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本編
14 心はヒーローでいたいのです①
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「もう既にターゲットロックオンかぁ。あんなつぶらな瞳なのに、視力は良いんですね……」
ああ。どうせ対面するなら、切り身のあなたと対面したかった。
パンダ怪獣さんはこちらを窺っている。距離は大分離れているけど、私から見えるんだからあちらだって気づいているのでしょう。
弟のように必殺技を身に着けられはしなかったけれど、私は子供の頃から異様に獣に好かれた。
それは近所の犬や猫、動物園の動物から、果ては怪獣にまで及ぶ。
普通の動物ならちょっと近づいてくるだけなのに、怪獣に見つかると確実に追いかけっこが始まってしまう。だからいざという時には、周りを巻き込まない行動を、物心ついた時には教え込まれた。
いつもは近づき過ぎなければ見つからないのに。歌うと都市を取り囲む予防線さえ無視して引き寄せる。
必殺技の使えるヒーローになれれば良いのにって、子供の頃は切に願っていた。だって自分で始末をつけられるでしょう?
結局私は、足が速いだけの普通の子にしかなれなかったけど。
この特異体質に感謝する日が来るとは思わなかったな。
周りの男達が慌てだす。
「何故いきなり大怪獣が出現した!? 装置の作動はっ」仮面の男が声を荒げる。
「していないはずだっ! そもそもあんな大物この装置の許容外なのにっ」
白衣の男が檻と装置に駆け寄る。
仮面の男が初めて焦った様子を見せた。その仮面を見上げて、おっとりと微笑む。
「倒しに行かないんですか、未来のヒーロー協会総帥さん?」
祖父ならきっと先陣を切る。絶対に。
「ふざけるな……っ! あんなの我々だけの数でどうにか出来る大きさじゃない!」
きっとどうにか出来る人員が揃っていても、逃げるんでしょうね。
私の知ってるヒーローは、損得計算で獲物を選んだりしない。
「いくら祖父が引退したって、あなたは総帥にはなれません」
「私を怒らせたいとは、相当頭が弱いらしいな。この状況を分かっているのか? 君をこのまま放置しても良いんだぞ」
「あなたこそ、分かっていますか? このタイミングで怪獣が出現すれば、あなたの支持者は誰だって、装置の誤作動のせいだって思いますよ。また投票したら、今度は過半数は難しいんじゃないですか? あなたの総帥就任は不可能です――私の祖父を舐めないで」
大怪獣の出現は余波も大きく出る。ヒーローが辿り着くのもすぐだろう。
仮面の男は手を振り上げて、私に振り下ろす寸でのところで踏み止まった。荒い息を吐き怒りのコントロールをしているのが見て取れる。
私も一応腕を上げて防ごうとはしてみたけど、本当に打たれていたらあんまり役には立たなかったと思う。直前の暴力への恐怖で胃が引きつる。
それでも満面の笑みで続ける。
「ご存知ですか? 本物のヒーローはいつも絶対に間に合うんです」
「くそっ」
射殺しそうな目で睨まれた。仮面の下のその目は血走っている。
それでも私を共に連れ出すことにした様で、腕を掴み車に押し込もうとする。
「豊海さん、真直ぐこっちに向かって来ます! 」
スキーマスクの一人が誘拐犯を名前で呼ぶ。
誘拐犯の名前は豊海ですか。おーぼーえーたーぞー。忘れない様にしっかり脳内にメモしておかなきゃですねー。
パンダ怪獣さんは明らかにこちらを目指しています。うん、だってもう目が合っちゃってるから。この間のトラ怪獣さんほど足が速くないのが救いかな。でもその分体長二十メートルはありそうな大怪獣だから、リーチが長い。そしてやっぱり二足歩行。怪獣さんはみんなどうして二足歩行に拘るんでしょうね。
「おいっ早く車に乗らないと間に合わないぞ!」
抵抗する私と、車に押し込もうとする豊海に、既にエンジンをかけてスタンバイしていた男が、窓から顔を出して怒鳴る。
「離してください、私はここに残ります! あなた達にヒーローの矜持が残っているのなら、協会と組合にこの場所と怪獣の正確な情報を伝えてください。そして安全な距離まで避難していてください」
呼んじゃったのは私ですしね。
覚悟を決めて歌ったんですから。
怪獣たちは殺そうとするんじゃなくて、捕まえようとしてくる。もちろん怪獣の握力で捕まえられれば死に至る訳ですけど、即死の攻撃は、私に対しては行われないのです。
つまり私を待ち受けているミッションは、ヒーロー現着までのデス追いかけっこです。そろそろ腿のアップをしなければっ!
