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第四章 遊園地
遊園地(7)
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森美樹はゴンドラの窓際で、頬杖を突いて外を眺めている。
僕のお願い通り――アンニュイな表情で。
「――何考えているの?」
「ん? ちょっと今日、洋平にほったらかされて寂しかったこと……」
「――めっちゃリアルじゃん」
「だってその方が表情とか作りやすいでしょ?」
ごもっともである。
何だか映像制作側からすると、ありがたすぎるお話であるが。
「じゃあ、もうちょっと前向きな演技に移ってみようか? ――仲直り、みたいな」
「……仲直り?」
「うん、カメラ越しに水上がいると思ってさ。――仲直り」
彼女の視線がこちらに移る。カメラ目線だ。
「水上がさ、森さんにさ、『ごめん一人にして』とか言うんだ。それから『俺が好きなのは美樹だけだよ』みたいな? ――そんなとき、森さんならどんな表情をするの?」
「――そんなこと、急に言われても」
そう言いながらも彼女は照れたような表情を浮かべた。
少し口を尖らせて、上目遣いに僕の方を見上げる。
液晶画面には、切なそうで、嬉しそうな髪の茶色い少女の顔。
――なんだか、ドキドキした。
「お~、森さん、なんかめっちゃ女優。――すごいよ。この絵は使える」
「え? 本当? 嬉しい」
森さんは目を輝かせた。
――何だかもう少し、やってくれそうだな。
「じゃあもう一つお願いしても良いかな?」
「――ん。イイよ。何をすればいい?」
なんだかノリノリだ。
僕は頭の中でショートフィルムのシナリオを早回しする。
そしてそのストーリーの中に欲しい、一つのピースを思い起こした。
「――キスを待つ、女の子の表情。……お願いできるかな? カメラ越しに水上がいると思ってさ」
「……えっ。――うん、いいけれど」
一瞬、躊躇いを見せたけれど、森さんは頷く。
そして大きく息を吸った。――深呼吸。
「――じゃあ、するね」
彼女は目を閉じる。僕はカメラを構えた。
液晶画面の中で、徐々に形作られていく唇の形。
あの日の図書室でも見たピンク色の唇。
それが何かを求めるように、――少しずつ突き出される。
彼女の口は少しだけ開いていて、その中に空洞が見えた。
その奥には彼女の舌があり、唾液がある。
自動的に脳内に映像が再生される。
あの日の理科実験室で、だらしなく開いていた明莉の口。
その口からどろりとこぼれ落ちた、真白先生の肉棒。
自動的に脳内に感覚が想起される。
真白先生の家で、開かれた真白香奈恵の厚ぼったい唇。
その口に差し入れて、快感に身を震わせた僕の肉棒。
その二つの口とも、また少し違う。
もう少し小さくて可憐な唇が、液晶画面に映っている。
何かを求めるように。
誰かを求めるように。
男を求めるように。
僕の下腹部へと血液が流れ込む。
理性的なことを考える暇もなく、僕の股間は勃起していた。
液晶画面から目を離し、視線は半分開いた彼女の唇に吸い寄せられた。
その蠱惑的な――親友の彼女の唇に。
無意識に左手の人差し指を立てる。
一物みたいにその指を伸ばすと、僕はその指を、森美樹の口の中へと差し入れた。
「――んっ!?」
突然、口内に侵入した異物に、彼女は少し驚きの声を漏らした。
僕の人差し指に彼女の舌が絡む。
指先の指紋が彼女の唾液に濡らされて滑らかになるのがわかる。
――興奮した。
「んぐっ――ちょっと、悠木くん!」
彼女の手が僕の左手に掛かる。
さっきも触れた彼女の柔らかい手の感触。
重ねられた手によって、僕の指は彼女の上の穴から引き抜かれた。
「――あ、ごめん。つい」
「……つい――って! もうっ! 信じられないっ!」
彼女は怒った――というよりも困惑した顔で、僕のことを睨めつける。
