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第一〇章 崩落
崩落(4)
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盗作をした悠木秋翔が佳作受賞を辞退する羽目になった。
そんな噂は面白おかしく語られながら、一瞬で高校全体に広まった。
生徒の間に広まるのみならず、教職員、PTAにも広まった。
僕に対する適切な懲戒を行うべしと、見知らぬ保護者からの苦情も飛んできたという。
初めの内は「人の噂も七十五日」だと、静観を決め込んでいた。言いたいやつには言わせておけと。
でもその噂には背びれが付き、尾ひれが付き、学校中で肥大化した流言にまみれるようになっていった。僕という存在は、本当の僕自身じゃなくて、噂によって語られる僕になった。現実は虚構で上書きされた。
次第に噂はクラスの中の人間関係へと波及し、皆が僕との会話を避けるようになった。
そうなると今度は教室の中のカースト構造が牙を剥く。
いつからかクラスの中で僕は「無視して良い存在」そして「無視すべき存在」へと変わっていった。特に中心的な男子と女子のグループがそういう態度を取り出した影響が大きかった。
ここまで来ると何が原因で何が結果かなんて関係ない。
クラスから弾かれる原因はクラスから弾かれることなのだ。
明莉は当然そんな状況で板挟みになっていた。
でも問題が彼女に飛び火することを恐れた僕は、徹底して明莉との距離をとることにした。言ってしまえば、僕は一時的に明莉との交流を断った。話しかけられても無視した。――どうしようもなく心は軋んだ。
ところで時間が経つに連れて徐々に噂が広まっていった経緯が分かってきた。噂を広めていたのは、三年の佐渡先輩だった。一次被害の加害者は二次被害の加害者でもあった。
僕らによる情状酌量で、審査員特別賞を得ることになった彼自身が、僕に盗作されて危うかったことを、周囲に吹聴して回っていたのだ。
きっと彼自身の罪悪感やコンプレックスがそういう防衛行動を取らせたのだと、今となっては思う。でもそんな理由は僕の現実に何の緩和効果ももたらさなかった。ただ熱にうなされたみたいなスキャンダルに煽られて、剥き出しの「正義感」が鋭いナイフとして学校中から僕に向かって振り下ろされた。
あれだけ「秘密は守る」と先生たちは約束した。
でもその状況に対して、先生たちは見て見ぬ振りを決め込んだ。
先生たちは――何の手も打たなかった。
――いや打てなかったのだ。
秘密は彼らから流出したわけではない。その意味で秘密は守っているのだ。
でも一度広まった噂を否定し、沈静化することは、彼らに出来なかった。
否定するにはそれが「誤解である」と言わなければならなかったからだ。
それは言えないのだ。それを認めると、学校がコンテスト主催団体に虚偽申告を行ったことを認めることにもなるのだから。また佐渡先輩の進学先である大学にも虚偽申告を行ったことになる。だから教職員はだんまりを決め込んだ。放送部顧問の真白先生も――同じだった。
――だから僕は身を潜めて、嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
嵐が過ぎ去るのを待つ。それは堅牢なシェルターの中にでも居られるのであれば、容易いことかもしれない。でも僕は嵐が吹き荒れる学校の中でそれを待たねばならなかったのだ。
それが僕の心身に与えるダメージは計り知れない。
当然にして僕の足は放送部から遠のき、徐々に教室からも遠のいた。
僕が放送部に行かなくなってからも、明莉はちゃんと部活に行っていた。
時々廊下で真白先生に話しかける彼女を見かけた。
放送部から僕が居なくなって、こんな大変な事態になって、不安な明莉は顧問の真白先生に色々と相談することが増えたらしい。――その時はただ、彼女の無事を祈った。僕がこの痛みを引き受けなければ、明莉がこの苦しみを受けていたのだから。
