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第7章

討論

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 光の領域である空のとある場所で、鸚鵡の周りを監視していた光と闇の中精霊と眷族の大半が車座に座っていた。
《今まで我が王の加護を受けし人間や、その周辺の人間と全く違うな》
我等の王の加護を受けし人間の周りとも違う》
《楽シソウダッタ》
《アノ子ノコト心配シテタ》
小精霊達の他の呟きも概ね人間に好意的だった。
心の声と実際の言葉が乖離した様子も全く見られなかった。
悪意の感情やオーラも感じなかった。
もちろん人の多い場所に行けば感じる事もあるが、あくまでも直接目にした幻獣士ギルドの所属員や変異種育成計画に参加している主な人間には、幻獣や変異種への尊敬や愛情を感じるし、無闇やたらと己が欲のために幻獣を扱う者は居なかった。
《しかし過去人族で言う何百年という期間中に最後まで有意義に加護の力を使用した者は光にも闇にも居なかった事は事実》
《だが我々一族の中にもひねくれ者もいるし、怠け者もおる》
《アノネ、アノネ》
《どうした?》
《ミナデコッソリアトツケテタッテ》
《誰の事だ?》
《ゲンジュウシミンナ》
《全員なのか》
 詳しく聞いてみると、幻獣士として森から出て一定期間は全ての人族に精霊や妖精、幻獣でも虫類など気付かれにくい種族が監視要員として付き纏っていたと。複数の小精霊達の断片的な情報から導き出した内容のため、確認のために仲の良い中精霊に確認してもらった。
 疑いが晴れた者以外は観察を継続し、一度は警告で済ませ、二度目はペナルティを課し、3度目は幻獣を取り上げる仕組みを作ったという。しかも二度と幻獣と契約出来ない様にされると。
 話しを聞いて取り上げられたのは人間だけだろうと思ったら、そうではないらしい。
なんと運用開始時に幻獣士になれた者自体が人間で少ないせいか1人も警告さえも受けた者が居ないらしい。取り上げられたのは、酒癖の悪い獣人族や他種族とのハーフだけ。
《人間が1人も脱落していないというのか?》
《私も他の精霊の話しているのを聞いて同様に思いギルドに潜入して名簿を確認して来ましたから間違いないです》
《…まだボロが出てないだけだろう》
ふと足元を見ると眷族である幻覚を操る幻鳥の幼鳥が、何か言いたげに見上げていた眼とぶつかる。
《何か言いたいのか?》
音が聞こえてきそうなほど首を縦に振った。
《ヤサシイニンゲンイル》
《そうだな》
《デモツヨイ》
《何だ?力か?》
《ココロ》
見かねた親鳥が代弁する。
《この子が人間の中には優しい者が多いが、幻獣士になった者は守る強さもあると。優しいだけの人間は心が弱くて変わると》
言葉の意味を理解するためかしばらく沈黙が続く。
《チガウ!》
親鳥に反論する幼鳥。
《マモリタイモノデキルカラ!》
《どう言う事だ?》
闇の中精霊は幼鳥の許可を得て心を覗く。
《なるほど。
この子は人間の子供達に助けられた幻獣と仲良しだった。大人に秘密にして世話をしたのがバレた時に、一番大きな子が大人の前に立って幻獣を逃がす様に叫んだら一番小さな子が傷付いた幻獣を抱えて走って、追い詰められた時に自分の体で覆って守ろうとしたらしい。大人もそこまでして守ろうとしたから、怪我が治るまでという約束で世話を許したと》
《ソノコフルエテタッテ》
《その日までは怖がって近寄ることもしなかった子だから驚いたと。でも次の日からは幻獣を恐怖から石を投げて虐めていた他の子を止める様になったそうだ》
《別の幻獣から今まで優しかった人間が、誤って人を怪我をさせた途端に豹変したとも言っていた。他にも妖精が視認出来ていた幼子が、周りの大人から嘘吐き呼ばわりされて見えるのに無視する様になったと》
《つまり人間は我々とは違うと言う事だな》
《そう言えば以前我が王が、火の精霊王が人間とは難しい生き物だと愚痴られたと言っていた気がする》
《というかどう報告すれば良いのだ?》







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