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第7章
採蜜
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蜜の採取のために商業ギルドに相談したところ変異種育成計画参加したばかりの養蜂家を紹介された。ただまだ正式なメンバーになってないため、とりあえずは魔性植物園ヘ向かうため採蜜用の魔道具一式を購入後した。
育成計画担当者を訪ねて事情を説明し、蜜の多い種類で一番開花しているものから採取させてもらったが、研究用のばかりで苗はなく、帰りに市場に寄り熟し過ぎて廃棄直前の果実を探しては買い取って回った。
レナードの家にある魔性果実は鉢植えでベリー系か柑橘系だった。果肉の多い果実は鉢植えが難しいため今までは用意しなかったのだ。魔性植物は大気か土壌に含まれる魔素を吸収して成長し、花が咲くまで魔素の多い地域で成長させる。レナードの庭の一部は魔素が多ためわざわざ鉢植えでなくても問題なかったが今後は小さな苗を植える予定だ。
ヒュードルは報告のために何度か来た。監視役の光と闇の中精霊達はヒュードルが居る時は見つからない様に離れて様子を伺っていたが、保護したつもりの麒麟が言っていた様に慕っている雰囲気を感じて戸惑っていた。
リベルタの商業ギルドの育成計画担当者より養蜂家が正式に参加したので訪問の打診をしたら快諾と連絡が来た。魔性植物園の職員の同行してくれるという。蜂の研究をしている者でレナードへのアドバイザーも兼ねて、観察など研究に関する事を聞き取り調査するためらしい。
養蜂場を訪ねると老人と若い女性が出迎えてくれた。養蜂主と後継者修行中のお孫さんだと紹介された。
「わざわざ遠いところからご苦労様です。我が養蜂場で時々幻獣の蜂から変異種が誕生していましたが、今までは扱いに困って冒険者に頼んで巣ごと自生地の森へ移動させるしかなかったんですが…」
「それが約一年前程前にリベルタの魔性植物園の発表を見つけた私が、論文を取り寄せて内容を見て可能性を感じて半年かけてお爺ちゃんを説得したんです!」
孫娘が興奮気味に祖父の言葉を遮って説明してくれた。今回の加入は孫娘が養蜂場を継ぐ条件というか試練の様なものらしい。幻獣の昆虫類は言葉で会話は難しいが賢いため、幻獣術でならある程度の意思疎通は出来る。だが幻獣の変異種ならば更に賢くなり、女王蜂などの群れのボスクラスなら念話で片言でも会話が出来るのだ。
変異種が誕生する条件などはまだ不明だが、養蜂に関しては変異種の女王蜂が誕生すると、一定数の働き蜂が変異種となる事は過去の文献にあるが、ほとんど成功例がないために放置しその後廃棄する者もいるという。
「ちょうど今女王蜂の変異種が誕生前の状態なんです!」
孫娘は興奮してある小屋を指差した。
《ウェントゥス、変異種の働き蜂に女王蜂の誕生に必要な物は足りているか聞いてくれるか?》
《分かった》
ウェントゥスが聞いたところ、魔素が足りないという。養蜂主の案内で蜜などの採取場を見学しに行った職員と4人で事務所へ移動する。
「採取場は変異種でなければ良い魔素量ですね」
「ウェントゥスも変異種の働き蜂から足りないと聞いた」
論文を読んで苗を増やしたからなんとか成長しているが、ギリギリ足りるかどうからしい。
「…でもこれ以上は魔素の管理が難しくて」
孫娘はすっかり落ち込んでしまった。
「方法がいくつかありますが、その内実限可能な方法は3つ」
変異種専用の採取場を結界で囲う。
登録した種族(蜂)のみ出入り出来る特殊な温室で囲う。
魔素の多い採取地への魔法陣を用意する。
「だが最後の方法は伝手と資金がなければ無理では?」
「あくまでも実現可能なだけですよ。実際には高い魔力がある種族か、王侯貴族などでしょう。あとレナードさんならば精霊王様方に頼めばあるいは」
