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第5章
研究都市会議
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「監査の基準は誰が決めるのですか?」
「ギルドでは過去の依頼を参照にするそうですが、幻獣側の場合には不明だと。
ただナデージダへの回答を参照すると、特定の人だけが利益を得る量や非常識な量を申請しなければ大丈夫らしい。
あくまでも幻獣側が適量と判断する量かどうからしい」
「だから今までの取引先が使えないということですか?」
「概ねそういう事だな。ただその取引先との契約を幻獣士ギルドが承認すれば可能かもしれないが、それは今後の話し合い次第だ。
とりあえず通常在庫の不足分以外に関しては、取引先との話し合いの上、幻獣士ギルドへの依頼に切り替えることを承知しておいてくれ」
「個人的な少量の依頼分については今まで通りでも良いのですか?」
「繰り返すが、“戦争や犯罪に関わる事でなく、個人の利益を著しく得ない限りは”だ。
こちらが購入する代金が妥当なら問題はない。
今までと違い危険手当は必要なくなる。
輸送費や遠征費はかかるだろうが、ギルドの価格を大きく上回る金額や、逆に不当な金額でなければ問題はない」
「それは誰が判断するんですか?」
「だから幻獣側だと言っておるだろう。
人族が住む土地には精霊や妖精の居ない場所はないし、それ以外にも聖獣や霊獣などは各地にいる。
実際の判断をするのは知性が高い聖獣や大精霊達だろうが、情報を集めるのはあらゆる幻獣だそうだ」
「理由の如何に関わらず、欲張り過ぎずに幻獣と有効的に利益を得ることが求められている様に幻獣側からの回答から感じます。
直接養う家族に必要なら良いと言ってます。
それは一族や国という単位ではないと。
加工品についても粗悪品を高額で売ったり、素材や商品を買い叩いて高額で売るのも処罰対象だと言ってました」
「今までの様に少し多めに素材を確保することは難しいということですか?」
「事務局としては喜ばしい事ですが、たぶん横流しをして不当な利益を得ることが出来る量でなければ問題視されないのではと推察します」
「事務局長の言う通りだと思う。
研究の進み具合では必要な素材の量が分からぬ時もある。
あくまでも繰り返し必要量以上の依頼があればと言っているし、幻獣側が納得すれば良いのだから、最悪監視付きで研究をすれば認められる可能性がある」
「監視付きというのは困ります。
情報が漏洩して成果を奪われてしまう!」
「監視は人族ではなく精霊や妖精の様だ。
あくまでも不正をしてないかを見てるだけで、研究内容が問題なければ少なくとも人族に漏洩することはないらしい」
「…妖精は出来れば来ないで欲しいです」
「悪戯盛りの妖精は来ないと思うゾ?
万が一妖精達の悪戯で研究が滞ることがあれば正式に研究都市として抗議して、損害を補填してもらうから安心して欲しい。
その代わり報告義務を課す」
「専属の幻獣士と契約する事は出来ないのですか?」
「それは検討中だが、まだ幻獣士が少ないため交渉の余地がない。
だが専属契約自体は認められているらしいから、事務局の方で契約内容などの素案を考えてもらう予定だ」
「最後に今から配布する用紙が申請用紙の原本となります。
これは幻獣士ギルドの様式なので、常時依頼や特殊依頼などこの様式では不都合がある場合は事務局へご相談ください。
内容をお聞きした上で幻獣士ギルドと相談して、我が都市用の様式の許可をいただいて来ますので」
「これを見ると毎回使用目的を記入する様だが、使用内容と素材の種類で研究内容が推論出来る可能性があるのでは?」
「そうですね、その事を含め一度幻獣士ギルド本部に相談に行きます。
日程が決まり次第皆様に通知するので、それまでに問題点があれば私か、議長のところに来て下さい」
「他に質問がなければ解散とする」
議長や事務局長など不正や汚職に加担していない者は早々に会議室を去った。
「ギルドでは過去の依頼を参照にするそうですが、幻獣側の場合には不明だと。
ただナデージダへの回答を参照すると、特定の人だけが利益を得る量や非常識な量を申請しなければ大丈夫らしい。
あくまでも幻獣側が適量と判断する量かどうからしい」
「だから今までの取引先が使えないということですか?」
「概ねそういう事だな。ただその取引先との契約を幻獣士ギルドが承認すれば可能かもしれないが、それは今後の話し合い次第だ。
とりあえず通常在庫の不足分以外に関しては、取引先との話し合いの上、幻獣士ギルドへの依頼に切り替えることを承知しておいてくれ」
「個人的な少量の依頼分については今まで通りでも良いのですか?」
「繰り返すが、“戦争や犯罪に関わる事でなく、個人の利益を著しく得ない限りは”だ。
こちらが購入する代金が妥当なら問題はない。
今までと違い危険手当は必要なくなる。
輸送費や遠征費はかかるだろうが、ギルドの価格を大きく上回る金額や、逆に不当な金額でなければ問題はない」
「それは誰が判断するんですか?」
「だから幻獣側だと言っておるだろう。
人族が住む土地には精霊や妖精の居ない場所はないし、それ以外にも聖獣や霊獣などは各地にいる。
実際の判断をするのは知性が高い聖獣や大精霊達だろうが、情報を集めるのはあらゆる幻獣だそうだ」
「理由の如何に関わらず、欲張り過ぎずに幻獣と有効的に利益を得ることが求められている様に幻獣側からの回答から感じます。
直接養う家族に必要なら良いと言ってます。
それは一族や国という単位ではないと。
加工品についても粗悪品を高額で売ったり、素材や商品を買い叩いて高額で売るのも処罰対象だと言ってました」
「今までの様に少し多めに素材を確保することは難しいということですか?」
「事務局としては喜ばしい事ですが、たぶん横流しをして不当な利益を得ることが出来る量でなければ問題視されないのではと推察します」
「事務局長の言う通りだと思う。
研究の進み具合では必要な素材の量が分からぬ時もある。
あくまでも繰り返し必要量以上の依頼があればと言っているし、幻獣側が納得すれば良いのだから、最悪監視付きで研究をすれば認められる可能性がある」
「監視付きというのは困ります。
情報が漏洩して成果を奪われてしまう!」
「監視は人族ではなく精霊や妖精の様だ。
あくまでも不正をしてないかを見てるだけで、研究内容が問題なければ少なくとも人族に漏洩することはないらしい」
「…妖精は出来れば来ないで欲しいです」
「悪戯盛りの妖精は来ないと思うゾ?
万が一妖精達の悪戯で研究が滞ることがあれば正式に研究都市として抗議して、損害を補填してもらうから安心して欲しい。
その代わり報告義務を課す」
「専属の幻獣士と契約する事は出来ないのですか?」
「それは検討中だが、まだ幻獣士が少ないため交渉の余地がない。
だが専属契約自体は認められているらしいから、事務局の方で契約内容などの素案を考えてもらう予定だ」
「最後に今から配布する用紙が申請用紙の原本となります。
これは幻獣士ギルドの様式なので、常時依頼や特殊依頼などこの様式では不都合がある場合は事務局へご相談ください。
内容をお聞きした上で幻獣士ギルドと相談して、我が都市用の様式の許可をいただいて来ますので」
「これを見ると毎回使用目的を記入する様だが、使用内容と素材の種類で研究内容が推論出来る可能性があるのでは?」
「そうですね、その事を含め一度幻獣士ギルド本部に相談に行きます。
日程が決まり次第皆様に通知するので、それまでに問題点があれば私か、議長のところに来て下さい」
「他に質問がなければ解散とする」
議長や事務局長など不正や汚職に加担していない者は早々に会議室を去った。
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