やがて軋んだ心は、身体を蝕み始めた。
初めは登校前に嘔吐感を催し、遅刻して学校に行く程度だったけれど、しばらくすると本格的に身体に不調をきたすようになった。
ある日、ちょっとしたきっかけで僕は学校を休んだ。それが二度、三度と繰り返すようになり、一年生の終わりには完全な不登校になった。
心が折れて、心療内科のお世話になった。
そして家に引きこもってしまった。
そうやって僕の日常は崩れ落ちたのだ。
でも僕には、そこへ至った道のりに関しての後悔は不思議と無かった。
なぜなら僕の選択は、明莉を守るために成されたからだ。
いつかまた全てが綺麗になったら、明莉とまた一緒にいられるといいな。
抗うつ剤を飲んでぼんやりとした意識の中で僕はそんなことを考えていた。
そして一人になり自問自答する中で、僕は自らの存在意義を改めて理解したのだ。
僕は彼女を守るために存在する。――彼女の罪が全て赦されるために。
そのために――僕は生きているのだと。
☆
目の前で明莉が真白先生に抱きしめられ、その胸を揉まれている。
首筋にはその男の唇が寄せられて、僕の大切な幼馴染は身悶える。
僕は彼女を守るために存在しているはずだった。
それなのに彼女は違う男に抱かれている。
真白先生の左手は胸の果実を揉みしだき、右手はスカートの中へと差し入れられている。
「――やめろ。――やめてくれ」
僕の喉はからからだった。それでもようやく声を絞り出す。
「あっ……、あ、先生」
明莉が体をよじる。その耳朶を優しく真白先生が噛んでいる。
ちらりと真白先生が僕の方を見る。でもその目に一切の優しさは無かった。
その目は言っているのだ。――お前だって奪ったのだろう? と。
――真白香奈恵と性行為をしたのだろう? と。
違う! 違うんだ! 僕が香奈恵さんと寝たのはそういう意味でじゃない。
僕は香奈恵さんのことが好きで、香奈恵さんと寝たんじゃないんだ!
あくまで先生に対する復讐で――だから……だから何だって言うんだ?
……余計に酷いじゃないか。僕は――何をしたかったんだ?
真白先生の右腕が何度も動く、スカートの中で明莉の肉襞を撫でている。
「明莉ちゃん、君が好きなのは誰だい? 君の彼氏は――誰だい?」
「――先生ですっ。……真白先生ですっ」
制服のスカートから出た膝が内股に閉じられれる。
彼女は息を上げながら上体を倒して、机の上に両手を突いた。
快感が彼女の足から力を奪っている。
「――この部屋はそんなに寒くないよね? 明莉ちゃん、大丈夫? ――上着がなくても大丈夫だよね?」
「……ん。……大丈夫……かな」
前を開けたブラウスの襟に先生が手を掛ける。
後ろ方向に先生がゆっくりと引くと、彼女の上半身から白いブラウスは抜き取られた。
上半身には少しずれた白いブラジャーとキャミソール。
力が抜けたのか、明莉は机の上に肘を突いた。
ボブの髪の毛が前に垂れて、隠された口元から「はあぁ~」と息が漏れた。
「――明莉……」
あられもない姿になった明莉へと僕は声を掛ける。名前を呼ぶくらいしか出来ない。
彼女が顔を上げた。頬は上気して、何だか目を虚ろだ。
「――秋翔くん、ごめんね。心配してくれているのに。……でも私、ちゃんとしてるよ? 秋翔くんに守ってもらうばっかりじゃなくて、一人の女性として、こうやって真白先生とちゃんと恋愛もしているんだよ?」
お尻を突き出すような格好で、明莉は机の上に肘を突く。
そんな彼女のスカートを後ろから真白先生がめくり上げる。
白いショーツが露わになった。
形の良いお尻を包むのはところどころレース生地の装飾のある可愛らしいパンツだった。
彼女の膨らみを柔らかく守り、その花園をそっと隠すそのショーツ。
それが今、生徒指導室の中で曝け出されている。
突き出されたお尻の背後から真白先生はその膨らみに右手を添える。
先生はショーツのクロッチを脇に避けて、立てた中指を明莉の花園へと侵入させた。
「……あっ」
明莉が机の上で、微かに唇を開き、甘い声を漏らす。