「そんなことをしちゃ駄目よ」と叱る母親みたいな目。
掴んだ手を、僕へと突き返すように引き下ろす。
彼女は人差し指を立てた僕の左手を、僕の太腿へと押し付けた。
でも押し付けた場所がちょっとだけずれている。
彼女の手が着地した位置は、――僕の股間だった。
彼女の手が、ズボンの生地越しに僕の一物に触れる。
いまにもはちきれそうに熱り立った、僕の男性自身に。
一瞬、彼女は顔に疑問符を浮かべた。
でも、自分が触れているのが何なのか気づくと、徐々に頬を赤らめていった。
僕の股間に触れる彼女の手に、僕はそっともう一方の手を優しく重ねる。
「……なんで、あーしで、――大きくしてるのよ。――信じられない」
その語気はさっきよりも弱くて、さっきよりも不確かだった。
ズボン越しに彼女の手に触れられて、僕のやんちゃな肉棒はますます元気になっていく。
僕の手に包まれた彼女の右手のひらが、少しだけ動かされた。
「それは森さんが魅力的だからだよ。――水上洋平が彼女にしたくて、そして離したくないくらいに、魅力的な女の子だからだよ」
「……そんなこと言ったって、騙されないんだからね」
彼女は下唇を突き出して、拗ねたように眉を寄せた。
僕は左手を彼女に手の中からそっと抜き、その手で逆に彼女の右手を押さえる。
また彼女の手が少し動いた。
ズボンの上から僕のやんちゃ坊主を擦るように。
「――僕は篠宮明莉に一途だからさ。ここをこんなに大きくしても、水上から君を奪って恋人にしたいだなんて思わない。……でも、やっぱり君は、そんな僕のここでさえ、無意識に大きくしてしまうくらい、素敵な女性なんだよ――」
そう至近距離にある、彼女の耳元で囁くように言った。
本心から、彼女を勇気づけたくて。
「――馬鹿っ!」
彼女は恥ずかしそうに俯いたまま、そう小さく呟いた。
僕は左手で彼女の手を股間に押し付けたまま右手を彼女の細い腰へと回す。
――そして再び、彼女の形良い臀部に触れたのだった。
やがてゴンドラは、もう半周を回って、地上へと到着した。
僕のお願い通り――アンニュイな表情で。
「――何考えているの?」
「ん? ちょっと今日、洋平にほったらかされて寂しかったこと……」
「――めっちゃリアルじゃん」
「だってその方が表情とか作りやすいでしょ?」
ごもっともである。
何だか映像制作側からすると、ありがたすぎるお話であるが。
「じゃあ、もうちょっと前向きな演技に移ってみようか? ――仲直り、みたいな」
「……仲直り?」
「うん、カメラ越しに水上がいると思ってさ。――仲直り」
彼女の視線がこちらに移る。カメラ目線だ。
「水上がさ、森さんにさ、『ごめん一人にして』とか言うんだ。それから『俺が好きなのは美樹だけだよ』みたいな? ――そんなとき、森さんならどんな表情をするの?」
「――そんなこと、急に言われても」
そう言いながらも彼女は照れたような表情を浮かべた。
少し口を尖らせて、上目遣いに僕の方を見上げる。
液晶画面には、切なそうで、嬉しそうな髪の茶色い少女の顔。
――なんだか、ドキドキした。
「お~、森さん、なんかめっちゃ女優。――すごいよ。この絵は使える」
「え? 本当? 嬉しい」
森さんは目を輝かせた。
――何だかもう少し、やってくれそうだな。
「じゃあもう一つお願いしても良いかな?」
「――ん。イイよ。何をすればいい?」
なんだかノリノリだ。
僕は頭の中でショートフィルムのシナリオを早回しする。
そしてそのストーリーの中に欲しい、一つのピースを思い起こした。
「――キスを待つ、女の子の表情。……お願いできるかな? カメラ越しに水上がいると思ってさ」
「……えっ。――うん、いいけれど」
一瞬、躊躇いを見せたけれど、森さんは頷く。
そして大きく息を吸った。――深呼吸。
「――じゃあ、するね」
彼女は目を閉じる。僕はカメラを構えた。