結局ここで一番実現可能なのは温室だろうという事だが費用面が問題だった。だが魔性植物園の研究の協力と、変異種育成計画のモデルケースで費用を捻出が出来ればという事になり相談する事になった。
話し合いの間に女王蜂と交渉したウェントゥスのおかげで鸚鵡は蜜を直接摂取していた。
育成計画担当者を訪ねて事情を説明し、蜜の多い種類で一番開花しているものから採取させてもらったが、研究用のばかりで苗はなく、帰りに市場に寄り熟し過ぎて廃棄直前の果実を探しては買い取って回った。
レナードの家にある魔性果実は鉢植えでベリー系か柑橘系だった。果肉の多い果実は鉢植えが難しいため今までは用意しなかったのだ。魔性植物は大気か土壌に含まれる魔素を吸収して成長し、花が咲くまで魔素の多い地域で成長させる。レナードの庭の一部は魔素が多ためわざわざ鉢植えでなくても問題なかったが今後は小さな苗を植える予定だ。
ヒュードルは報告のために何度か来た。監視役の光と闇の中精霊達はヒュードルが居る時は見つからない様に離れて様子を伺っていたが、保護したつもりの麒麟が言っていた様に慕っている雰囲気を感じて戸惑っていた。
リベルタの商業ギルドの育成計画担当者より養蜂家が正式に参加したので訪問の打診をしたら快諾と連絡が来た。魔性植物園の職員の同行してくれるという。蜂の研究をしている者でレナードへのアドバイザーも兼ねて、観察など研究に関する事を聞き取り調査するためらしい。
養蜂場を訪ねると老人と若い女性が出迎えてくれた。養蜂主と後継者修行中のお孫さんだと紹介された。
「わざわざ遠いところからご苦労様です。我が養蜂場で時々幻獣の蜂から変異種が誕生していましたが、今までは扱いに困って冒険者に頼んで巣ごと自生地の森へ移動させるしかなかったんですが…」
「それが約一年前程前にリベルタの魔性植物園の発表を見つけた私が、論文を取り寄せて内容を見て可能性を感じて半年かけてお爺ちゃんを説得したんです!」
孫娘が興奮気味に祖父の言葉を遮って説明してくれた。今回の加入は孫娘が養蜂場を継ぐ条件というか試練の様なものらしい。幻獣の昆虫類は言葉で会話は難しいが賢いため、幻獣術でならある程度の意思疎通は出来る。だが幻獣の変異種ならば更に賢くなり、女王蜂などの群れのボスクラスなら念話で片言でも会話が出来るのだ。
変異種が誕生する条件などはまだ不明だが、養蜂に関しては変異種の女王蜂が誕生すると、一定数の働き蜂が変異種となる事は過去の文献にあるが、ほとんど成功例がないために放置しその後廃棄する者もいるという。
「ちょうど今女王蜂の変異種が誕生前の状態なんです!」
孫娘は興奮してある小屋を指差した。
《ウェントゥス、変異種の働き蜂に女王蜂の誕生に必要な物は足りているか聞いてくれるか?》
《分かった》
ウェントゥスが聞いたところ、魔素が足りないという。養蜂主の案内で蜜などの採取場を見学しに行った職員と4人で事務所へ移動する。
「採取場は変異種でなければ良い魔素量ですね」
「ウェントゥスも変異種の働き蜂から足りないと聞いた」
論文を読んで苗を増やしたからなんとか成長しているが、ギリギリ足りるかどうからしい。
「…でもこれ以上は魔素の管理が難しくて」
孫娘はすっかり落ち込んでしまった。
「方法がいくつかありますが、その内実限可能な方法は3つ」
変異種専用の採取場を結界で囲う。
登録した種族(蜂)のみ出入り出来る特殊な温室で囲う。
魔素の多い採取地への魔法陣を用意する。
「だが最後の方法は伝手と資金がなければ無理では?」
「あくまでも実現可能なだけですよ。実際には高い魔力がある種族か、王侯貴族などでしょう。あとレナードさんならば精霊王様方に頼めばあるいは」
結局ここで一番実現可能なのは温室だろうという事だが費用面が問題だった。だが魔性植物園の研究の協力と、変異種育成計画のモデルケースで費用を捻出が出来ればという事になり相談する事になった。
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