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第4章
公示
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カリュプスの仇を取れた精霊王や幻獣王達は満足気に各地から棲家に帰って行った。
その後幻獣士の新たなルールに不満を抱いていた国々は王宮や行政府が破壊され、幻獣達の怒りをかったことが民衆に知れ渡り、各地で暴動が起こったり、移住しようとする人々が殺到して混乱状態になった。
当然、国指導での幻獣士確保など出来る状況ではなくなった。
対して最初から賛同していた国々は、魔法会議の終了直後に自国で緊急会議を開き、優秀な幻獣使いを集めて幻獣士ギルド本部に向かわせた。
幻獣士ギルド本部の建築予定地に臨時の宿泊施設や飲食店、野営地などの整備が整った翌日に全世界に向けて発表と公示をした。
発表の数日前から到着していた竜人族やエルフ族は、ギルドの開業時間と同時に建物へ押し寄せた。
各種族内で話し合いがされていた様で揉めることなく整列していた。
10人以上いる種族は会議室に通され、壁に投影された規約や特例措置の方法を閲覧、それ以外はグループ毎か、個人で仕切りで分けられた部屋で資料を閲覧した。
幻獣使いは現状で相棒がいる場合と居ない場合と分けられるが、公示には最初の1ヶ月は特別措置の対象者である既に幻獣がいる幻獣使いのみ受付すると明記されている。
期間内に幻獣が居ない者や幻獣使いでない者は、幻獣士ギルド本部以外での資料閲覧を強く推奨された。
それでも混乱している不満を抱いていた国や、良識のない国の幻獣使いでない希望者が、初日にギルド本部にやって来た。
「幻獣士ギルドはここか」
「そうですがどうされました?」
「幻獣士になりに来てやったぜ」
「そうでしたか、ではお連れの幻獣はどこに居ますか?」
「はぁ?俺達は幻獣使いじゃねぇから居ねぇよなぁ?」
「おぅよ」
「ここには保護されている幻獣が居るんだろう?」
「確かに居りますが、リハビリ期間中ですので保護されて居るんですよ」
「何でぇ、保護した奴を充てがってくれるんじゃねぇのかよ」
「少し確認したいのですが、登録のことはどうやって知ったんですか?」
「どうって、冒険者仲間に聞いたんだよ」
「おかしいですねぇ、今朝全ギルド公示されるまで冒険者ギルドでも箝口令をしいている筈ですが?」
「でも聞いたから来たんだ!」
「そういやぁ、ここに来るまでに他の奴らからは聞かなかったなぁ」
「途中の酒場で話してるのも聞いた覚えもないな」
「その筈です。
各国の首脳陣にしか発表していないですから。
この奥にいる方々は首脳陣の資料に記載された条件を満たした方だけがお越しになっています。
ここに書いてある通り、幻獣が居ない方の受付は来月からになっておりますのでどうぞお引取りを」
「ここまで来てそんな訳に行くかよ!」
「幻獣達には人間の都合や権力は一切関係ありません。ルールを守らない人は申込資格を与えられない、それだけです」
「そんな話し聞いてないゾ!」
「そうですね。
そもそも特別措置は主に人間以外の人族や人間でも友好的に契約して、持ち出し量を守っている方に向けたものですからね。
きちんとルールを守らないとどういうことになるか、会議出席者の方なら知っているはずですので、聞きかじった貴族の方々がご自分達の都合の良い解釈をされたんでしょう」
「もう俺達はなれないのか?」
「それはここ以外のギルドで要項を閲覧してご自分で判断して下さい。
条件を納得したのなら来月以降にお越し下さい。
但し万が一幻獣士になれたとしても、大儲けは出来ませんよ?」
こんな感じで貴族達に唆されたであろう希望者のグループが後を絶たなかった。
それでも居座ろうとする者や期間中に再来した者は、妖精達が悪戯に来て粉をかけられた。
