ずっと好きだった幼馴染が放課後に部活顧問の肉棒を咥えていて、僕はスマホで撮影した。

透衣絵ゐ

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第三章 動画

動画(10)

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 僕の先端から溢れ出した精液が彼女の口を満たしていく。

「……うっ! 香奈恵さん、香奈恵さんっ!」
「ん! んー、んー、んーっ!ー」


 香奈恵さんは苦しそうに眉間に皺を寄せている。

 頭が真っ白になって強烈な多幸感と、虚脱感が駆け上がってくる。

 初めて女性の中へと精を放ち、僕を取り巻く世界が――変わっていくのを感じていた。

 彼女は後ろに体を逸し、逃げようとする。
 僕は彼女の頭をぐっと押さえつけた。


「んー! んー! んー!」


 眉間に皺を寄せて苦悶の表情を浮かべる――誰かの貞淑な妻。

 その口の端からは白濁液が少しだけ溢れている。

 男の精特有の鼻を突く刺激臭が彼女の中から微かに漂ってきた。

 ソファの背もたれへと倒れ込んでいた体をゆっくりと起こす。

 彼女は泣きそうな顔で右手で僕の太腿を押しながら、左手を口元に添えている。
 口には、奥深く、僕の肉棒を含んだまま。

 僕の股の間でまだ苦しそうに唸る彼女に、僕は優しく語りかけた。


「――香奈恵さん。――飲み込んで。……最後までするって、言ったよね?」
「んっ!?」


 彼女が僕を見上げて、目を見開く。
 そんなこと考えていなかった、と言わんばかりに。


 ――口でする。

 その言葉にどこまでの意味を込めるかは人によって違う。
 その解釈は様々だ。

 舌で舐めたら終わり?
 唇で咥えたら終わり?
 一往復しゃぶったら終わり?
 きちんと射精まで導いたら終わり?
 それとも放たれた精液を、残さず飲み込んだら終わり?

 彼女には、彼女の解釈があるだろう。
 でも、その解釈を決めるのは、――僕だ。

 言葉の意味を決めるのは権力であり、その権力は今この場所では僕が握っている。


「口の中の僕の子種を全部飲み込んでよ。香奈恵さんのお腹の中に取り込んでよ。――それが、動画を公開しない条件だよ?」
「ん……、んんん……」


 困ったように、苦しそうに、泣きそうに――彼女は目尻を下げる。

 射精を終えて少しは萎んだ僕の息子は、それでも彼女の口腔の多くを支配していた。


「――ここまできてあの動画をばら撒かれたくないでしょ?」
「ん……」


 白いニットワンピースの彼女は、観念したように首を縦に振った。

 僕は内腿に力を入れて、彼女の頭をそっと挟む。

 一度、強く目を閉じると、また彼女は目を開いて上目遣いで僕を見上げた。

 縋るように。
 赦しを乞うように。

 ――ごっくん。

 彼女の喉の奥が鳴って、液体は飲み込まれた。


 僕が力を緩めると、彼女は口を大きく開いて、僕の肉棒を吐き出した。

 舌に絡みつくように白濁の粘液がまとわりついている。

 それでも口の中に吐き出された大量の精液は――すでに無かった。


 僕はそっと、彼女の頭を優しく撫でた。

 ――彼女はくすぐったそうに目を閉じた。


 ※


「シャワー浴びて、下とか、洗って行ったりする? まだ、あの人が帰ってくるまでは時間があると思うけれど? ――あ、心配ならLINEで帰宅時間を聞くけれど?」


 洗面所から出てきた香奈恵さんがピンク色のタオルで口周りを拭きながら、尋ねてきた。

 僕はすでに萎んだ股間をウェットティッシュで拭いてブリーフと制ズボンを穿いている。

 行為の後の虚脱感は、安らかな満足感に変わっていた。

 まだ熱のこもった顔を、香奈恵さんはタオルで押さえる。
 そうしながら尋ねてくる大人の女性を、僕は見上げた。

 あらためて見ると香奈恵さんは、とてもスタイルが良くて、それでいて顔立ちは綺麗だ。
 長い足にフィットした黒いスキニージーンズと、白いニットワンピースに包まれた体。

 そんな彼女にが僕の精液を飲み込んでくれたのだと思うと、興奮した。
 感謝と歓喜とで、僕は満たされていた。


「いいえ、シャワーまではやめておきます。ちょっとそこまでは、僕も勇気がないので」
「――もう、何を今更。私にあんなの飲ませておいて、よく言うわよ!」


 頬を膨らませる、香奈恵さん。


「……やっぱり、嫌でした?」
「嫌って……わけ……。って、あなたが脅迫するんだから、仕方ないでしょ?」


 彼女は、口を拭いていたタオルを下ろして、腕を組んだ。
 組んだ腕の上でニットの下の豊かな胸が強調されて盛り上がる。


「――そうでしたね」


 僕は弄っていたスマホの画面に表示されていた確認ボタンを押す。
 進捗インジケーターがくるくると周り、処理はすぐに完了した。
 クラウドへの同期を確認すると、僕はスマホを持ったまま立ちあがった。

