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第4章
森の入り口
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扉を視認出来る距離に近付くと周囲の視界が晴れる。
それはここを潜れば、本契約を結ばない限り戻る事が出来ないため最後の警告文を読ませるため。
近付くと『扉の手前にある石碑を読み、意志を示せ』と音声が流れる。
石碑には契約しない限り戻れないことが強調して書かれており、是は精霊王の名を、非は幻獣王の名を告げる事と記載されている。
互いに幻覚を見せられ不信感が出たり、覚悟が揺らいだ者達が引き返すチャンスを与えるためだ。
ちなみに幻獣王の名を告げた者は、移転石の位置を精霊に案内されて試練の森の外周部の一角に転送される。
挑戦者の名誉と幻獣達への労いのため、一定時間を試練の森の隅で過ごした後に帰還の間の移転石に案内されて、待機部屋の階段下に飛ばされる事になっている。
特別措置期間にはほとんど利用されなかった。
アーウィンは迷いなく相棒の属性である精霊王の名を告げる。
「風の精霊王シルフ様」
その途端、石碑が光って沈んで行く。
サナをポケットから右肩に移す。
《サナ、しっかり捕まってろよ。
相棒準備はいいか?》
《イツデモ大丈夫ダ》
《じゃあ行こう!
幻獣士になってもっと話そうな!》
扉を押し開けて1歩踏み出す。
全ての幻獣達が入るとひとりでに静かに扉が閉まって行く。
《さてレナードさんが言うには案内役がいるらしいが、二人共分かるか?》
《主人、オ前達ハ何ガイルカト聞カレタ》
《そうだなぁ、サナの好物の木の実を1kgくらいと、お前達の薬になる薬草類何種類かと、2週間分の肉を買えるくらいの素材を持ち帰られたら良いなぁ》
《コッチダソウダ》
そこには様々な薬草が生えていた。
どれも片手分だけ採取してマジックバックにしまう。
《これだけ持っていけばレナードさんの新しい薬がどのくらいもらえるだろうな》
「チュ」
《そうか、サナは前と同じくらいだと思うんだな》
《ゴ主人、次ハコッチダ》
そこは木の実や果樹が多い場所だった。
《サナ、いつも木の実以外に欲しい物があれば教えてくれ。
他の者は2匹残していつも木の実をここに集めておいてくれ》
サナを近くの木の枝に下ろすと、しきりに匂いを嗅いでは移動を繰り返して、気に入った果実や木の実のところで鳴いて知らせた。
その1つの木を白狼に軽く揺すって落としてもらったり、布袋を咥えてもらいアーウィンが傷みやすい果実を採取した。
それぞれの山からいつものは少なめに、新しい木の実を多めに1kgと思われる量を入れる。
果実は3日分と思われる量だけにする。
《主人、アトハコッチノ方に進メト言ッテイル。素材ナド目ニ入ッタラトレト》
相棒を先頭に進み、水晶などの鉱物などを中心に自分で相場が分かる物を採取しながら進む。
突然霧が出て来て立ち止まると、一気に濃くなり、霧が晴れた時に目の前に居たのはアーウィンが入る時に口にしたシルフと、獣種族の幻獣王フェンリルだった。
咄嗟に膝付くアーウィンと、座るサナとリーダー。
配下の白狼は存在に恐縮して伏せた。
《ソコノ者、全テノ試練ヲ達成出来タタメ、本契約ヲ許可シヨウ》
《ありがとうございます》
《本契約ノ手順ハ知ッテオルカ?》
《はい、聞いて来ました》
フェンリルが前に立つ。
《デハ、始メヨウ》
【我、獣ノ聖獣王ガ古ノ盟約ニヨリ、創造神クレアーテニ問ウ、本契約ノ許可ヲ- オーソライゼイション -】
辺り一面にキラキラとした光が空から降ってきた。
光が消えるのを確認してからアーウィンが続ける。
【我、アーウィン・バーンが女神タフヴィリアに願う、ピスティと永遠の絆を結ぶことを- リガーレ -】
アーウィンの手のひらから白狼のリーダーへと光が伸びて全身を包み、額に吸い込まれた。
続いてサナにも本契約をした。
《配下ノ白狼モ片言ダガ会話出来ルダロウ。帰ッテカラデ相談シ、名ヲ付ケテヤレ》
《本当ですか!ありがとうございます》
《サナ、ゴ主人様好キ♪》
《おぉ!サナとも会話が出来る様になったか!嬉しいなぁ》
《ボクモ好キ》
《ボクモ》
《ワタシモ》
《ワタシモ》
《スキ》
《おぉ、ありがとな。
さて皆で家に帰ろう!》
それはここを潜れば、本契約を結ばない限り戻る事が出来ないため最後の警告文を読ませるため。
近付くと『扉の手前にある石碑を読み、意志を示せ』と音声が流れる。
石碑には契約しない限り戻れないことが強調して書かれており、是は精霊王の名を、非は幻獣王の名を告げる事と記載されている。
互いに幻覚を見せられ不信感が出たり、覚悟が揺らいだ者達が引き返すチャンスを与えるためだ。
ちなみに幻獣王の名を告げた者は、移転石の位置を精霊に案内されて試練の森の外周部の一角に転送される。
挑戦者の名誉と幻獣達への労いのため、一定時間を試練の森の隅で過ごした後に帰還の間の移転石に案内されて、待機部屋の階段下に飛ばされる事になっている。
特別措置期間にはほとんど利用されなかった。
アーウィンは迷いなく相棒の属性である精霊王の名を告げる。
「風の精霊王シルフ様」
その途端、石碑が光って沈んで行く。
サナをポケットから右肩に移す。
《サナ、しっかり捕まってろよ。
相棒準備はいいか?》
《イツデモ大丈夫ダ》
《じゃあ行こう!
