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暴走する「反差別」。
3.逆恨みが彼らを運動に駆り立ててゆく。
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ツイッターでカミングアウトして以来、変な連中から絡まれるようになった。
彼らと初めて遭遇したのは、三重県議「アウティング」でっちあげ事件のときだ。
この事件に対し、「住所を公開していたならアウティングではないのでは?」という声は当事者からも上がっていた。ところが、その指摘をした人は、LGBT活動家やネット左翼から攻撃を受けていたのだ。
「元から住所を公開していた」という事実を彼らは知らないように思えたので、そのことを私は言ったのである。すると、「特定の人間に対してアウティングも辞さないアンチLGBT」「自分が個人情報を晒されたらどうなるのか想像力のない小説家モドキ」「活動家認定したら個人情報バラまいてもいいのか」と非難の返信が一斉にやって来た。
活動家たちは、「小林議員がアウティングした」という主張をひたすら繰り返すばかりだった。対話など最初から成立していない。挙句、「反知性主義者」「アンチLGBT」「小説家モドキ」「セカンドレイプへの加担者」と罵ってきたのである。
実を言えば、ネット左翼や活動家による集団リンチはそれ以前から常態化していたのだ。
二〇一八年・七月――ひとりの同性愛男性が「結婚式」の動画をツイッターに上げる。彼の名前は「太悟」氏。「結婚式」が開かれたのはその昨年のことだった。相手は十歳年下の男性だ。
動画と共に、太悟氏はつぶやく。
「同性愛者を差別する法もなく、同性愛ドラマが大人気で、オネエタレントの好感度が高く、性転換手術には保険もきくし、同性愛者お断り!という貼り紙を見ることもないし、同性挙式をしようとしたら、どこの会場も喜んで提供してくれて沢山の参列者が来てくれた。そんな僕の住んでる国は、日本です。」
当時は「杉田論文」が炎上している真っ最中だった。そんな中で太悟氏が動画を上げたのは、「同性愛者は本当に不幸な人たちばかりなのか?」という問いかけをするためだ。
このツイートは瞬く間に三十万の「いいね」がつき、八万もリツイートされる。
一方で、活動家からは集中砲火に晒された。
「日本じゃなくて自分の身の回りの話だろ」
「個人的な例をいくつ持って来ても差別がないことにはならねえんだよ」
「太悟はゲイなのに自民党を支持しているのはおかしい」
「同性愛者に対する差別や偏見は未だ強い」
「過去に戦ってきた人たちが勝ち取ったきたものにただ乗りしている」
「自分だけよければそれでいいのか」
中には、こんなツイートもあった。
「小学生の時には『やーいオカマー!』と石を投げつけられ、同性愛は性倒錯ですと本で読み、思春期に性的指向に苦悩して、大学生の時に自殺未遂して、修習生のときにあからさまに警戒されて、カムアウトしたら母に号泣され、父親からは親不孝者あつかいされて、そんな僕の住んでいる国は、日本です。」
あまりにも誹謗中傷が酷かったため、やがて「太悟」氏はこのツイートを消してしまう。
しかもこの事件を期に、「アンチLGBTQデータベース」から「太悟」氏はつけ狙われることとなった。
「アンチLGBTQデータベース」は、LGBT運動に懐疑的な人々を吊るし上げるサイトである。取り上げられている人のほとんどは性的少数者だ。「太悟」氏への攻撃は(個人に対するものとしては)最多に亘り、令和五年二月現在で七十五回も行なわれている。
今でも、LGBT活動家から「太悟」氏は付け狙われている。そんなクソリプに「太悟」氏が返信すると、「太悟がゲイ当事者を攻撃」「LGBT当事者を攻撃」などと「アンチLGBTQデータベース」に載るのだ。
――彼らは単に「太悟」氏を妬んでいるだけではないだろうか?