「――それじゃあ、あんたを囮に残していくみたいじゃないか」
運転席の男が何故か躊躇いを見せるので、大きくため息を吐く。
「いいじゃないですか、それで。最初から私は囮だったのでしょう? 怪獣さんを呼び出す実験に使って、帰す気なんてなかったんですから」
さっきまでの状況と、怪獣さんとの追いかけっこを秤にかけて、私は選んだ。
あと呼んでおいて何だけど、他人の命まで背負う覚悟は私には無いですっ!
皆さんさっさと離れてくださいってば!
「それに諦めてなんかいません。ヒーローはいつもピンチギリギリに間に合うものでしょ」
余裕をもって間に合おうよ、とは言ってはいけません。それがヒーローってやつですから! 本音は超速で来て欲しいけれども。
親指まで立てて見送ってあげてるのに、何故か運転席の男は車から降りてきた。
豊海の制止を無視して、彼がスキーマスクを脱ぐと、一人また一人と周りの男達も脱いでいく。
意外にもその目は豊海の様に淀んではいなかった。
なに!? 私が死ぬの確定だから冥土の土産的な? いらないよっ死ぬつもりないですし!
運転席の男が口を開く。
「言い訳に聞こえるかもしれないが、帰す気がないなんて知らなかった。こんな事がしたくて装置導入に賛同したわけじゃないんだ。
…………本当に、間に合うと思うか?」
どうしてそんな事を聞くんだか。
「当ったり前です。それだけの努力をしてる事、あなた達だって分かってるでしょう?」
私はヒーローの孫で、娘で、姉なんです。私が信じないで、誰が彼らを信じるの。
ああ。どうせ対面するなら、切り身のあなたと対面したかった。
パンダ怪獣さんはこちらを窺っている。距離は大分離れているけど、私から見えるんだからあちらだって気づいているのでしょう。
弟のように必殺技を身に着けられはしなかったけれど、私は子供の頃から異様に獣に好かれた。
それは近所の犬や猫、動物園の動物から、果ては怪獣にまで及ぶ。
普通の動物ならちょっと近づいてくるだけなのに、怪獣に見つかると確実に追いかけっこが始まってしまう。だからいざという時には、周りを巻き込まない行動を、物心ついた時には教え込まれた。
いつもは近づき過ぎなければ見つからないのに。歌うと都市を取り囲む予防線さえ無視して引き寄せる。
必殺技の使えるヒーローになれれば良いのにって、子供の頃は切に願っていた。だって自分で始末をつけられるでしょう?
