29 / 106
同性婚を誰が望んでいるのか?
6.一生で五百人とセックスするゲイ。
しおりを挟む
はっきり言って、ゲイには貞操観念がない。
七〇年代には、こんな調査が行なわれたことがある――心理学者のアラン゠ポール゠ベルと社会学者のマーティン゠S゠ワインバーグが、ゲイの性交経験人数についてサンフランシスコでアンケートを取ったのだ。すると、75%が百以上、25%が千以上と答えた。
ノーウェスタン大学教授であり、心理学者・行動遺伝学者であるジョン゠マイケル゠ベイリーは、ゲイの平均性交人数は五百程度であろうと推定した。
男性当事者にとって驚くことではないはずだ。いや、たとえ異性愛男性であっても、何となく推測がついたのではないか。
女性の中には、「男性は定期的に夢精する」と思っている人もいるらしい。しかし、夢精の経験がない男性も多い(現に私もない)。精液というものは、生理のように一定期間を置いて自然排出されるものではない。存在するのは、自分の力で出したいという強い欲求だ。
そのような人たちが集まると――どうなるか。
はっきり言って、男性同士で身体の関係を持つことは驚くほど簡単だ。ゲイ向け出会い掲示板に書き込むと、一時間もしないうちに何件も返信が来る。出会うことも全く難しくない。
私は使ったことはないが、ゲイ向け出会い系アプリの中には、夜伽の相手を探している者が地図上に表示されるものまであるという。
他にも「ハッテン場」の存在がある――特定の場所には、セックスの相手を求めて夜な夜なゲイが集まっているのだ。「ウホッいい男」「やらないか」のノリはフィクションとも言い切れない。
ハッテン行為が公衆に迷惑をかけることもある。例えば、特定の公衆浴場がハッテン場として利用され、トラブルにつながることも珍しくない。
ゲイ向け雑誌の元編集長・富田格氏によるノンフィクション「ハッテン銭湯と呼ばれて~ゲイのハッテン被害に悩む銭湯店主の本音」には、そんな公衆浴場の経営者たちへのインタビューが行われている。そこには、一般客がいる中でハッテンするゲイや、浴槽を精液で汚すゲイ、一般客との間でトラブルになって警察まで呼んだ出来事などが述べられていた。
「ハッテン銭湯と呼ばれて~ゲイのハッテン被害に悩む銭湯店主の本音」
https://note.com/itaru1964/n/n17f1d15bb415
こんなわけだから、「モラルのないLGBTのお客様お断り」「ホモ行為禁止」などと貼り紙をしている銭湯もある。これに頭を悩ますのがレズビアンたちだ――レズビアンにはハッテン文化などなく、「LGBT」で一緒にされる言われもないのだから。
しかし不可解なことがある――この件に言及すると、「偏見だ」と怒る活動家がいるのだ。じゃあ、特定の場所にゲイが集まってセックスしているあれは何? と言うと、「男同士では利用を断られるラブホテルがあるからだ」「異性愛者でも青姦する者もいる」とズレた反論をされる。
挙句、「ゲイに貞操観念がないという偏見を今でも信じてる奴がいるなんて」とも言われた。え、そんな偏見があっただなんて、初めて知ったんだけど――と思ったが。というか、偏見じゃなくて事実だし。日本中のゲイたちが何をやっているのかもはや隠しようがない。
「そういう人ばかりではない」という主張も苦しい。
カミングアウトして以来、安定的な関係を続けているゲイカップルとツイッター上で初めて知り合った。しかし、そんな彼らもまた、自分が過去に行っていたハッテンについて語ることは躊躇がなかったのである。
同性婚を得るために欧米のゲイたちが先ず行ったことは乱交文化の是正だ。つまり、ゲイであっても一対一の関係を持続させるべきだと説いたのである。ただし、冒頭の研究を見る限り、そのような意識がどれほど定着したかは怪しい。ハッテンをやめろとゲイに言うことは、マスターベーションをやめろと男子中学生に言うようなものである。
どうあれ、そのような運動が起きている気這いさえ日本にはない。
しかし、あくまでもこれはゲイの話である。
レズビアンにハッテン文化はない。しかし、同性愛者の片割れである彼女たちがいながら、なぜパートナーシップの利用率はその分だけでも多くならないのだろう?