LGBT活動家やネット左翼たちは、自分たちとは違った思想を持つ人を(当事者も含めて)「アンチLGBT」と呼ぶ。
例えば、性別自己申告制に反対したり、同性婚に反対したり、あるいは皇室が好きでも自民党支持でも「アンチLGBT」だ。そうして、集団で攻撃して口を封じようとしてくる。
他にも、とあるレズビアンに対するネットリンチの例がある。
彼女は、ツイッター上でLGBT運動を批判していた人物だった。ある日、議論の最中、ゲイ活動家の一人を「〇〇さん」と彼女は呼ぶ。その人物は、ネット上で姓名も顔も公開していた。しかしツイッター上のアカウント名は違っていたのだ。
すると、姓を呼ばれた彼は「アウティングだ!」と大騒ぎする。LGBT活動家やネット左翼は一斉に彼女を攻撃した。行動はエスカレートし、彼女の住所を特定しようとする。そして、住んでいるマンションらしき画像まで上げられた。あまりにも執拗な攻撃が続くため、彼女はアカウントを消してしまう。
このような行動をしている人々に「ほとんど」女性がいないことは前章のエピソードで述べた。特定人物に執拗な攻撃を加えている「いつものメンバー」に関して言えば「いない」と言っていい。
そんな彼らは、相手が女性となるとより言動を過激化させる傾向にある。
別のレズビアンは、性別自己申告制を批判したことをきっかけに、二〇一八年ごろから攻撃を受けるようになった。越境性差の問題を主に批判していたのだが、それが「トランス差別」と認定されたのだ。しかも反論すると、「ゲイを攻撃している」などと言われてしまう。
彼女は性暴力の被害者であり、十年も精神科に通っていたという。それゆえか、言動に覚束ないところもあった。それがゲイたちから面白がられたのだろう。結果、集団で攻撃されるようになり、彼女が鍵アカウントにする二〇二〇年ごろまで続いた。
最終的に彼女は取り乱し、次のツイートをする。
「ああ、怖かった…。毎回、毎回、何人がかりでくるのかしら。胃が痛い…、お薬のもう…。これ絶対弄られるんだろうな。本当に胃が痛いんだってば…。」
すると、攻撃に参加していたゲイ活動家の一人がこうつぶやく。
「■■■(そのレズビアンの名前)こわしちゃった」
LGBT活動家やネット左翼たちの言動は、文化大革命のときの紅衛兵そっくりだ。なので、いつの頃からか彼らのことを「虹衛兵」と私は呼ぶようになった。
虹衛兵の言動に呆れる当事者は多い。
あるゲイが運営するブログには、『同性婚に賛成な私が、同性婚に懸念を抱く理由』という記事が載っていた。
管理人の「英治」氏は、可能な限り人々が選択肢を持てる社会を理想とするリベラル派だ。
しかし、近年になって、「同性婚を期に『家族』という概念を壊そう」とか「女性解放運動を盛り上げよう」とかと主張する人々も現れてきた。彼らは、「人権」や「反差別」を盾に相手を罵倒し、暴言を浴びせるという行為をエスカレートさせ続けている。
「英治」氏はこう書く。
「私が同性愛者であることは『基本属性』の問題であり、それ以上でもそれ以下でもありません。最近は『LGBTはこういう考えを持つべきだ』とか『この政党を支持すべきだ/すべきでない』という声も聞かれ、左派的な思考を持たないLGBTを『肉屋を支持する豚』とか『政同一性障害者』などと言って罵倒して回る『人権主義者』『反差別主義者』の方も散見されます。」
「私は、こうした言説は、自分の意思では変更することのできない特定の基本属性を持つ人に『こういう考えを持つべき/持ってはいけない』という制限を課すことであり、思想信条の自由を侵害する人権侵害であると考えています。」
「同性婚の実現は、私も望むところであります。しかしこれが『LGBTのタブー化』『イデオロギー化』を推し進めてしまうものにならないことを、心から、切に願っています。」