まだ高校二年生の彼女の可憐さに似つかわしくない、肉感的な声だった。
ハァハァハァと肩で息をする彼女の後ろで、真白先生が右手を何度も前後させる。
先生が手を前後させる度に、快楽に耐えるように明莉は歯を食いしばった。
「――ねえ、明莉ちゃん。折角だから、君の幼馴染に全部見てもらおうよ。……君の美しい姿を。……心配しなくても君は立派な女性なんだって」
「あぁ……。秋翔くん……恥ずかしい。……恥ずかしいよぅ」
真白先生はキャミソールの肩紐に指を掛けると、それを肩口からずり下ろす。
薄いキャミソールは布の束みたいになって、明莉のお腹周りに滞留する。
彼女の女性らしい膨らみを隠すものは、もう花柄の白いブラジャーだけになった。
「はぁ……、はぁ……」
明莉の呼吸音が狭い生徒指導室に反響する。
後ろに立った真白先生がその背中に手を伸ばす。
そしてブラジャーのホックを器用に外した。
ブラジャーのストラップはするりと肌の上を滑り、肩紐だけで明莉の前にぶら下がる。
後ろから彼女を抱き起こすと、真白先生はそのブラジャーをするりと抜き取った。
何一つ隠すものが無くなった明莉の上半身には、形の良い二つの肉球が盛り上がっていた。その先には桜色の先端がつんと立っている。
膨らみの大きさは森さんのものよりも大きいけれど、香奈恵さんのものよりかは少し小さい。でも明莉のおっぱいは十分なサイズで――そしてなによりも綺麗な形をしていた。
少し大きな乳輪はいやらしさを感じさせたけれど、それも含めて明莉らしい乳房だと思った。――形がよくて、神々しくて、美しくて……明莉そのものだった。
その先端を真白先生の指先が摘む。
快感を覚えたのか明莉の裸のお腹が少し凹んだ。
「――明莉ちゃんの裸をみるのは、久しぶりなんじゃないっかい? 幼馴染といえども」
「……昔はそんな――胸なんてなかったよ」
自分でも何を答えているのか分からない。
分からないけれど明莉の上半身から僕は目が離せなかった。
閉じていたまぶたを、明莉が少しだけ開く。
「……秋翔くん――恥ずかしい。ねぇ……昔とは違う? 私、大人になった?」
「大人に――なったんじゃ……ないかな?」
からからの喉で、僕は声を絞り出す。
明莉は高校生になってから、大人になったんだと思う。
そうでなかったら、僕は君への恋心に気付いていなかったと思うから。
でもそれは、君が性的な行為に耽ることと――何の関係もないんだ。
ない――はずなんだ。
柔らかく弾む純白の肉丘を、後ろから伸びた男の手が揉みしだく。
ごつごつとした指先が、その繊細の膨らみに何度何度も沈み込む。
その度に、僕の幼馴染は切なそうに声を上げた。
「――ねえ、明莉ちゃん。いつものやつ、持ってる? お財布の……中かな?」
「ん……うん……」
後ろから胸を揉み、彼女を羽交い締めにしたまま、真白先生が問いかける。
明莉は唇を結んだまま、何度か首を縦に小さく振った。
先生は振り返ると後ろの作業台の上を見渡し、手を伸ばしてその上でから財布を取り出した。ベージュ色の財布。僕も知っている――明莉の財布だ。
真白先生は勝手にその財布を開けると、小銭入れの下に指を差し入れた。
そしてその中に入っていた薄い正方形状のものを取り出す。
「……そう言えば悠木くんは、これが何だか知っているかな? 使い方も含めて?」
真白先生はその正方形状の薄っぺらい銀色を掲げて見せた。
僕はそんな簡単な質問に答え一つ返せないまま、生唾を飲み込んだ。
――コンドームだった。
テーブルの上にまた両手を突いた、明莉のスカートをまくり上げる。
彼女のお尻を覆っていた白いショーツを真白先生は勢いよく下ろした。明
莉のパンツが膝辺りまで下りて、形のよい白いお尻が突き出された。
真白先生は自分のベルトを外すと、ズボンを下ろし、パンツも下ろした。
あの日見た肉棒は、重力に逆らって、すでに屹立していた。
銀色の包装をゆっくりと破ると、真白先生は緑色をした透明の丸いゴムを取り出す。
