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第九章 逆流
逆流(1)
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携帯の呼び出し音で目が覚めた。
鳴っていたのは僕のスマートフォンではなくて、森さんのものだった。
目を開いてから、自分が森さんのベッドで寝ていることを思い出した。
隣には無防備な森美樹の寝顔。乱れた茶色の髪が頬にかかっていた。
ピンク色の掛け布団の中で、横を向いて僕はその音を聴く。
森さんは眠ったままだ。剥き出しの彼女の肩を、僕は揺すった。
露出した彼女の肌の感触が、また僕の股間を硬くさせた。
「――ねぇ、森さん。電話鳴ってるよ? 出なくていいの?」
「え? ……ん? あれ? ……悠木くん? あーし……わっ」
上体を起こした彼女から掛け布団がずり落ちて、ピンク色のの乳首が露になる。
キャミソールはセックスの時から、ずれ落ちたままだ。
そこでようやく森美樹は状況を思い出したようだった。
わかりやすく赤面する。
「あ……、寝ちゃったんだ。あーし」
「みたいだね。――僕もだよ」
そう言って僕も肘を突いて体を起こす。森さんの後頭部を優しく撫でた。
親友の彼女はくすぐったそうに肩をすくめた。
ベッド横の勉強机で彼女のスマートフォンがバイブレーションを続けている。
「電話、出なくていいの?」
「……あ、うん……、えっと、――誰だろ?」
机の上から携帯を手に取って液晶画面を開く。
彼女の肩へと頭を近づけて、僕も光る画面を覗き込んだ。
水上洋平だった。
壁に掛かった時計を見ると六時過ぎになっていた。
バスケットボール部の練習が終わった後だろう。まだ学校に違いない。
「――洋平だ……。どうしよう?」
ちょっと困惑気味に森さんが尋ねる。
僕は素っ気なく返した。
「大丈夫だよ。出なよ。――もう元気になって明日からは学校に行けそうだって、教えてやりなよ? あいつだって心配しているからさ」
「うん……うん、そうだね。そうだよね?」
自分に言い聞かせるみたいに頷いて、森さんは画面をタップした。
「――もしもし? 洋平?」
『あ、美樹? 良かった。出てくれて。――体の方は大丈夫? ちょっと心配になってさ』
耳を澄ませば電話口から水上の声が漏れ聞こえた。
せっかくだから恋人同士の会話を聞かせてもらおうと思う。
二人共の親友なのだから――僕にはきっとそれが許されるはずだろう。
「――ありがとう。う……うん、大丈夫。大丈夫だよ? 熱はもうないし、明日からは学校に行けると思う」
ベッドの上に座り、キャミソールの肩紐を直す彼女。
下着はつけていない。白いキャミソール一枚が華奢な肢体を遠慮がちに隠す。
僕はその後ろで上体を起こし、彼女の腹部に手のひらを回した。
そこはまだどこか熱っぽかった。
「熱はもうない」というのは、きっと嘘に違いない。
――ただし違う熱なのだけれど。
そんな僕の右手の背を、彼女は無言でトントンと叩いた。
そこに触るのをやめて、と言うように。
『そっか、なら安心だな。……ごめんな。寝込んでいるのにお見舞いに行けなくて』
「いーよ、いーよ。洋平が部活あるの知ってるし。そんなに高熱ってわけじゃなくて簡単な風邪だったし、……お薬飲んで、一日寝てれば治るやつだと思うしさ」
『――そっか。なら良かったんだけどさ』
たしかに僕と寝ることで不調は治ったみたいだからその通りだったのだろう。
ただし「お薬」は上の口からじゃなくて、下の口から飲んだのだけれど。
『……今は、家だよな? 美樹?』
「うん、そうだけど?」
『……今、ちょっと話しても大丈夫か?』
「ん? イイよ? ……全然大丈夫だよ? ――って、ちょっ!』
『――どうした? 何かあった?』
「ううん、何でもない。何でもないよ、こっちの話」
後ろから差し入れていた両手を上げて、僕は彼女の両胸を愛撫し始めていた。
彼女は小さく声をあげて、僕の両手を順に叩いた。
森さんが振り返って、下唇を噛みながら僕のことを睨みつけている。
ただ、睨みつけられても――「可愛い」以外の感想がないのだけれど。
『実は……、悠木から聞いたんだ。……その、月曜日のこと。月曜日に俺と明莉ちゃんが一緒にいるところを、美樹が目撃したんだってこと。――もしも誤解があったり、不安を与えていたりしたら良くないと思って。……ちゃんと誤解は解きたいなって』
「――そのこと。……うん、そう。見たんだよ。あーし見てたよ」
彼女は電話越しに頷いた。キャミソール一枚で、僕に胸を揉まれながら。
