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【淫 魔(インキュバス)】NO4 悪魔のキス
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抗魔官と使い魔は隷属の印で心の契約がある。
それは強い心の縛りであるが、同時に抗魔執行官との間で精神感応が可能になる。
テレパシーの様な言葉ではない。思念の伝達だ。
アンナが感じている危機感、心の叫びが凛太朗達に直接伝わった。
屋敷の外で待機していた凛太朗とタイガーの二人は反射的に行動した。
西洋造りの屋敷の塀は高く侵入者を拒むため2メートル以上はあろうかと思われる塀の上に先の尖った防止柵が設けられている。
この難易度の高い塀を越えようとするコソ泥は恐らくいないであろう。
それでも、いち早く獣化し大虎になったタイガーは2~3歩の助走で難なく塀を飛び越えた。
続いて凛太朗も足の筋力を強化し人間の飛べる限界の高さの塀を簡単に飛び越えて後を追いかける。
塀を破壊して侵入するのは簡単だが、秘密裏に命令を執行しなければならないからだ。
屋敷の庭には数匹の凶暴なドーベルマンが放し飼いされ口から涎を垂らし待ち構えていた。
犬達の牙は、やたらに鋭く狂気を感じる赤い目をしている。恐らく魔犬化しているに違いない。
この屋敷の主は侵入者があれば有無を言わさず殺すつもりでいる様だ。
だが、例え唾液に毒気を持っている危険な魔犬であっても抗魔執行官相手に足止めすらならず犬達は屍を晒す事になった。
一気に玄関のドアを蹴破りダンスホールに入る。
するとそこには目を疑う様な場面が広がっていた。
足元には血まみれの女達、それに触手に絡まれた悪魔姿のアンナが、淫らな娼婦を思わせる恰好で力なく横たわっていた。
あたりには甘酸っぱい異様な匂いが漂い、それが鼻を突き凛太朗は思わず吐き気を催した。
魔法陣を思わせる円環には醜い太鼓腹の魔族が、憮然とした表情をして立ち突然の侵入者に怒りを顕わにしている。
タイガーはアンナの淫らな姿に少し驚いた仕草を見せた様だが、急に猛獣の雄叫びを上げ魔族に襲い掛かった。
跳躍し首筋を狙うが、僅かに攻撃はズレて躱された。
しかし、持ち味の速度を利用して、広いダンスホールを動き回りながら壁を蹴りジャンプ、反転、四方から300KGの体重を掛けてタックルをし鋭い牙で攻撃をする。
凛太朗も隙を見て妖刀村正を召喚し一の太刀、二の太刀、三の太刀と連続技を繰り出し斬り掛かる。
その攻撃により魔族に傷を負わせ血が飛び散る。だが、致命傷になりうる太刀は鋭い爪で受け躱される。
「タイガー、奴が何者だか知っているか?」
「ああ、凛太朗、こいつは魔族だが、巷ではインキュバスと呼ばれている『ヤラシイ』淫魔だ。
雄(オス)には弱いが、雌(メス)には、めっぽう強い。
変わり種の下級悪魔だが、だからと言って、気を付けるんだ!
凛太朗はカトリーヌから何時もエロタイガーと呼ばれている男が、どの口で『やらしい』って言うかと戦闘中でなければ多分、ツッコミを入れたに違いない。
「フン、誰かと思えば臭い獣人と、ひ弱い人間か・・・突然、襲い掛かるとは痛いではないか、それに、よくも暗黒神様を、この世界に召喚するための神聖な儀式を邪魔してくれたな!