七〇年代には、こんな調査が行なわれたことがある――心理学者のアラン゠ポール゠ベルと社会学者のマーティン゠S゠ワインバーグが、ゲイの性交経験人数についてサンフランシスコでアンケートを取ったのだ。すると、75%が百以上、25%が千以上と答えた。
ノーウェスタン大学教授であり、心理学者・行動遺伝学者であるジョン゠マイケル゠ベイリーは、ゲイの平均性交人数は五百程度であろうと推定した。
男性当事者にとって驚くことではないはずだ。いや、たとえ異性愛男性であっても、何となく推測がついたのではないか。
女性の中には、「男性は定期的に夢精する」と思っている人もいるらしい。しかし、夢精の経験がない男性も多い(現に私もない)。精液というものは、生理のように一定期間を置いて自然排出されるものではない。存在するのは、自分の力で出したいという強い欲求だ。
そのような人たちが集まると――どうなるか。
はっきり言って、男性同士で身体の関係を持つことは驚くほど簡単だ。ゲイ向け出会い掲示板に書き込むと、一時間もしないうちに何件も返信が来る。出会うことも全く難しくない。
私は使ったことはないが、ゲイ向け出会い系アプリの中には、夜伽の相手を探している者が地図上に表示されるものまであるという。
他にも「ハッテン場」の存在がある――特定の場所には、セックスの相手を求めて夜な夜なゲイが集まっているのだ。「ウホッいい男」「やらないか」のノリはフィクションとも言い切れない。
ハッテン行為が公衆に迷惑をかけることもある。例えば、特定の公衆浴場がハッテン場として利用され、トラブルにつながることも珍しくない。
ゲイ向け雑誌の元編集長・富田格氏によるノンフィクション「ハッテン銭湯と呼ばれて~ゲイのハッテン被害に悩む銭湯店主の本音」には、そんな公衆浴場の経営者たちへのインタビューが行われている。そこには、一般客がいる中でハッテンするゲイや、浴槽を精液で汚すゲイ、一般客との間でトラブルになって警察まで呼んだ出来事などが述べられていた。
「ハッテン銭湯と呼ばれて~ゲイのハッテン被害に悩む銭湯店主の本音」
https://note.com/itaru1964/n/n17f1d15bb415
こんなわけだから、「モラルのないLGBTのお客様お断り」「ホモ行為禁止」などと貼り紙をしている銭湯もある。これに頭を悩ますのがレズビアンたちだ――レズビアンにはハッテン文化などなく、「LGBT」で一緒にされる言われもないのだから。
しかし不可解なことがある――この件に言及すると、「偏見だ」と怒る活動家がいるのだ。じゃあ、特定の場所にゲイが集まってセックスしているあれは何? と言うと、「男同士では利用を断られるラブホテルがあるからだ」「異性愛者でも青姦する者もいる」とズレた反論をされる。
挙句、「ゲイに貞操観念がないという偏見を今でも信じてる奴がいるなんて」とも言われた。え、そんな偏見があっただなんて、初めて知ったんだけど――と思ったが。というか、偏見じゃなくて事実だし。日本中のゲイたちが何をやっているのかもはや隠しようがない。
「そういう人ばかりではない」という主張も苦しい。
カミングアウトして以来、安定的な関係を続けているゲイカップルとツイッター上で初めて知り合った。しかし、そんな彼らもまた、自分が過去に行っていたハッテンについて語ることは躊躇がなかったのである。
同性婚を得るために欧米のゲイたちが先ず行ったことは乱交文化の是正だ。つまり、ゲイであっても一対一の関係を持続させるべきだと説いたのである。ただし、冒頭の研究を見る限り、そのような意識がどれほど定着したかは怪しい。ハッテンをやめろとゲイに言うことは、マスターベーションをやめろと男子中学生に言うようなものである。
どうあれ、そのような運動が起きている気這いさえ日本にはない。
しかし、あくまでもこれはゲイの話である。
レズビアンにハッテン文化はない。しかし、同性愛者の片割れである彼女たちがいながら、なぜパートナーシップの利用率はその分だけでも多くならないのだろう?
0
お気に入りに追加
52
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/contemporary.png?id=0dd465581c48dda76bd4)
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる