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第7章
変化
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幻獣舎に着くと、普段ならばレナードを迎えに飛んで来るはずのクレドの気配がない。
借りた房の番号を頼りに場所を探す。いつもクレドが来てくれるから探した事がほとんどなく、どれだけ幻獣達に甘えて頼り切っていたかを痛感した。
これからは甘え過ぎない様に気をつけなければと思いながら辿り着く。
最近では各々の姿が見える範囲内で好きな場所で寝ていたが、ソルとルナは互いに寄り添ったり、互いに違う者と寄り添うことが多かったが、今は皆が寄り添う様に固まっていた。
「アルバの事を思い出しながら寝たのかなぁ。まだアルバが不安がっていた頃みたいだ」
アルバは群れで生活していたらしく、怪我が治った後も1人で居ることを怖がっていた。
銀狼が去った後に来たソルとルナに、小さな弟が出来たかの様に毎日寄り添っていた。
成長してアルバ以外が名前をもらい仮契約をしてから、本契約を結ぶまでは不安がるアルバにこんな風に皆が寄り添うこともあった。
早くアルバを見つけ出さないとと改めて思った。
「ヒュードルが良い情報を得て来たら良いのだが」
とりあえず皆が寝ている事を確認出来たので宿の自分の部屋へ戻った。
ちなみにちびスライムはずっとレナードと一緒に居た。頭の上や肩などに乗っていたり、疲れたり眠くなると胸ポケットに入っていた。
まだ飛び跳ねて移動することが出来ないためと、親であったスライムが主人と常に共に居たため、それが当たり前の事の様だった。
同じく赤ちゃんであるシャンスとレナードの肩の取り合いになるのだろうかと想像してくすりと笑った。
レナード自身は気付いていないが、アルバが居なくなってから初めて心から笑ったのだった。
翌朝身支度を整えると幻獣達の朝食の追加でのために幻獣舎へ赴く。
この宿はダンジョンなどで有用な能力を持つ変異種や幻獣を従える幻獣使いや従魔士が利用したり、ダンジョン内で捕獲した幻獣を預かってくれるため朝食1回は与えてくれる。
大きさによって必要量や数が違うが、小型種でなければ普通種の分だけは幻獣舎の料金に含まれる。
それ以上必要な場合には追加料金を払うか、レナードの様に自分で用意して与えるかになる。レナードは元々長期間を想定して途中で餌となる魔獣を討伐ついでに確保していたのと、普通は群れ単位でなければこんなに大所帯ではないため、大食いか大型種を除けば用意する必要はない。
何故なら捕獲した分は冒険者ギルドの受け付け時間まで預けるだけだし、幻獣舎付きは費用がかかるために最低限の利用することはない。
レナードの幻獣達は普段から他の幻獣や変異種達と違い、魔性果実や魔物などの肉を食べているため宿の食事では量は満足出来ても質で満足が出来ない。
その代わりに同種より強かったり、早かったりするのだが、レナード自身は能力の高さに特にこだわりがないため、我が子達は双子狼犬を除いて標準だと思っている。
「皆おはよう。果実を持って来たゾ」
ちょうど食事が終わったところの様で、グルーミングをしようと器から離れた場所に移動している途中だった。
クレドは今朝も迎えに来なかった。
やはりアルバが居ない事が堪えているのだろう。このままアルバの居場所が判明する時間が長引けば長引くほど、この子達がまいってしまうかもしれない。
何処となく元気がない様にも見える。
「食べ終わったら皆んなに相談したい事というか、一緒に考えて欲しい事があるんだ」
レナードは賭けに出た。
アルバの事を一瞬でも良いから考えない様にするために、突然思い付いたある事を実行してみたのだ。
借りた房の番号を頼りに場所を探す。いつもクレドが来てくれるから探した事がほとんどなく、どれだけ幻獣達に甘えて頼り切っていたかを痛感した。
これからは甘え過ぎない様に気をつけなければと思いながら辿り着く。
最近では各々の姿が見える範囲内で好きな場所で寝ていたが、ソルとルナは互いに寄り添ったり、互いに違う者と寄り添うことが多かったが、今は皆が寄り添う様に固まっていた。
「アルバの事を思い出しながら寝たのかなぁ。まだアルバが不安がっていた頃みたいだ」
アルバは群れで生活していたらしく、怪我が治った後も1人で居ることを怖がっていた。
銀狼が去った後に来たソルとルナに、小さな弟が出来たかの様に毎日寄り添っていた。
成長してアルバ以外が名前をもらい仮契約をしてから、本契約を結ぶまでは不安がるアルバにこんな風に皆が寄り添うこともあった。
早くアルバを見つけ出さないとと改めて思った。
「ヒュードルが良い情報を得て来たら良いのだが」
とりあえず皆が寝ている事を確認出来たので宿の自分の部屋へ戻った。
ちなみにちびスライムはずっとレナードと一緒に居た。頭の上や肩などに乗っていたり、疲れたり眠くなると胸ポケットに入っていた。
まだ飛び跳ねて移動することが出来ないためと、親であったスライムが主人と常に共に居たため、それが当たり前の事の様だった。
同じく赤ちゃんであるシャンスとレナードの肩の取り合いになるのだろうかと想像してくすりと笑った。
レナード自身は気付いていないが、アルバが居なくなってから初めて心から笑ったのだった。
翌朝身支度を整えると幻獣達の朝食の追加でのために幻獣舎へ赴く。
この宿はダンジョンなどで有用な能力を持つ変異種や幻獣を従える幻獣使いや従魔士が利用したり、ダンジョン内で捕獲した幻獣を預かってくれるため朝食1回は与えてくれる。
大きさによって必要量や数が違うが、小型種でなければ普通種の分だけは幻獣舎の料金に含まれる。
それ以上必要な場合には追加料金を払うか、レナードの様に自分で用意して与えるかになる。レナードは元々長期間を想定して途中で餌となる魔獣を討伐ついでに確保していたのと、普通は群れ単位でなければこんなに大所帯ではないため、大食いか大型種を除けば用意する必要はない。
何故なら捕獲した分は冒険者ギルドの受け付け時間まで預けるだけだし、幻獣舎付きは費用がかかるために最低限の利用することはない。
レナードの幻獣達は普段から他の幻獣や変異種達と違い、魔性果実や魔物などの肉を食べているため宿の食事では量は満足出来ても質で満足が出来ない。
その代わりに同種より強かったり、早かったりするのだが、レナード自身は能力の高さに特にこだわりがないため、我が子達は双子狼犬を除いて標準だと思っている。
「皆おはよう。果実を持って来たゾ」
ちょうど食事が終わったところの様で、グルーミングをしようと器から離れた場所に移動している途中だった。
クレドは今朝も迎えに来なかった。
やはりアルバが居ない事が堪えているのだろう。このままアルバの居場所が判明する時間が長引けば長引くほど、この子達がまいってしまうかもしれない。
何処となく元気がない様にも見える。
「食べ終わったら皆んなに相談したい事というか、一緒に考えて欲しい事があるんだ」
レナードは賭けに出た。
アルバの事を一瞬でも良いから考えない様にするために、突然思い付いたある事を実行してみたのだ。
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