僕は脚を広げて、彼女を股で挟むように後ろから体を密着させる。
その温度はとても温かで、森美樹の存在がとても近くに感じられた。
電話の向こう、森美樹の遠くから、水上がスマートフォン越しに話をしている。
『ごめんな。あれは事故なんだよ。本当はあんな――あそこを美樹以外に見せるつもりなんてなかったし、それ以上のことなんて、絶対起きたりしないから! 明莉ちゃんのことは友達だけど……それ以上の感情は絶対にないから。俺の彼女は――美樹だから』
水上が必死で言い訳を並べる。
やっぱり水上は誠実な男だ。
彼女の臀部に触れた下腹部の下で、僕の肉棒はまた勃起していた。
森美樹のお尻の窪みにそれが下から押し当てられる。
彼女はそれに気づかない振りをしている。
「明莉ちゃんとは友達なんだね。うん、分かってるよ。……実は放課後に、悠木くんが家まで来てくれたんだ。昨日の洋平の理科実験室のことは誤解だったって伝えに……。あ、あと、勉強のことでちょっと」
『あ……、そうだったのか。……そっか。なんかあいつには悪いことをしたなぁ。感謝しないと』
「――だね」
そう返しながら森さんは僕の腰を手のひらで叩く。
勃起した肉棒を擦り付けるのはやめて、という意味らしい。
僕はキャミソールの下で、彼女の乳首をコリコリと摘んで返事に代えた。
受話器に入らない程度の大きさで、彼女は「あっ」と小さな声を漏らした。
『悠木はもう帰ったのか?』
「あ、う……うん。もう帰ったよ。その伝言と、ちょっと勉強会での届けものがあっただけだったみたいだし――」
森美樹が嘘をついた。誠実な水上に嘘をつくなんて、罪作りな女子高生である。
僕は帰ってなんていないし、こうやって君を裸で抱きしめているのに。
『そっか。――悠木、なんか他に俺のこと言っていたか?』
「え? と……特に何も?」
『まぁ、美樹に言うことでもないだろうしなぁ……』
「悠木くんと、何かあったの?」
電話越しに森さんが問いかける。
「あーしはあったよ? 悠木くんとセックスしちゃった」とは続かない。
でも本当ならば彼女はそう言うべきだろう。それが誠実さだ。
そんなことを考えると、この上なく気分が良かった。
僕は森さんの肩に、顎を乗せた。
『――ん? いやな。ちょっと明莉ちゃんから相談されたのもあってさ。――詳しくは秘密だから言えないんだけど、……ちょっとアドバイスっていうか、俺なりの気持ちをさ、話したんだ。いわゆる「大きなお世話」ってやつかもしれないけれどさ。――でもそこで昨日のことを逆に教えてもらって、忠告されたって感じ』
「あ、そーなんだ。うん、なんか悠木くん、そんな雰囲気のこと言ってた気がする」
森さんはスマホを耳に当てたまま僕の方を振り返った。
目が合ったから、僕は肩を竦めてみせた。
『まぁ、人の恋愛に口出しする前に、自分の彼女をしっかり捕まえとけってことかな?』
「そーかもね。ニシシ。でも大丈夫だよ? あーしは」
いつも通りのリアクション。それを森さんは努めて作った。
ほとんど裸で、後ろから僕に抱きしめられながら。
彼女の左手は、胸を揉む僕の手を押さえようと下された。
でも逆に僕に掴まえられて、その手は勃起した僕の肉棒に押し当てられていた。
『なんだか美樹の声を聞いたら、ホッとしたよ。――ありがとう』
「どーいたしまして。でも……やっぱり明莉ちゃんと洋平って仲良くなったんだね? そんな秘密の共有もするなんて。友人は友人でも結構仲良し? う~ん、親友?」
『あははは、親友かぁ~。男女の間に親友みたいな友情が可能かは分からないけれど。――そうだな、まぁ、親友くらいになるのかもしれないなぁ。うん、明莉ちゃんは面白い子だよ。話してみると』
「――だね。なんとなくわかるよ」
『そういえば美樹も、悠木と仲良くなったよなぁ? なんだか放課後に勉強まで見てもらってるだろ? 本当なら俺が見るべきなんだろうけど、部活で忙しいからさ。――ごめんな』
「えー、それは全然気にしてないから大丈夫だよぉ! でも、ありがと。――うん、悠木くんとは仲良くなったかな。意外と話しやすいし。――あーしも親友かな? 『秋翔くん』って名前呼びする日も近いかも?」
――もう今日から名前呼びしているんだけどね。
『そっか、まぁ、あいつは良いやつだし、明莉ちゃんに一途だからなぁ。いーんじゃない? 親友でも』
「うん。 ――だね」
僕と森さんは親友で良いと、水上から許可がおりた。
でも、明莉と水上が親友で良いと、僕から許可する気なんてない。
だって男女の親友って――セックスできるんでしょう?