液晶画面の中で、徐々に形作られていく唇の形。
あの日の図書室でも見たピンク色の唇。
それが何かを求めるように、――少しずつ突き出される。
彼女の口は少しだけ開いていて、その中に空洞が見えた。
その奥には彼女の舌があり、唾液がある。
自動的に脳内に映像が再生される。
あの日の理科実験室で、だらしなく開いていた明莉の口。
その口からどろりとこぼれ落ちた、真白先生の肉棒。
自動的に脳内に感覚が想起される。
真白先生の家で、開かれた真白香奈恵の厚ぼったい唇。
その口に差し入れて、快感に身を震わせた僕の肉棒。
その二つの口とも、また少し違う。
もう少し小さくて可憐な唇が、液晶画面に映っている。
何かを求めるように。
誰かを求めるように。
男を求めるように。
僕の下腹部へと血液が流れ込む。
理性的なことを考える暇もなく、僕の股間は勃起していた。
液晶画面から目を離し、視線は半分開いた彼女の唇に吸い寄せられた。
その蠱惑的な――親友の彼女の唇に。
無意識に左手の人差し指を立てる。
一物みたいにその指を伸ばすと、僕はその指を、森美樹の口の中へと差し入れた。
「――んっ!?」
突然、口内に侵入した異物に、彼女は少し驚きの声を漏らした。
僕の人差し指に彼女の舌が絡む。
指先の指紋が彼女の唾液に濡らされて滑らかになるのがわかる。
――興奮した。
「んぐっ――ちょっと、悠木くん!」
彼女の手が僕の左手に掛かる。
さっきも触れた彼女の柔らかい手の感触。
重ねられた手によって、僕の指は彼女の上の穴から引き抜かれた。
「――あ、ごめん。つい」
「……つい――って! もうっ! 信じられないっ!」
彼女は怒った――というよりも困惑した顔で、僕のことを睨めつける。
「そんなことをしちゃ駄目よ」と叱る母親みたいな目。
掴んだ手を、僕へと突き返すように引き下ろす。
彼女は人差し指を立てた僕の左手を、僕の太腿へと押し付けた。
でも押し付けた場所がちょっとだけずれている。
彼女の手が着地した位置は、――僕の股間だった。
彼女の手が、ズボンの生地越しに僕の一物に触れる。
いまにもはちきれそうに熱り立った、僕の男性自身に。
一瞬、彼女は顔に疑問符を浮かべた。
でも、自分が触れているのが何なのか気づくと、徐々に頬を赤らめていった。
僕の股間に触れる彼女の手に、僕はそっともう一方の手を優しく重ねる。
「……なんで、あーしで、――大きくしてるのよ。――信じられない」
その語気はさっきよりも弱くて、さっきよりも不確かだった。
ズボン越しに彼女の手に触れられて、僕のやんちゃな肉棒はますます元気になっていく。
僕の手に包まれた彼女の右手のひらが、少しだけ動かされた。
「それは森さんが魅力的だからだよ。――水上洋平が彼女にしたくて、そして離したくないくらいに、魅力的な女の子だからだよ」
「……そんなこと言ったって、騙されないんだからね」
彼女は下唇を突き出して、拗ねたように眉を寄せた。
僕は左手を彼女に手の中からそっと抜き、その手で逆に彼女の右手を押さえる。
また彼女の手が少し動いた。
ズボンの上から僕のやんちゃ坊主を擦るように。
「――僕は篠宮明莉に一途だからさ。ここをこんなに大きくしても、水上から君を奪って恋人にしたいだなんて思わない。……でも、やっぱり君は、そんな僕のここでさえ、無意識に大きくしてしまうくらい、素敵な女性なんだよ――」
そう至近距離にある、彼女の耳元で囁くように言った。
本心から、彼女を勇気づけたくて。
「――馬鹿っ!」
彼女は恥ずかしそうに俯いたまま、そう小さく呟いた。
僕は左手で彼女の手を股間に押し付けたまま右手を彼女の細い腰へと回す。
――そして再び、彼女の形良い臀部に触れたのだった。
やがてゴンドラは、もう半周を回って、地上へと到着した。
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