それを勃起した肉棒にあてがうと、ゆっくりと慎重に装着した。
そして明莉の背後から、その肉棒を彼女の濡れそぼった渓谷へと宛てがった。
そんな噂は面白おかしく語られながら、一瞬で高校全体に広まった。
生徒の間に広まるのみならず、教職員、PTAにも広まった。
僕に対する適切な懲戒を行うべしと、見知らぬ保護者からの苦情も飛んできたという。
初めの内は「人の噂も七十五日」だと、静観を決め込んでいた。言いたいやつには言わせておけと。
でもその噂には背びれが付き、尾ひれが付き、学校中で肥大化した流言にまみれるようになっていった。僕という存在は、本当の僕自身じゃなくて、噂によって語られる僕になった。現実は虚構で上書きされた。
次第に噂はクラスの中の人間関係へと波及し、皆が僕との会話を避けるようになった。
そうなると今度は教室の中のカースト構造が牙を剥く。
いつからかクラスの中で僕は「無視して良い存在」そして「無視すべき存在」へと変わっていった。特に中心的な男子と女子のグループがそういう態度を取り出した影響が大きかった。
ここまで来ると何が原因で何が結果かなんて関係ない。
クラスから弾かれる原因はクラスから弾かれることなのだ。
明莉は当然そんな状況で板挟みになっていた。
でも問題が彼女に飛び火することを恐れた僕は、徹底して明莉との距離をとることにした。言ってしまえば、僕は一時的に明莉との交流を断った。話しかけられても無視した。――どうしようもなく心は軋んだ。
ところで時間が経つに連れて徐々に噂が広まっていった経緯が分かってきた。噂を広めていたのは、三年の佐渡先輩だった。一次被害の加害者は二次被害の加害者でもあった。
僕らによる情状酌量で、審査員特別賞を得ることになった彼自身が、僕に盗作されて危うかったことを、周囲に吹聴して回っていたのだ。
きっと彼自身の罪悪感やコンプレックスがそういう防衛行動を取らせたのだと、今となっては思う。でもそんな理由は僕の現実に何の緩和効果ももたらさなかった。ただ熱にうなされたみたいなスキャンダルに煽られて、剥き出しの「正義感」が鋭いナイフとして学校中から僕に向かって振り下ろされた。
あれだけ「秘密は守る」と先生たちは約束した。
でもその状況に対して、先生たちは見て見ぬ振りを決め込んだ。
先生たちは――何の手も打たなかった。
――いや打てなかったのだ。
秘密は彼らから流出したわけではない。その意味で秘密は守っているのだ。
でも一度広まった噂を否定し、沈静化することは、彼らに出来なかった。
否定するにはそれが「誤解である」と言わなければならなかったからだ。
それは言えないのだ。それを認めると、学校がコンテスト主催団体に虚偽申告を行ったことを認めることにもなるのだから。また佐渡先輩の進学先である大学にも虚偽申告を行ったことになる。だから教職員はだんまりを決め込んだ。放送部顧問の真白先生も――同じだった。
――だから僕は身を潜めて、嵐が過ぎ去るのを待つしかなかった。
嵐が過ぎ去るのを待つ。それは堅牢なシェルターの中にでも居られるのであれば、容易いことかもしれない。でも僕は嵐が吹き荒れる学校の中でそれを待たねばならなかったのだ。
それが僕の心身に与えるダメージは計り知れない。
当然にして僕の足は放送部から遠のき、徐々に教室からも遠のいた。
僕が放送部に行かなくなってからも、明莉はちゃんと部活に行っていた。
時々廊下で真白先生に話しかける彼女を見かけた。
放送部から僕が居なくなって、こんな大変な事態になって、不安な明莉は顧問の真白先生に色々と相談することが増えたらしい。――その時はただ、彼女の無事を祈った。僕がこの痛みを引き受けなければ、明莉がこの苦しみを受けていたのだから。
やがて軋んだ心は、身体を蝕み始めた。
初めは登校前に嘔吐感を催し、遅刻して学校に行く程度だったけれど、しばらくすると本格的に身体に不調をきたすようになった。