森美樹の左手は僕の淫棒を、ゆっくりとしごき始めていた。
性的な快楽が体中へと徐々に広がっていく。
僕は右手を胸から下ろして、その指先を森美樹の股間の茂みへと忍び込ませる。
『まぁ、いずれにせよ、風邪の調子も酷くなさそうで良かったよ。――明日は学校に来れそう?』
「え、あ、うん――。お薬も飲んだし、多分大丈夫。――あっ、もう、ちょっとぉ!」
森さんは慌てたように一度スマホを耳元から外す。
マイク部分を押さえて、小声で僕に諫言した。
僕の指先は彼女の膣口から、彼女の内側へと既に忍び込んでいた。
さっき飲ませた「お薬」の存在を確認し、またそれを掻き混ぜるように。
『――ん、美樹? どうした? そっちに誰かいるのか?』
「あ、ううん。気にしないで。なんでもないのっ……ぉお。ちょっとまだ胸の調子が良くなくてね……なんだか詰まるみたいな時があって」
また嘘をつく。
森さんみたいな純粋そうな女の子でも、彼氏に嘘をつくものなんだね。
女の子とは嘘をつく生き物だって、誰かが言っていた。
だからこそ本当の姿は、親友に見せればいいのだ。
調子が良くないらしい彼女の胸をいたわるように揉んで、下の口に差し込んだ指を激しく前後させた。彼女の泉が、だんだんクチュクチュという音を立て始めた。
彼女は「んんっ!」と微かな声を漏らしながらも、快楽に堪えている。
『そっかぁ。お大事にね――。俺からもまた、悠木にはお礼を言っておかなきゃだなぁ』
「そ……そうだね。それがいいと思うよ。あーしもお礼……するし」
その「お礼する」という森さんの言葉が、僕を無性に興奮させた。
お礼をしてもらえるなら、いまここで貰おうかな? って。
僕は彼女の腰を両側から掴むと、力強く持ち上げた。
そして浮かせた腰の下から、硬く強張った僕の肉棒を当てがう。
元気いっぱいになった僕の亀頭が、彼女の潤った入り口に触れた。
「え? ……あ、それは……ひゃうんっ!」
『――どうした? ――また胸の調子か? 美樹?』
僕の肉棒がずぼずぼと彼女の中に侵入していく。
彼女は一瞬おとがいをそらした。
「う……ううん。大丈夫。……でもまだ本調子じゃないみたいだから、切るね? ――洋平、またね。――また明日」
『お……おう。わかった。また明日な。ゆっくりと休めよ~』
「うん、ありがとぉ……ぉお」
彼女は急いで画面をタップすると水上との通話を切った。
その白いお尻の下で、僕の肉棒を後ろ向きに咥え込んだまま。
「もう~、やめてよ秋翔くん。バレちゃったら、どーするのよぉ~」
「バレないよ。それに僕らは親友だから。触れ合ったって何の問題もないんだからさ」
彼女は一旦腰を上げて僕の肉棒を引き抜くと、スマートフォンを机に置いた。
そして振り返ると今度は向き合った形で、僕の太腿に跨るように腰を下ろした。
僕の肩に右手を掛けて、左手で僕の肉棒を摘むとそれを彼女の性器へと誘った。
「――悠木くんの中で親友って、かなり特別な意味になっちゃったんだね?」
「かもしれないな。それはきっと美樹のための言葉なんだよ」
森美樹はゆっくりと腰を下ろす。
僕と彼女はまた深い口付けを交わした。
鳴っていたのは僕のスマートフォンではなくて、森さんのものだった。
目を開いてから、自分が森さんのベッドで寝ていることを思い出した。
隣には無防備な森美樹の寝顔。乱れた茶色の髪が頬にかかっていた。
ピンク色の掛け布団の中で、横を向いて僕はその音を聴く。
森さんは眠ったままだ。剥き出しの彼女の肩を、僕は揺すった。
露出した彼女の肌の感触が、また僕の股間を硬くさせた。
「――ねぇ、森さん。電話鳴ってるよ? 出なくていいの?」
「え? ……ん? あれ? ……悠木くん? あーし……わっ」
上体を起こした彼女から掛け布団がずり落ちて、ピンク色のの乳首が露になる。
キャミソールはセックスの時から、ずれ落ちたままだ。
そこでようやく森美樹は状況を思い出したようだった。
わかりやすく赤面する。
「あ……、寝ちゃったんだ。あーし」
