った。
「た、食べ物は、そ、粗末にしちゃダメですから、い、一緒に全部食べるです!」
「いや、別に今直ぐ全部食べなくても良いだろ。また起きた時とかでも……」
「ク、クラタナさん!何を言ってるですか!食べ物は出された時が一番美味しいですよ!なので完食するです!ふん!」
(あれ……ロリ子何かのスイッチ入っちゃった?言ってる事はご最もなんだけど、気合い入りまくりだぞ……)
「は、はい……」
「では、私はルームサービスが来る前にお茶を煎れるです!あ、もうコーヒーが無いので紅茶でも良いですか?」
と、お茶の支度をアリシアは始めた。
「そっか!紅茶でも良いぞ!コーヒー無いならルームサービス持って来た時に補充を頼むか。」
「よろしくです!」
この時、マサキは小さな違和感を感じて居たが、それが何なのかは解らないでいた。
ケトルのお湯が沸き、紅茶を蒸らしているとノックが聴こえた。
アリシアが出ようとしたが引っ張って止めて、風呂場へ行くようにとハンドサインを送り、マサキはガンベルトを付けながらドアに近付きノックに応答した。
「はい。」
「ルームサービスをお持ちしました。」
チェーンロックは外さず、メインキーだけを開けて5センチ程の隙間から覗く。
頼んだ量が多かったのでカートで持ってきており、サンドイッチとケーキにはホコリ避けの蓋が被されてあった。
「ありがとうございます。蓋をそこで開けてもらっても宜しいですか?」
マサキの右手には、セーフティーの外されたM500が握られて居る。
「畏まりました。」
とボーイは嫌な顔一つせず蓋を開けてくれた。
「こちらで御間違い無いでしょうか?」
パッと見、武器は隠されて無い、カートは引き出しや棚も無く食べ物が置かれている天板と底板だけであった。
「お手数お掛けしました、入って下さい!」
と一旦ドアを閉じ、チェーンロックを外してドアを開けた。
(もし、今、武器を出されてたら次の瞬間お陀仏だな……)
開いたドアから「失礼します。」とボーイが会釈をして、遠慮がちにカラカラと音のするカートを押して入って来た。
蓋は2枚共底板に置かれていた。
「こちらに置いても宜しいでしょうか?」
「はい。そこにお願いします。」
ボーイは無駄のない動きで、注文したサンドイッチやケーキ類をテーブルに置いた。
「あの……」と言った瞬間、配膳をしていた手を止め、直ぐ様マサキの方に向き直り聞く姿勢を取った。
(エキスパートじゃん……)
「重ね重ね申し訳無いのですが、コーヒーの補充を頼めますか?美味しくて何杯も飲んでしまって……」
「畏まりました、では後程お持ち致します。もし宜しければ、下のお店でもこちらのコーヒーを取り扱っておりますのでご利用下さい。……ご注文のお品は以上になりますが、宜しかったでしょうか?」
「はい。結構です。ありがとうございます。」
とマサキは言ってボーイにチップを渡した。
「ありがとうございます。また何か御座いましたら、遠慮無くお申し付け下さい」
ボーイも緊張していたようで、チップを渡したら緊張が解けたのか笑顔になって帰って行った。
「ふぅ~……アリシア!もう出ても良いぞ~!」
そう言ってガンベルトを外して席に付いた。
「クラタナさん、どうしたですか?汗凄いです……」
心配そうに顔を覗き込んで来る。
「緊張してな、武器とか蓋の中に置いて暗殺!とかあるじゃん!もしそうなったら怖いなって警戒してたんだよ!(笑)」
ポリポリと頭を掻きながら言った。
「うふふふ……映画の影響受け過ぎです!もし暗殺とかなら武器よりも魔法の方が効率的です!」
話も他所に、眼をキラキラさせてテーブルのケーキを物色しているアリシアだった。
そんなアリシアを見て、マサキは
「ですよねぇ~。それ、全部アリシアが食べるんだぞ!」
と言い放った。
「はいです!任せるです!全部食べるです!ふん!」
アリシアは力強く、それに返答したのであった。
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作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
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