『同性婚に賛成な私が、同性婚に懸念を抱く理由』
https://a-place-in-the-sun.space/archives/738
彼らと初めて遭遇したのは、三重県議「アウティング」でっちあげ事件のときだ。
この事件に対し、「住所を公開していたならアウティングではないのでは?」という声は当事者からも上がっていた。ところが、その指摘をした人は、LGBT活動家やネット左翼から攻撃を受けていたのだ。
「元から住所を公開していた」という事実を彼らは知らないように思えたので、そのことを私は言ったのである。すると、「特定の人間に対してアウティングも辞さないアンチLGBT」「自分が個人情報を晒されたらどうなるのか想像力のない小説家モドキ」「活動家認定したら個人情報バラまいてもいいのか」と非難の返信が一斉にやって来た。
活動家たちは、「小林議員がアウティングした」という主張をひたすら繰り返すばかりだった。対話など最初から成立していない。挙句、「反知性主義者」「アンチLGBT」「小説家モドキ」「セカンドレイプへの加担者」と罵ってきたのである。
実を言えば、ネット左翼や活動家による集団リンチはそれ以前から常態化していたのだ。
二〇一八年・七月――ひとりの同性愛男性が「結婚式」の動画をツイッターに上げる。彼の名前は「太悟」氏。「結婚式」が開かれたのはその昨年のことだった。相手は十歳年下の男性だ。
動画と共に、太悟氏はつぶやく。
「同性愛者を差別する法もなく、同性愛ドラマが大人気で、オネエタレントの好感度が高く、性転換手術には保険もきくし、同性愛者お断り!という貼り紙を見ることもないし、同性挙式をしようとしたら、どこの会場も喜んで提供してくれて沢山の参列者が来てくれた。そんな僕の住んでる国は、日本です。」
当時は「杉田論文」が炎上している真っ最中だった。そんな中で太悟氏が動画を上げたのは、「同性愛者は本当に不幸な人たちばかりなのか?」という問いかけをするためだ。
このツイートは瞬く間に三十万の「いいね」がつき、八万もリツイートされる。
一方で、活動家からは集中砲火に晒された。
「日本じゃなくて自分の身の回りの話だろ」
「個人的な例をいくつ持って来ても差別がないことにはならねえんだよ」
「太悟はゲイなのに自民党を支持しているのはおかしい」
「同性愛者に対する差別や偏見は未だ強い」
「過去に戦ってきた人たちが勝ち取ったきたものにただ乗りしている」
「自分だけよければそれでいいのか」
中には、こんなツイートもあった。
「小学生の時には『やーいオカマー!』と石を投げつけられ、同性愛は性倒錯ですと本で読み、思春期に性的指向に苦悩して、大学生の時に自殺未遂して、修習生のときにあからさまに警戒されて、カムアウトしたら母に号泣され、父親からは親不孝者あつかいされて、そんな僕の住んでいる国は、日本です。」
あまりにも誹謗中傷が酷かったため、やがて「太悟」氏はこのツイートを消してしまう。
しかもこの事件を期に、「アンチLGBTQデータベース」から「太悟」氏はつけ狙われることとなった。
「アンチLGBTQデータベース」は、LGBT運動に懐疑的な人々を吊るし上げるサイトである。取り上げられている人のほとんどは性的少数者だ。「太悟」氏への攻撃は(個人に対するものとしては)最多に亘り、令和五年二月現在で七十五回も行なわれている。
今でも、LGBT活動家から「太悟」氏は付け狙われている。そんなクソリプに「太悟」氏が返信すると、「太悟がゲイ当事者を攻撃」「LGBT当事者を攻撃」などと「アンチLGBTQデータベース」に載るのだ。
――彼らは単に「太悟」氏を妬んでいるだけではないだろうか?