「みたいだね。――僕もだよ」
そう言って僕も肘を突いて体を起こす。森さんの後頭部を優しく撫でた。
親友の彼女はくすぐったそうに肩をすくめた。
ベッド横の勉強机で彼女のスマートフォンがバイブレーションを続けている。
「電話、出なくていいの?」
「……あ、うん……、えっと、――誰だろ?」
机の上から携帯を手に取って液晶画面を開く。
彼女の肩へと頭を近づけて、僕も光る画面を覗き込んだ。
水上洋平だった。
壁に掛かった時計を見ると六時過ぎになっていた。
バスケットボール部の練習が終わった後だろう。まだ学校に違いない。
「――洋平だ……。どうしよう?」
ちょっと困惑気味に森さんが尋ねる。
僕は素っ気なく返した。
「大丈夫だよ。出なよ。――もう元気になって明日からは学校に行けそうだって、教えてやりなよ? あいつだって心配しているからさ」
「うん……うん、そうだね。そうだよね?」
自分に言い聞かせるみたいに頷いて、森さんは画面をタップした。
「――もしもし? 洋平?」
『あ、美樹? 良かった。出てくれて。――体の方は大丈夫? ちょっと心配になってさ』
耳を澄ませば電話口から水上の声が漏れ聞こえた。
せっかくだから恋人同士の会話を聞かせてもらおうと思う。
二人共の親友なのだから――僕にはきっとそれが許されるはずだろう。
「――ありがとう。う……うん、大丈夫。大丈夫だよ? 熱はもうないし、明日からは学校に行けると思う」
ベッドの上に座り、キャミソールの肩紐を直す彼女。
下着はつけていない。白いキャミソール一枚が華奢な肢体を遠慮がちに隠す。
僕はその後ろで上体を起こし、彼女の腹部に手のひらを回した。
そこはまだどこか熱っぽかった。
「熱はもうない」というのは、きっと嘘に違いない。
――ただし違う熱なのだけれど。
そんな僕の右手の背を、彼女は無言でトントンと叩いた。
そこに触るのをやめて、と言うように。
『そっか、なら安心だな。……ごめんな。寝込んでいるのにお見舞いに行けなくて』
「いーよ、いーよ。洋平が部活あるの知ってるし。そんなに高熱ってわけじゃなくて簡単な風邪だったし、……お薬飲んで、一日寝てれば治るやつだと思うしさ」
『――そっか。なら良かったんだけどさ』
たしかに僕と寝ることで不調は治ったみたいだからその通りだったのだろう。
ただし「お薬」は上の口からじゃなくて、下の口から飲んだのだけれど。
『……今は、家だよな? 美樹?』
「うん、そうだけど?」
『……今、ちょっと話しても大丈夫か?』
「ん? イイよ? ……全然大丈夫だよ? ――って、ちょっ!』
『――どうした? 何かあった?』
「ううん、何でもない。何でもないよ、こっちの話」
後ろから差し入れていた両手を上げて、僕は彼女の両胸を愛撫し始めていた。
彼女は小さく声をあげて、僕の両手を順に叩いた。
森さんが振り返って、下唇を噛みながら僕のことを睨みつけている。
ただ、睨みつけられても――「可愛い」以外の感想がないのだけれど。
『実は……、悠木から聞いたんだ。……その、月曜日のこと。月曜日に俺と明莉ちゃんが一緒にいるところを、美樹が目撃したんだってこと。――もしも誤解があったり、不安を与えていたりしたら良くないと思って。……ちゃんと誤解は解きたいなって』
「――そのこと。……うん、そう。見たんだよ。あーし見てたよ」
彼女は電話越しに頷いた。キャミソール一枚で、僕に胸を揉まれながら。
僕は脚を広げて、彼女を股で挟むように後ろから体を密着させる。
その温度はとても温かで、森美樹の存在がとても近くに感じられた。
電話の向こう、森美樹の遠くから、水上がスマートフォン越しに話をしている。
『ごめんな。あれは事故なんだよ。本当はあんな――あそこを美樹以外に見せるつもりなんてなかったし、それ以上のことなんて、絶対起きたりしないから! 明莉ちゃんのことは友達だけど……それ以上の感情は絶対にないから。俺の彼女は――美樹だから』
水上が必死で言い訳を並べる。