ある日、ちょっとしたきっかけで僕は学校を休んだ。それが二度、三度と繰り返すようになり、一年生の終わりには完全な不登校になった。
心が折れて、心療内科のお世話になった。
そして家に引きこもってしまった。
そうやって僕の日常は崩れ落ちたのだ。
でも僕には、そこへ至った道のりに関しての後悔は不思議と無かった。
なぜなら僕の選択は、明莉を守るために成されたからだ。
いつかまた全てが綺麗になったら、明莉とまた一緒にいられるといいな。
抗うつ剤を飲んでぼんやりとした意識の中で僕はそんなことを考えていた。
そして一人になり自問自答する中で、僕は自らの存在意義を改めて理解したのだ。
僕は彼女を守るために存在する。――彼女の罪が全て赦されるために。
そのために――僕は生きているのだと。
☆
目の前で明莉が真白先生に抱きしめられ、その胸を揉まれている。
首筋にはその男の唇が寄せられて、僕の大切な幼馴染は身悶える。
僕は彼女を守るために存在しているはずだった。
それなのに彼女は違う男に抱かれている。
真白先生の左手は胸の果実を揉みしだき、右手はスカートの中へと差し入れられている。
「――やめろ。――やめてくれ」
僕の喉はからからだった。それでもようやく声を絞り出す。
「あっ……、あ、先生」
明莉が体をよじる。その耳朶を優しく真白先生が噛んでいる。
ちらりと真白先生が僕の方を見る。でもその目に一切の優しさは無かった。
その目は言っているのだ。――お前だって奪ったのだろう? と。
――真白香奈恵と性行為をしたのだろう? と。
違う! 違うんだ! 僕が香奈恵さんと寝たのはそういう意味でじゃない。
僕は香奈恵さんのことが好きで、香奈恵さんと寝たんじゃないんだ!
あくまで先生に対する復讐で――だから……だから何だって言うんだ?
……余計に酷いじゃないか。僕は――何をしたかったんだ?
真白先生の右腕が何度も動く、スカートの中で明莉の肉襞を撫でている。
「明莉ちゃん、君が好きなのは誰だい? 君の彼氏は――誰だい?」
「――先生ですっ。……真白先生ですっ」
制服のスカートから出た膝が内股に閉じられれる。
彼女は息を上げながら上体を倒して、机の上に両手を突いた。
快感が彼女の足から力を奪っている。
「――この部屋はそんなに寒くないよね? 明莉ちゃん、大丈夫? ――上着がなくても大丈夫だよね?」
「……ん。……大丈夫……かな」
前を開けたブラウスの襟に先生が手を掛ける。
後ろ方向に先生がゆっくりと引くと、彼女の上半身から白いブラウスは抜き取られた。
上半身には少しずれた白いブラジャーとキャミソール。
力が抜けたのか、明莉は机の上に肘を突いた。
ボブの髪の毛が前に垂れて、隠された口元から「はあぁ~」と息が漏れた。
「――明莉……」
あられもない姿になった明莉へと僕は声を掛ける。名前を呼ぶくらいしか出来ない。
彼女が顔を上げた。頬は上気して、何だか目を虚ろだ。
「――秋翔くん、ごめんね。心配してくれているのに。……でも私、ちゃんとしてるよ? 秋翔くんに守ってもらうばっかりじゃなくて、一人の女性として、こうやって真白先生とちゃんと恋愛もしているんだよ?」
お尻を突き出すような格好で、明莉は机の上に肘を突く。
そんな彼女のスカートを後ろから真白先生がめくり上げる。
白いショーツが露わになった。
形の良いお尻を包むのはところどころレース生地の装飾のある可愛らしいパンツだった。
彼女の膨らみを柔らかく守り、その花園をそっと隠すそのショーツ。
それが今、生徒指導室の中で曝け出されている。
突き出されたお尻の背後から真白先生はその膨らみに右手を添える。
先生はショーツのクロッチを脇に避けて、立てた中指を明莉の花園へと侵入させた。
「……あっ」
明莉が机の上で、微かに唇を開き、甘い声を漏らす。
まだ高校二年生の彼女の可憐さに似つかわしくない、肉感的な声だった。
ハァハァハァと肩で息をする彼女の後ろで、真白先生が右手を何度も前後させる。
先生が手を前後させる度に、快楽に耐えるように明莉は歯を食いしばった。