LGBT活動家やネット左翼たちは、自分たちとは違った思想を持つ人を(当事者も含めて)「アンチLGBT」と呼ぶ。
例えば、性別自己申告制に反対したり、同性婚に反対したり、あるいは皇室が好きでも自民党支持でも「アンチLGBT」だ。そうして、集団で攻撃して口を封じようとしてくる。
他にも、とあるレズビアンに対するネットリンチの例がある。
彼女は、ツイッター上でLGBT運動を批判していた人物だった。ある日、議論の最中、ゲイ活動家の一人を「〇〇さん」と彼女は呼ぶ。その人物は、ネット上で姓名も顔も公開していた。しかしツイッター上のアカウント名は違っていたのだ。
すると、姓を呼ばれた彼は「アウティングだ!」と大騒ぎする。LGBT活動家やネット左翼は一斉に彼女を攻撃した。行動はエスカレートし、彼女の住所を特定しようとする。そして、住んでいるマンションらしき画像まで上げられた。あまりにも執拗な攻撃が続くため、彼女はアカウントを消してしまう。
このような行動をしている人々に「ほとんど」女性がいないことは前章のエピソードで述べた。特定人物に執拗な攻撃を加えている「いつものメンバー」に関して言えば「いない」と言っていい。
そんな彼らは、相手が女性となるとより言動を過激化させる傾向にある。
別のレズビアンは、性別自己申告制を批判したことをきっかけに、二〇一八年ごろから攻撃を受けるようになった。越境性差の問題を主に批判していたのだが、それが「トランス差別」と認定されたのだ。しかも反論すると、「ゲイを攻撃している」などと言われてしまう。
彼女は性暴力の被害者であり、十年も精神科に通っていたという。それゆえか、言動に覚束ないところもあった。それがゲイたちから面白がられたのだろう。結果、集団で攻撃されるようになり、彼女が鍵アカウントにする二〇二〇年ごろまで続いた。
最終的に彼女は取り乱し、次のツイートをする。
「ああ、怖かった…。毎回、毎回、何人がかりでくるのかしら。胃が痛い…、お薬のもう…。これ絶対弄られるんだろうな。本当に胃が痛いんだってば…。」
すると、攻撃に参加していたゲイ活動家の一人がこうつぶやく。
「■■■(そのレズビアンの名前)こわしちゃった」
LGBT活動家やネット左翼たちの言動は、文化大革命のときの紅衛兵そっくりだ。なので、いつの頃からか彼らのことを「虹衛兵」と私は呼ぶようになった。
虹衛兵の言動に呆れる当事者は多い。
あるゲイが運営するブログには、『同性婚に賛成な私が、同性婚に懸念を抱く理由』という記事が載っていた。
管理人の「英治」氏は、可能な限り人々が選択肢を持てる社会を理想とするリベラル派だ。
しかし、近年になって、「同性婚を期に『家族』という概念を壊そう」とか「女性解放運動を盛り上げよう」とかと主張する人々も現れてきた。彼らは、「人権」や「反差別」を盾に相手を罵倒し、暴言を浴びせるという行為をエスカレートさせ続けている。
「英治」氏はこう書く。
「私が同性愛者であることは『基本属性』の問題であり、それ以上でもそれ以下でもありません。最近は『LGBTはこういう考えを持つべきだ』とか『この政党を支持すべきだ/すべきでない』という声も聞かれ、左派的な思考を持たないLGBTを『肉屋を支持する豚』とか『政同一性障害者』などと言って罵倒して回る『人権主義者』『反差別主義者』の方も散見されます。」
「私は、こうした言説は、自分の意思では変更することのできない特定の基本属性を持つ人に『こういう考えを持つべき/持ってはいけない』という制限を課すことであり、思想信条の自由を侵害する人権侵害であると考えています。」
「同性婚の実現は、私も望むところであります。しかしこれが『LGBTのタブー化』『イデオロギー化』を推し進めてしまうものにならないことを、心から、切に願っています。」
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