やっぱり水上は誠実な男だ。
彼女の臀部に触れた下腹部の下で、僕の肉棒はまた勃起していた。
森美樹のお尻の窪みにそれが下から押し当てられる。
彼女はそれに気づかない振りをしている。
「明莉ちゃんとは友達なんだね。うん、分かってるよ。……実は放課後に、悠木くんが家まで来てくれたんだ。昨日の洋平の理科実験室のことは誤解だったって伝えに……。あ、あと、勉強のことでちょっと」
『あ……、そうだったのか。……そっか。なんかあいつには悪いことをしたなぁ。感謝しないと』
「――だね」
そう返しながら森さんは僕の腰を手のひらで叩く。
勃起した肉棒を擦り付けるのはやめて、という意味らしい。
僕はキャミソールの下で、彼女の乳首をコリコリと摘んで返事に代えた。
受話器に入らない程度の大きさで、彼女は「あっ」と小さな声を漏らした。
『悠木はもう帰ったのか?』
「あ、う……うん。もう帰ったよ。その伝言と、ちょっと勉強会での届けものがあっただけだったみたいだし――」
森美樹が嘘をついた。誠実な水上に嘘をつくなんて、罪作りな女子高生である。
僕は帰ってなんていないし、こうやって君を裸で抱きしめているのに。
『そっか。――悠木、なんか他に俺のこと言っていたか?』
「え? と……特に何も?」
『まぁ、美樹に言うことでもないだろうしなぁ……』
「悠木くんと、何かあったの?」
電話越しに森さんが問いかける。
「あーしはあったよ? 悠木くんとセックスしちゃった」とは続かない。
でも本当ならば彼女はそう言うべきだろう。それが誠実さだ。
そんなことを考えると、この上なく気分が良かった。
僕は森さんの肩に、顎を乗せた。
『――ん? いやな。ちょっと明莉ちゃんから相談されたのもあってさ。――詳しくは秘密だから言えないんだけど、……ちょっとアドバイスっていうか、俺なりの気持ちをさ、話したんだ。いわゆる「大きなお世話」ってやつかもしれないけれどさ。――でもそこで昨日のことを逆に教えてもらって、忠告されたって感じ』
「あ、そーなんだ。うん、なんか悠木くん、そんな雰囲気のこと言ってた気がする」
森さんはスマホを耳に当てたまま僕の方を振り返った。
目が合ったから、僕は肩を竦めてみせた。
『まぁ、人の恋愛に口出しする前に、自分の彼女をしっかり捕まえとけってことかな?』
「そーかもね。ニシシ。でも大丈夫だよ? あーしは」
いつも通りのリアクション。それを森さんは努めて作った。
ほとんど裸で、後ろから僕に抱きしめられながら。
彼女の左手は、胸を揉む僕の手を押さえようと下された。
でも逆に僕に掴まえられて、その手は勃起した僕の肉棒に押し当てられていた。
『なんだか美樹の声を聞いたら、ホッとしたよ。――ありがとう』
「どーいたしまして。でも……やっぱり明莉ちゃんと洋平って仲良くなったんだね? そんな秘密の共有もするなんて。友人は友人でも結構仲良し? う~ん、親友?」
『あははは、親友かぁ~。男女の間に親友みたいな友情が可能かは分からないけれど。――そうだな、まぁ、親友くらいになるのかもしれないなぁ。うん、明莉ちゃんは面白い子だよ。話してみると』
「――だね。なんとなくわかるよ」
『そういえば美樹も、悠木と仲良くなったよなぁ? なんだか放課後に勉強まで見てもらってるだろ? 本当なら俺が見るべきなんだろうけど、部活で忙しいからさ。――ごめんな』
「えー、それは全然気にしてないから大丈夫だよぉ! でも、ありがと。――うん、悠木くんとは仲良くなったかな。意外と話しやすいし。――あーしも親友かな? 『秋翔くん』って名前呼びする日も近いかも?」
――もう今日から名前呼びしているんだけどね。
『そっか、まぁ、あいつは良いやつだし、明莉ちゃんに一途だからなぁ。いーんじゃない? 親友でも』
「うん。 ――だね」
僕と森さんは親友で良いと、水上から許可がおりた。
でも、明莉と水上が親友で良いと、僕から許可する気なんてない。
だって男女の親友って――セックスできるんでしょう?