結局私は、足が速いだけの普通の子にしかなれなかったけど。
この特異体質に感謝する日が来るとは思わなかったな。
周りの男達が慌てだす。
「何故いきなり大怪獣が出現した!? 装置の作動はっ」仮面の男が声を荒げる。
「していないはずだっ! そもそもあんな大物この装置の許容外なのにっ」
白衣の男が檻と装置に駆け寄る。
仮面の男が初めて焦った様子を見せた。その仮面を見上げて、おっとりと微笑む。
「倒しに行かないんですか、未来のヒーロー協会総帥さん?」
祖父ならきっと先陣を切る。絶対に。
「ふざけるな……っ! あんなの我々だけの数でどうにか出来る大きさじゃない!」
きっとどうにか出来る人員が揃っていても、逃げるんでしょうね。
私の知ってるヒーローは、損得計算で獲物を選んだりしない。
「いくら祖父が引退したって、あなたは総帥にはなれません」
「私を怒らせたいとは、相当頭が弱いらしいな。この状況を分かっているのか? 君をこのまま放置しても良いんだぞ」
「あなたこそ、分かっていますか? このタイミングで怪獣が出現すれば、あなたの支持者は誰だって、装置の誤作動のせいだって思いますよ。また投票したら、今度は過半数は難しいんじゃないですか? あなたの総帥就任は不可能です――私の祖父を舐めないで」
大怪獣の出現は余波も大きく出る。ヒーローが辿り着くのもすぐだろう。
仮面の男は手を振り上げて、私に振り下ろす寸でのところで踏み止まった。荒い息を吐き怒りのコントロールをしているのが見て取れる。
私も一応腕を上げて防ごうとはしてみたけど、本当に打たれていたらあんまり役には立たなかったと思う。直前の暴力への恐怖で胃が引きつる。
それでも満面の笑みで続ける。
「ご存知ですか? 本物のヒーローはいつも絶対に間に合うんです」
「くそっ」
射殺しそうな目で睨まれた。仮面の下のその目は血走っている。
それでも私を共に連れ出すことにした様で、腕を掴み車に押し込もうとする。
「豊海さん、真直ぐこっちに向かって来ます! 」
スキーマスクの一人が誘拐犯を名前で呼ぶ。
誘拐犯の名前は豊海ですか。おーぼーえーたーぞー。忘れない様にしっかり脳内にメモしておかなきゃですねー。
パンダ怪獣さんは明らかにこちらを目指しています。うん、だってもう目が合っちゃってるから。この間のトラ怪獣さんほど足が速くないのが救いかな。でもその分体長二十メートルはありそうな大怪獣だから、リーチが長い。そしてやっぱり二足歩行。怪獣さんはみんなどうして二足歩行に拘るんでしょうね。
「おいっ早く車に乗らないと間に合わないぞ!」
抵抗する私と、車に押し込もうとする豊海に、既にエンジンをかけてスタンバイしていた男が、窓から顔を出して怒鳴る。
「離してください、私はここに残ります! あなた達にヒーローの矜持が残っているのなら、協会と組合にこの場所と怪獣の正確な情報を伝えてください。そして安全な距離まで避難していてください」
呼んじゃったのは私ですしね。
覚悟を決めて歌ったんですから。
怪獣たちは殺そうとするんじゃなくて、捕まえようとしてくる。もちろん怪獣の握力で捕まえられれば死に至る訳ですけど、即死の攻撃は、私に対しては行われないのです。
つまり私を待ち受けているミッションは、ヒーロー現着までのデス追いかけっこです。そろそろ腿のアップをしなければっ!
「――それじゃあ、あんたを囮に残していくみたいじゃないか」
運転席の男が何故か躊躇いを見せるので、大きくため息を吐く。
「いいじゃないですか、それで。最初から私は囮だったのでしょう? 怪獣さんを呼び出す実験に使って、帰す気なんてなかったんですから」
さっきまでの状況と、怪獣さんとの追いかけっこを秤にかけて、私は選んだ。
あと呼んでおいて何だけど、他人の命まで背負う覚悟は私には無いですっ!
皆さんさっさと離れてくださいってば!
「それに諦めてなんかいません。ヒーローはいつもピンチギリギリに間に合うものでしょ」
余裕をもって間に合おうよ、とは言ってはいけません。それがヒーローってやつですから! 本音は超速で来て欲しいけれども。
親指まで立てて見送ってあげてるのに、何故か運転席の男は車から降りてきた。
豊海の制止を無視して、彼がスキーマスクを脱ぐと、一人また一人と周りの男達も脱いでいく。
意外にもその目は豊海の様に淀んではいなかった。
なに!? 私が死ぬの確定だから冥土の土産的な? いらないよっ死ぬつもりないですし!
運転席の男が口を開く。
「言い訳に聞こえるかもしれないが、帰す気がないなんて知らなかった。こんな事がしたくて装置導入に賛同したわけじゃないんだ。
…………本当に、間に合うと思うか?」
どうしてそんな事を聞くんだか。
「当ったり前です。それだけの努力をしてる事、あなた達だって分かってるでしょう?」
私はヒーローの孫で、娘で、姉なんです。私が信じないで、誰が彼らを信じるの。
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