 顔を拭きながら、彼女はそんな僕を目で追う。
 そんな彼女の背後へと近づくと、僕は自分の体を彼女に背中に密着させた。


「――ちょ、ちょっと? 悠木くん、今度は何?」


 体を密着させると彼女の形の良いお尻がちょうど僕の股間付近に当たった。
 とても柔らかかった。
 僕は後ろから彼女のことを抱きしめる。


「何っ? するのは口でだけって、約束でしょ?」
「――ええ、分かっていますよ? だからこれはオマケみたいなものです」
「オマケって! 何を勝手に、……あ、こらっ!」


 僕の指先がニット越しに彼女の柔らかな胸に沈み込む。


「あんっ! ちょっと、悠木くん。やめて、……ちょっとぉ」


 抵抗する声に少し甘い息が混ざる。
 僕は膨らみを揉んでいた左手を緩めると、右手に持ったスマホを彼女の目の前に掲げて、親指で画面をタップした。
 液晶画面で動画の再生が始まる。


 長い髪の女性が、懸命に男の股間に吸い付き、頭を振る。
 んっ、んっ、んっ! と、その女性が漏らす声がスマホのスピーカーから流れる。


「――撮っていたの? ……悠木くん」
「ええ、知っているでしょ? 僕は元放送部で、映画を一人で作っている人間なんですよ?」


 僕は彼女の右肩に頭を乗せて、一緒にスマホを覗き込む。
 胸を揉んでいた左手を、彼女の下腹部へと下ろした。


「……消してよ」
「――嫌ですよ」


 彼女は不意打ちみたいに右手を伸ばして僕のスマホを奪おうとするけれど、僕はするりとその手から逃れた。
 僕の腕から逃れて振り返った彼女は唇を噛み締めていた。


「男の子のスマホを取り上げようなんて、大人の女性やることじゃないですよ?」
「……もう、ほんとにどの口が言うのよ」
「それにスマホの動画を消しても無意味ですよ?」
「――どうして?」
「……だってもう、とっくにバックアップは取っていますから。僕のクラウドファイルストレージに」

 あらためて掲げたスマホの画面で、真白香奈恵は切なそうに僕のことを見上げていた。
 僕の肉棒を口に含んだまま。
 その顔は――どこか幸せそうだった。

 僕の目の前の真白香奈恵は、諦め顔で溜め息をつき、両手を腰に当てた。


 ※


「悠木くん、忘れものとかはない?」


 夕下がり、真白家の玄関口で、僕は革靴に足を入れていた。
 立ち上がって振り返ると、香奈恵さんが僕の鞄を差し出して首を傾げる。


「――大丈夫だと思いますよ? でも何だかそんなこと尋ねられると、奥さんか、お母さんみたいですね」
「お母さんはやめて。悠木くんと私じゃ十歳も変わらないでしょ?」
「――そうですね。僕も香奈恵さんみたいな綺麗な人だったら、お母さんよりも、奥さんがいいですね」
「……もう、何を言っているのよ。お姉さんで――いいでしょ?」


 そう言って、何だか照れ臭そうに香奈恵さんは唇を尖らせた。

 確かに家に帰れば僕には年齢にそぐわない若さを持つ母親がいるわけであり。
 流れで言ってみたものの、僕の奥さんは篠宮明莉以外には存在しえないのであり。
 だからが彼女の言う「お姉さん」という選択肢は、とても妥当なものなのだと思った。


 行為の後、香奈恵さんが入れてくれたコーヒーを飲みながらクッキーを摘んだ。
 そして僕らは学校の話とか、趣味の話とかを話題にして三〇分ほどお喋りに興じた。
 二人ともが見ていた映画があって、ちょっと盛り上がった。

 それからLINEの連絡先を交換した。
 お互い浮気している相手を抱えているのだ。
 緊急連絡先は必要だろう。

 明莉は一般的な概念に従えば「浮気」しているわけではないのかもしれない。
 しかし、僕という主観的立場から語るなら、それは浮気に相違ない。
 なぜなら篠宮明莉は最終的には僕の彼女で――運命の女性だからだ。
 ――だから浮気は許されない。


「――じゃあ、香奈恵さん、また」
「また? ……うん、そうね。また」


 彼女が差し出した鞄を受け取る。彼女の手が僕の手に触れる。
 その手の上から鞄の持ち手を掴んだまま、ぐいと引っ張った。

 彼女は「あっ」と声をあげてバランスを崩す。
 体勢を崩す彼女を抱き止めると、僕は左手を彼女の腰に回した。

 驚いたように見上げる彼女。
 潤んだ目。ぷっくりと膨らんだ唇。
 僕はその唇を、僕の唇で覆った。


 腕の中で年上の彼女が少しだけ抵抗する。
 ――十、九、八、七、六、五、四、三、二、一……〇。


「――ぷはぁっ! もう悠木くん、何するのよっ!?」


 息を止めていた彼女が、僕の抱擁から逃れて、非難するみたいに唇を尖らせる。


「……さよならのキス、ですよ」
「――そっか。うん、じゃあね。バイバイ」


 まだ彼女の感覚が身体中に残っている。
 それでも僕は一つ頭を下げると、玄関のノブに手をかけた。


「――また、LINEします」
「ん。何かあったら、遠慮しないで、……して」


 僕は振り返らずに扉を開く。

 別世界みたいだった二人きりの空間を背中に置いて、僕は住宅街の中を歩き出す。
 太陽はもう落ちていて、冬のアスファルトが足元に広がっている。

 復讐を始めた僕の世界線が、その先へと真っ直ぐに伸びていた。
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