森美樹の左手は僕の淫棒を、ゆっくりとしごき始めていた。
性的な快楽が体中へと徐々に広がっていく。
僕は右手を胸から下ろして、その指先を森美樹の股間の茂みへと忍び込ませる。
『まぁ、いずれにせよ、風邪の調子も酷くなさそうで良かったよ。――明日は学校に来れそう?』
「え、あ、うん――。お薬も飲んだし、多分大丈夫。――あっ、もう、ちょっとぉ!」
森さんは慌てたように一度スマホを耳元から外す。
マイク部分を押さえて、小声で僕に諫言した。
僕の指先は彼女の膣口から、彼女の内側へと既に忍び込んでいた。
さっき飲ませた「お薬」の存在を確認し、またそれを掻き混ぜるように。
『――ん、美樹? どうした? そっちに誰かいるのか?』
「あ、ううん。気にしないで。なんでもないのっ……ぉお。ちょっとまだ胸の調子が良くなくてね……なんだか詰まるみたいな時があって」
また嘘をつく。
森さんみたいな純粋そうな女の子でも、彼氏に嘘をつくものなんだね。
女の子とは嘘をつく生き物だって、誰かが言っていた。
だからこそ本当の姿は、親友に見せればいいのだ。
調子が良くないらしい彼女の胸をいたわるように揉んで、下の口に差し込んだ指を激しく前後させた。彼女の泉が、だんだんクチュクチュという音を立て始めた。
彼女は「んんっ!」と微かな声を漏らしながらも、快楽に堪えている。
『そっかぁ。お大事にね――。俺からもまた、悠木にはお礼を言っておかなきゃだなぁ』
「そ……そうだね。それがいいと思うよ。あーしもお礼……するし」
その「お礼する」という森さんの言葉が、僕を無性に興奮させた。
お礼をしてもらえるなら、いまここで貰おうかな? って。
僕は彼女の腰を両側から掴むと、力強く持ち上げた。
そして浮かせた腰の下から、硬く強張った僕の肉棒を当てがう。
元気いっぱいになった僕の亀頭が、彼女の潤った入り口に触れた。
「え? ……あ、それは……ひゃうんっ!」
『――どうした? ――また胸の調子か? 美樹?』
僕の肉棒がずぼずぼと彼女の中に侵入していく。
彼女は一瞬おとがいをそらした。
「う……ううん。大丈夫。……でもまだ本調子じゃないみたいだから、切るね? ――洋平、またね。――また明日」
『お……おう。わかった。また明日な。ゆっくりと休めよ~』
「うん、ありがとぉ……ぉお」
彼女は急いで画面をタップすると水上との通話を切った。
その白いお尻の下で、僕の肉棒を後ろ向きに咥え込んだまま。
「もう~、やめてよ秋翔くん。バレちゃったら、どーするのよぉ~」
「バレないよ。それに僕らは親友だから。触れ合ったって何の問題もないんだからさ」
彼女は一旦腰を上げて僕の肉棒を引き抜くと、スマートフォンを机に置いた。
そして振り返ると今度は向き合った形で、僕の太腿に跨るように腰を下ろした。
僕の肩に右手を掛けて、左手で僕の肉棒を摘むとそれを彼女の性器へと誘った。
「――悠木くんの中で親友って、かなり特別な意味になっちゃったんだね?」
「かもしれないな。それはきっと美樹のための言葉なんだよ」
森美樹はゆっくりと腰を下ろす。
僕と彼女はまた深い口付けを交わした。
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