「――ねえ、明莉ちゃん。折角だから、君の幼馴染に全部見てもらおうよ。……君の美しい姿を。……心配しなくても君は立派な女性なんだって」
「あぁ……。秋翔くん……恥ずかしい。……恥ずかしいよぅ」
真白先生はキャミソールの肩紐に指を掛けると、それを肩口からずり下ろす。
薄いキャミソールは布の束みたいになって、明莉のお腹周りに滞留する。
彼女の女性らしい膨らみを隠すものは、もう花柄の白いブラジャーだけになった。
「はぁ……、はぁ……」
明莉の呼吸音が狭い生徒指導室に反響する。
後ろに立った真白先生がその背中に手を伸ばす。
そしてブラジャーのホックを器用に外した。
ブラジャーのストラップはするりと肌の上を滑り、肩紐だけで明莉の前にぶら下がる。
後ろから彼女を抱き起こすと、真白先生はそのブラジャーをするりと抜き取った。
何一つ隠すものが無くなった明莉の上半身には、形の良い二つの肉球が盛り上がっていた。その先には桜色の先端がつんと立っている。
膨らみの大きさは森さんのものよりも大きいけれど、香奈恵さんのものよりかは少し小さい。でも明莉のおっぱいは十分なサイズで――そしてなによりも綺麗な形をしていた。
少し大きな乳輪はいやらしさを感じさせたけれど、それも含めて明莉らしい乳房だと思った。――形がよくて、神々しくて、美しくて……明莉そのものだった。
その先端を真白先生の指先が摘む。
快感を覚えたのか明莉の裸のお腹が少し凹んだ。
「――明莉ちゃんの裸をみるのは、久しぶりなんじゃないっかい? 幼馴染といえども」
「……昔はそんな――胸なんてなかったよ」
自分でも何を答えているのか分からない。
分からないけれど明莉の上半身から僕は目が離せなかった。
閉じていたまぶたを、明莉が少しだけ開く。
「……秋翔くん――恥ずかしい。ねぇ……昔とは違う? 私、大人になった?」
「大人に――なったんじゃ……ないかな?」
からからの喉で、僕は声を絞り出す。
明莉は高校生になってから、大人になったんだと思う。
そうでなかったら、僕は君への恋心に気付いていなかったと思うから。
でもそれは、君が性的な行為に耽ることと――何の関係もないんだ。
ない――はずなんだ。
柔らかく弾む純白の肉丘を、後ろから伸びた男の手が揉みしだく。
ごつごつとした指先が、その繊細の膨らみに何度何度も沈み込む。
その度に、僕の幼馴染は切なそうに声を上げた。
「――ねえ、明莉ちゃん。いつものやつ、持ってる? お財布の……中かな?」
「ん……うん……」
後ろから胸を揉み、彼女を羽交い締めにしたまま、真白先生が問いかける。
明莉は唇を結んだまま、何度か首を縦に小さく振った。
先生は振り返ると後ろの作業台の上を見渡し、手を伸ばしてその上でから財布を取り出した。ベージュ色の財布。僕も知っている――明莉の財布だ。
真白先生は勝手にその財布を開けると、小銭入れの下に指を差し入れた。
そしてその中に入っていた薄い正方形状のものを取り出す。
「……そう言えば悠木くんは、これが何だか知っているかな? 使い方も含めて?」
真白先生はその正方形状の薄っぺらい銀色を掲げて見せた。
僕はそんな簡単な質問に答え一つ返せないまま、生唾を飲み込んだ。
――コンドームだった。
テーブルの上にまた両手を突いた、明莉のスカートをまくり上げる。
彼女のお尻を覆っていた白いショーツを真白先生は勢いよく下ろした。明
莉のパンツが膝辺りまで下りて、形のよい白いお尻が突き出された。
真白先生は自分のベルトを外すと、ズボンを下ろし、パンツも下ろした。
あの日見た肉棒は、重力に逆らって、すでに屹立していた。
銀色の包装をゆっくりと破ると、真白先生は緑色をした透明の丸いゴムを取り出す。
それを勃起した肉棒にあてがうと、ゆっくりと慎重に装着した。
そして明莉の背後から、その肉棒を彼女の濡れそぼった渓谷へと宛てがった。
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