お返しに、これでもかと言うぐらい痛い目に合わせてやるわい。
これでも人間界に潜んで、副大臣にまで上り詰めた身、少しは情けがあるが、もう、赦して下さいと手を突いて謝っても赦してやらんから覚悟するといい。
おい、お前達‼ ここだ、ここ、この赤く奇麗な宝石の様な目を見よ!」インキュバスは自らの目に指を差しながら言った。
それは悪魔が得意とする精神攻撃だった。
二人はインキュバスの魔眼の呪縛に捕らわれ動きが止まった。
何時の間にかタイガーの獣化は解けて獣人になっていた。
タイガーの顔が、まもなく怒りの表情からにやけた表情になる。
彼は今、夢を見ていた。
気が付くとタイガーはピンク色の空間に立っていた。
そこには妖艶な美女達が寝そべっており彼女達はタイガーを見るや笑顔で近寄ってきた。
「まあぁ、逞しい体をしているわぁん」彼女達がボディタッチをしながら豊満なバストを擦り付けてきて、温もりが伝わって来る。
『うひひ・・・』美女達に押し倒されそうになるが、身を任せた。
「はははは・・・精気を吸い取られるまで、夢の中でいるがいい。
動けなくなったら、ケツの穴を掘ってやる。切れ痔になるまでな、止めてくれと、ウフフ泣き叫ぶのが楽しみだ。
・・・あれ、もう一人の人間は何処に行った?
儂の術に掛かった筈だが・・・?」
その時だった、「ぎぎゃー」インキュバスの股間に今迄、経験した事がない激痛が走った。
凛太朗は魔眼の呪縛に掛かったふりをした。
以前、悪魔のアンナと戦った時の経験から赤い目を警戒していたのだ。
そこが、学習能力が0、能天気なタイガーと違うところだ。
アンナを助けるために絡みついている触手を切断したのだが、結果的にインキュバスに致命傷を与える事になった。
この後、股間から生える触手を切断され動けなくなったインキュバスに、よろけながらも立ち上がったアンナが最後の止めをした。
彼女は、そのまま悪魔体から人間の姿に戻り凛太朗の胸に倒れ込んだ。
そして、悪魔として生まれて初めて泪を流した。
その時、一滴の血が彼女の太腿から魔法陣に落ちたが、凛太朗は、その事を知らない。
この後、アンナの血に依って魔法陣が起動し始める。
何故、魔法陣が動き始めたのか?それはお察し下さい。
アンナは凛太朗の胸に顔を埋めながら泣いた。
凛太朗は、そんなアンナが可哀想に思えて強く抱きしめてあげた。
この時、アンナは凛太朗が好きになり思わず『心にキス』をした。
彼の魂を誰にも渡したく無かったからだ。
それは強い心の縛りであるが、同時に抗魔執行官との間で精神感応が可能になる。
テレパシーの様な言葉ではない。思念の伝達だ。
アンナが感じている危機感、心の叫びが凛太朗達に直接伝わった。
屋敷の外で待機していた凛太朗とタイガーの二人は反射的に行動した。
西洋造りの屋敷の塀は高く侵入者を拒むため2メートル以上はあろうかと思われる塀の上に先の尖った防止柵が設けられている。
この難易度の高い塀を越えようとするコソ泥は恐らくいないであろう。
それでも、いち早く獣化し大虎になったタイガーは2~3歩の助走で難なく塀を飛び越えた。
続いて凛太朗も足の筋力を強化し人間の飛べる限界の高さの塀を簡単に飛び越えて後を追いかける。
塀を破壊して侵入するのは簡単だが、秘密裏に命令を執行しなければならないからだ。
屋敷の庭には数匹の凶暴なドーベルマンが放し飼いされ口から涎を垂らし待ち構えていた。
犬達の牙は、やたらに鋭く狂気を感じる赤い目をしている。恐らく魔犬化しているに違いない。
この屋敷の主は侵入者があれば有無を言わさず殺すつもりでいる様だ。
だが、例え唾液に毒気を持っている危険な魔犬であっても抗魔執行官相手に足止めすらならず犬達は屍を晒す事になった。
一気に玄関のドアを蹴破りダンスホールに入る。
するとそこには目を疑う様な場面が広がっていた。
足元には血まみれの女達、それに触手に絡まれた悪魔姿のアンナが、淫らな娼婦を思わせる恰好で力なく横たわっていた。
あたりには甘酸っぱい異様な匂いが漂い、それが鼻を突き凛太朗は思わず吐き気を催した。
魔法陣を思わせる円環には醜い太鼓腹の魔族が、憮然とした表情をして立ち突然の侵入者に怒りを顕わにしている。
タイガーはアンナの淫らな姿に少し驚いた仕草を見せた様だが、急に猛獣の雄叫びを上げ魔族に襲い掛かった。
跳躍し首筋を狙うが、僅かに攻撃はズレて躱された。
しかし、持ち味の速度を利用して、広いダンスホールを動き回りながら壁を蹴りジャンプ、反転、四方から300KGの体重を掛けてタックルをし鋭い牙で攻撃をする。
凛太朗も隙を見て妖刀村正を召喚し一の太刀、二の太刀、三の太刀と連続技を繰り出し斬り掛かる。
その攻撃により魔族に傷を負わせ血が飛び散る。だが、致命傷になりうる太刀は鋭い爪で受け躱される。
「タイガー、奴が何者だか知っているか?」
「ああ、凛太朗、こいつは魔族だが、巷ではインキュバスと呼ばれている『ヤラシイ』淫魔だ。
雄(オス)には弱いが、雌(メス)には、めっぽう強い。
変わり種の下級悪魔だが、だからと言って、気を付けるんだ!
