【伝説の強戦士 異次元 抗魔執行官編:ゴスロリ死神娘の淡い恋】

藤原サクラ

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【アサシン:暗殺者】時の魔導士 NO1 裏通りの異世界焼き肉店

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将来、核融合エンジンを発明することになる科学者、イヴォンヌをアサシンからガードするミッションを完了したとの報告をアンドロイドのエルにした。
するとカトリーヌから帰還命令が間もなくあり、目の前に突然、時空を越える扉が現れた。イヴォンヌとは最後迄、話をする機会はなかったが、彼女を救うため短時間であるが、肌を合わす事になった。
それは未だ女性を知らない凛太朗に取って、酷としか言いようがなかった。宇宙服を脱がし抱きしめた時、彼女から微かにバラの香水のかぐわしい匂いがした。加えて薄着の下の膨らみが目に入る。その瞬間、抗う事が難しい肉欲の衝動に駆られた。それを必死で抑えて何とか自制心が働き事なきを得たが、当分の間、この経験は忘れる事は出来ないだろう。
女性の色香は恐ろしい。凛太朗に実感だ。あの時、誘惑に負ければ取返しのつかない事になっていたに違いない。
凛太朗は自身の中に野獣とも言える欲望の塊りがあるのを知った。その後、彼女が救助隊に助けられるのを確認してからブリザードが吹き荒れる西暦3530年、1250年、未来の極地を離れた。

扉の向こうは白い世界からガラリと様代わりした。
そこは空調で温度が保たれた麴町にある円城寺証券の社長室兼会議室だった。
カトリーヌが帰りを待ち構えていたかの様に話し掛けて来る。

「凛太朗、すまなかった。
下級の死神とはいえ僕の配下、魂を刈るために事故を引き起こすとはあってはならない事、情けなくて言葉にもならない。
神の掟を守るため、きつく綱紀粛正(こうきしゅくせい)を死神達に求めていた事が返って仇になった様だ。
僕の配下の策略により凛太朗に時の禁忌を破らせる事になってしまった。
時の女神には話をしたので、大いなる力に抹殺されることはないと思うが、配下ではあるが、独断で動く『時の魔導士』に、もしかしたら命を狙われるかも知れない。
奴は危険だ。時の魔導士は神々の眷属の中でも最強の部類に入る。
凛太朗も下神とはいえ死神を倒せる程の力を付けているので、よもや遅れを取る事はないと思うが、奴は時間を自由自在に操る。だから気を付けて欲しい。
凛太朗を危険に晒す事を、この通り詫びる」カトリーヌはそう言って頭を下げた。
だが、この時、凛太朗は危険に対する不安より、強い相手と戦えると思う喜びを感じた。

話が終わってからカトリーヌに、お詫びという事なのか?食事に誘われた。
その後、抗魔執行官室を覗くと別次元を担当をしているタイガーと吸血鬼のデルフィーヌが帰っていたので、彼らも一緒にと食事に誘った。

「デルフィーヌ、タイガー、これから食事に行くんだが一緒にいかないかい?」

「みんな、いまマスターが、嫌そうな顔をしなかった?」
デルフィーヌはカトリーヌを、いじって悪意のある様な笑いを浮かべた。

「そ、そんなことはないわよ!」カトリーヌは狼狽しながら否定したが、図星だったのか?誰もが恐れる死神に似合わない聖女の様な仕草を見せて頬を赤らめた。

「マスター、今日はご馳走様です‼」タイガーとデルフィーヌの、ご馳走様という声がハモった。
少しカトリーヌが、不機嫌になった様に思えたのは気のせいか・・・?
カトリーヌは凛太朗と二人で食事を楽しみたかったのだろうが、そんな気持ちを凛太朗に分かる筈もない。

「もう、しようがないわね。
みんな、何が食べたい?お寿司でも食べに行こうか・・・」


「マスター、オイラは肉がいい‼」「私も、お肉が食べたいわ」

「じゃあ、今日は特別だ!
僕達、死神のあいだで秘かに美味しいと噂になっている異次元にある焼肉店に連れていってあげる事にしよう。
そこは角兎やオークの肉、魔物の類まで、珍しい山海珍味を食べれる店だ」

「わあ、やった♡」デルフィーヌが黄色い声を上げて喜んだ。

カトリーヌは、そういうと皆を引き連れ大通りから商店街、そしてそこから商店の間を抜けて裏通りに入る。
するとそこは雰囲気が一変し、物の怪や亜人達が行き交う場所だった。

「凛太朗、ここは現世の裏通りだ。
人間達に隠れ物の怪達が住んでいる場所だが、ここには食道楽と呼ばれる言われる程、珍しい食べ物を出す店が多く、神達も時々お忍びで来たりしているところだ。
ああ、あった。あそこだ。そこの焼き肉店に入るぞ!」

「いらっしゃい♡」カトリーヌに連れられて店の中に入ると猫耳の可愛い娘が明るい声で向かえてくれた。

「あら死神様、最近、顔を見なかったからどうしたのかな?と思ってたのよ!」

「エヘン」カトリーヌは、ばつが悪そうに咳払いをした。
一人で来ている事に、あまり触られたくない様だ。

「皆、好きな物を頼んでいいよ!
フフフ、どうせ、会社で精算するんだから・・・」

「じゃ、オイラは魔牛のロース」「私はユニコーンの馬刺しがいいわ」

タイガーは人間の中に溶け込んで生活しているが、獣人としての本能が抜け切れていない様だ。
「これは旨い‼」皿に載せられた魔牛の肉を、そのまま野獣の様に豪快に生で食べた。
吸血鬼のデルフィーヌは生肉の血を美味しそうに飲んで喉を潤した後、肉汁を味わえる様に表面だけを少し焼いたレアで、絶世の美女らしくナプキンで口元に付いた血を拭きながら食べた。

『まあ・・・』『・・・・』

凛太朗とカトリーヌは二人の食べ方を見て呆れた。

満足した食事の帰り、現世に戻って、高層マンションの建設現場に隣接する歩道を歩いている時だった。
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