幻獣士になってもっと話そうな!》
扉を押し開けて1歩踏み出す。
全ての幻獣達が入るとひとりでに静かに扉が閉まって行く。
《さてレナードさんが言うには案内役がいるらしいが、二人共分かるか?》
《主人、オ前達ハ何ガイルカト聞カレタ》
《そうだなぁ、サナの好物の木の実を1kgくらいと、お前達の薬になる薬草類何種類かと、2週間分の肉を買えるくらいの素材を持ち帰られたら良いなぁ》
《コッチダソウダ》
そこには様々な薬草が生えていた。
どれも片手分だけ採取してマジックバックにしまう。
《これだけ持っていけばレナードさんの新しい薬がどのくらいもらえるだろうな》
「チュ」
《そうか、サナは前と同じくらいだと思うんだな》
《ゴ主人、次ハコッチダ》
そこは木の実や果樹が多い場所だった。
《サナ、いつも木の実以外に欲しい物があれば教えてくれ。
他の者は2匹残していつも木の実をここに集めておいてくれ》
サナを近くの木の枝に下ろすと、しきりに匂いを嗅いでは移動を繰り返して、気に入った果実や木の実のところで鳴いて知らせた。
その1つの木を白狼に軽く揺すって落としてもらったり、布袋を咥えてもらいアーウィンが傷みやすい果実を採取した。
それぞれの山からいつものは少なめに、新しい木の実を多めに1kgと思われる量を入れる。
果実は3日分と思われる量だけにする。
《主人、アトハコッチノ方に進メト言ッテイル。素材ナド目ニ入ッタラトレト》
相棒を先頭に進み、水晶などの鉱物などを中心に自分で相場が分かる物を採取しながら進む。
突然霧が出て来て立ち止まると、一気に濃くなり、霧が晴れた時に目の前に居たのはアーウィンが入る時に口にしたシルフと、獣種族の幻獣王フェンリルだった。
咄嗟に膝付くアーウィンと、座るサナとリーダー。
配下の白狼は存在に恐縮して伏せた。
《ソコノ者、全テノ試練ヲ達成出来タタメ、本契約ヲ許可シヨウ》
《ありがとうございます》
《本契約ノ手順ハ知ッテオルカ?》
《はい、聞いて来ました》
フェンリルが前に立つ。
《デハ、始メヨウ》
【我、獣ノ聖獣王ガ古ノ盟約ニヨリ、創造神クレアーテニ問ウ、本契約ノ許可ヲ- オーソライゼイション -】
辺り一面にキラキラとした光が空から降ってきた。
光が消えるのを確認してからアーウィンが続ける。
【我、アーウィン・バーンが女神タフヴィリアに願う、ピスティと永遠の絆を結ぶことを- リガーレ -】
アーウィンの手のひらから白狼のリーダーへと光が伸びて全身を包み、額に吸い込まれた。
続いてサナにも本契約をした。
《配下ノ白狼モ片言ダガ会話出来ルダロウ。帰ッテカラデ相談シ、名ヲ付ケテヤレ》
《本当ですか!ありがとうございます》
《サナ、ゴ主人様好キ♪》
《おぉ!サナとも会話が出来る様になったか!嬉しいなぁ》
《ボクモ好キ》
《ボクモ》
《ワタシモ》
《ワタシモ》
《スキ》
《おぉ、ありがとな。
さて皆で家に帰ろう!》
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