凛太朗はカトリーヌから何時もエロタイガーと呼ばれている男が、どの口で『やらしい』って言うかと戦闘中でなければ多分、ツッコミを入れたに違いない。
「フン、誰かと思えば臭い獣人と、ひ弱い人間か・・・突然、襲い掛かるとは痛いではないか、それに、よくも暗黒神様を、この世界に召喚するための神聖な儀式を邪魔してくれたな!
お返しに、これでもかと言うぐらい痛い目に合わせてやるわい。
これでも人間界に潜んで、副大臣にまで上り詰めた身、少しは情けがあるが、もう、赦して下さいと手を突いて謝っても赦してやらんから覚悟するといい。
おい、お前達‼ ここだ、ここ、この赤く奇麗な宝石の様な目を見よ!」インキュバスは自らの目に指を差しながら言った。
それは悪魔が得意とする精神攻撃だった。
二人はインキュバスの魔眼の呪縛に捕らわれ動きが止まった。
何時の間にかタイガーの獣化は解けて獣人になっていた。
タイガーの顔が、まもなく怒りの表情からにやけた表情になる。
彼は今、夢を見ていた。
気が付くとタイガーはピンク色の空間に立っていた。
そこには妖艶な美女達が寝そべっており彼女達はタイガーを見るや笑顔で近寄ってきた。
「まあぁ、逞しい体をしているわぁん」彼女達がボディタッチをしながら豊満なバストを擦り付けてきて、温もりが伝わって来る。
『うひひ・・・』美女達に押し倒されそうになるが、身を任せた。
「はははは・・・精気を吸い取られるまで、夢の中でいるがいい。
動けなくなったら、ケツの穴を掘ってやる。切れ痔になるまでな、止めてくれと、ウフフ泣き叫ぶのが楽しみだ。
・・・あれ、もう一人の人間は何処に行った?
儂の術に掛かった筈だが・・・?」
その時だった、「ぎぎゃー」インキュバスの股間に今迄、経験した事がない激痛が走った。
凛太朗は魔眼の呪縛に掛かったふりをした。
以前、悪魔のアンナと戦った時の経験から赤い目を警戒していたのだ。
そこが、学習能力が0、能天気なタイガーと違うところだ。
アンナを助けるために絡みついている触手を切断したのだが、結果的にインキュバスに致命傷を与える事になった。
この後、股間から生える触手を切断され動けなくなったインキュバスに、よろけながらも立ち上がったアンナが最後の止めをした。
彼女は、そのまま悪魔体から人間の姿に戻り凛太朗の胸に倒れ込んだ。
そして、悪魔として生まれて初めて泪を流した。
その時、一滴の血が彼女の太腿から魔法陣に落ちたが、凛太朗は、その事を知らない。
この後、アンナの血に依って魔法陣が起動し始める。
何故、魔法陣が動き始めたのか?それはお察し下さい。
アンナは凛太朗の胸に顔を埋めながら泣いた。
凛太朗は、そんなアンナが可哀想に思えて強く抱きしめてあげた。
この時、アンナは凛太朗が好きになり思わず『心にキス』をした。
彼の魂を誰にも渡したく無かったからだ。
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