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STOP!! LGBT法案!!

3.与党案も危険性に変わりはない。

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(著者註:このエピソードの内容は、執筆時――2022年のものです。2023年に成立したLGBT理解増進法についての解説は、次章の「LGBT法案可決。我々は何をすべきか?」をご覧ください。)

野党案に批判的な性的少数者でも、与党案には無警戒な傾向にある。

だが、与党案も危険な内容であることに変わりない。これは、越境性差トランスジェンダーと活動家のための法律であり、女性や子供を危険に晒すという点では野党案と同じだ。

野党案とは違い、与党案は「理解を促進させる法律」だと言われる。しかし、「性的指向および性自認による差別は許されない」という一文は、与党案の第一条・第三条にもある。

第一条は法案の「目的」を定める。すなわち、「差別は許されない」という認識の下、理解促進に関する施策・基本理念・基本的な事項を定め、多様性に寛容な社会を作ることだ。

第三条は「基本理念」を定める――「性的指向・性自認に関わらず個人として尊重される」という理念と「差別は許されない」という認識のもと、「人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨としなければならない」こと。

しかし、「差別とは何か」「どのような施策が必要か」については明確にされていない。どうとも解釈できる内容となっている。

特に問題となるのは、「性自認の定義とは何か」「それに基づく差別とは何か」だ。

与党案では、「性自認」の定義は「性同一性の有無又は程度に係る意識」となっている(第二条二項)。

「性自認」ではなく、「性同一性」という言葉を遣っているから与党案は素晴らしいと言う人がいる。「性同一性」の「同一性」とは、「身体との同一性のこと」と解釈できるというのだ。

しかし、「性同一性」も「性自認」も Gender Identity の訳語だ。そうではないなら、「性同一性障碍」は Gender Identity Disorder の翻訳ではなくなる。加えて言えば、性同一性のと言ってしまえば野党案と変わりない。

重要なのは、第四条から七条だ。

第四条・第五条では、国と自治体が行なうべきことが記されている――すなわち、性的指向・性自認の多様性に関する理解を促進させる施策を実施すること。

第六条・第七条は、事業主との役割について定める――「多様性の普及啓発、環境の整備、の確保」と、国と地方の施策に協力することなど。

「多様性の理解を増進する施策」とは何か?

要するに、活動家を遣うことだ。

のである。

当初、松岡宗嗣などのLGBT活動家は、野党の差別撤廃法を推し、与党の理解促進法を批判していた。だが野党案の雲行きが怪しくなると、与党案を急に推し始める――この法案によって得られる恩恵を理解しているからだ。

しかし、一般的な同性愛者や両性愛者に、この法案の恩恵はあるだろうか。

恐らくは、ほとんどない。事実、大多数の「L・G・B」は、自分の性的指向について職場や学校で話す必要を感じていないだろう。様々な問題があるのは圧倒的に越境性差トランスジェンダーのはずだ。

特に、教育機関に置かれる「相談の機会」が何なのか気になる。

越境性差トランスジェンダーにされたり、越境性差トランスジェンダーを名乗りだしたりする思春期の子供が増えていることは既に述べた。思春期ともなれば、様々な「ゆらぎ」が訪れる。もし法案が通されたら、LGBT活動家が彼らの相談相手となるだろう。

特に女の子の場合、変わり者であることの悩みが性別の悩みに直結し易いようだ。イギリスのタビストック医院では、未成年の患者の大多数が少女であり、35%がASDであった。

加えて言えば、女性ホルモンや男性ホルモンは通信販売で簡単に手に入る。中高生のお小遣いで買うことも可能だ。性別に悩みを抱え、LGBT活動家の助言によって越境性差トランスジェンダーであることを確信した子供が、ホルモン剤に手を伸ばしてしまう可能性も大きい。

そのくせして、野党案にも与党案にもが一切ない。越境性差トランスジェンダーに対して行なわれる医療(ホルモン治療など)や医療従事者への教育については何も書かれていないのだ。

これではやりたい放題になってしまう。

第九条――これらの杜撰な条文に基づき、政府は「基本計画」を立てなければらない(第一項)。「基本計画」の案は内閣総理大臣が作成し、閣議で決定される(第三・第四項)。必要があると認められるときは、各行政機関の長に対して、資料の提出・「その他の協力」を求めることができる(第五項)。

加えて、社会情勢の変化にともない、おおむね三年ごとに「基本計画」は検討される。必要があるときはこれを変更しなければならない(第六項)。

つまり、今はまだ反対意見が大きいものも、三年ごとに検討されるということだ。

第十条では、性的指向・性自認の多様性・および国民の理解について政府が調査するとある。第十一条では、その調査結果に基づき、教育・学習の振興・広報活動などを通じた知識の普及活動を国および地方公共団体は行なわなければならないと定める。

具体的に「どのような」施策を進めるべきかは政府の匙加減による。

女性スペースの開放や子供の医療について批判の声が上がれば、危険な施策は停止される可能性はある。だが、そうではない可能性も高い。

実際、海外で性別を変更した「ペニスのある女性」は既に入国している。そんな彼らが、女性スペースを使えないのは差別だと言った時どうなるのか。また、国際連合などの外圧によってこの法案は作られたことを忘れてはならない。駐日アメリカ大使も、LGBT法を作るよう積極的に勧めている。

最後に――付則第一条では、「この法律は、公布の日から施行する」とある。普通、法律は公布から施行まで一定期間が置かれるはずだ。なぜそこまで急いだのだろう?

この法案が検討されていたのは、東京オリンピックの直前だった。恐らくは、「多様性に理解のある日本」を国際的にアピールしたかったと思われる。加えて、どうも急いで利権を得たい人がいたのだろう。
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