それは幻獣士失格の印として特殊な魔道具で見ると分かるようになっており、幻獣達にも見えるので拒否されるため幻獣使いにすらなれなくなった。
もし力で無理矢理仮契約出来たとしても、他の幻獣が幻獣王に知らせるため、早々に強制解除される。
その後幻獣士の新たなルールに不満を抱いていた国々は王宮や行政府が破壊され、幻獣達の怒りをかったことが民衆に知れ渡り、各地で暴動が起こったり、移住しようとする人々が殺到して混乱状態になった。
当然、国指導での幻獣士確保など出来る状況ではなくなった。
対して最初から賛同していた国々は、魔法会議の終了直後に自国で緊急会議を開き、優秀な幻獣使いを集めて幻獣士ギルド本部に向かわせた。
幻獣士ギルド本部の建築予定地に臨時の宿泊施設や飲食店、野営地などの整備が整った翌日に全世界に向けて発表と公示をした。
発表の数日前から到着していた竜人族やエルフ族は、ギルドの開業時間と同時に建物へ押し寄せた。
各種族内で話し合いがされていた様で揉めることなく整列していた。
10人以上いる種族は会議室に通され、壁に投影された規約や特例措置の方法を閲覧、それ以外はグループ毎か、個人で仕切りで分けられた部屋で資料を閲覧した。
幻獣使いは現状で相棒がいる場合と居ない場合と分けられるが、公示には最初の1ヶ月は特別措置の対象者である既に幻獣がいる幻獣使いのみ受付すると明記されている。
期間内に幻獣が居ない者や幻獣使いでない者は、幻獣士ギルド本部以外での資料閲覧を強く推奨された。
それでも混乱している不満を抱いていた国や、良識のない国の幻獣使いでない希望者が、初日にギルド本部にやって来た。
「幻獣士ギルドはここか」
「そうですがどうされました?」
「幻獣士になりに来てやったぜ」
「そうでしたか、ではお連れの幻獣はどこに居ますか?」
「はぁ?俺達は幻獣使いじゃねぇから居ねぇよなぁ?」
「おぅよ」
「ここには保護されている幻獣が居るんだろう?」
「確かに居りますが、リハビリ期間中ですので保護されて居るんですよ」
「何でぇ、保護した奴を充てがってくれるんじゃねぇのかよ」
「少し確認したいのですが、登録のことはどうやって知ったんですか?」
「どうって、冒険者仲間に聞いたんだよ」
「おかしいですねぇ、今朝全ギルド公示されるまで冒険者ギルドでも箝口令をしいている筈ですが?」
「でも聞いたから来たんだ!」
「そういやぁ、ここに来るまでに他の奴らからは聞かなかったなぁ」
「途中の酒場で話してるのも聞いた覚えもないな」
「その筈です。
各国の首脳陣にしか発表していないですから。
この奥にいる方々は首脳陣の資料に記載された条件を満たした方だけがお越しになっています。
ここに書いてある通り、幻獣が居ない方の受付は来月からになっておりますのでどうぞお引取りを」
「ここまで来てそんな訳に行くかよ!」
「幻獣達には人間の都合や権力は一切関係ありません。ルールを守らない人は申込資格を与えられない、それだけです」
「そんな話し聞いてないゾ!」
「そうですね。
そもそも特別措置は主に人間以外の人族や人間でも友好的に契約して、持ち出し量を守っている方に向けたものですからね。
きちんとルールを守らないとどういうことになるか、会議出席者の方なら知っているはずですので、聞きかじった貴族の方々がご自分達の都合の良い解釈をされたんでしょう」
「もう俺達はなれないのか?」
「それはここ以外のギルドで要項を閲覧してご自分で判断して下さい。
条件を納得したのなら来月以降にお越し下さい。
但し万が一幻獣士になれたとしても、大儲けは出来ませんよ?」
こんな感じで貴族達に唆されたであろう希望者のグループが後を絶たなかった。
それでも居座ろうとする者や期間中に再来した者は、妖精達が悪戯に来て粉をかけられた。
それは幻獣士失格の印として特殊な魔道具で見ると分かるようになっており、幻獣達にも見えるので拒否されるため幻獣使いにすらなれなくなった。
もし力で無理矢理仮契約出来たとしても、他の幻獣が幻獣王に知らせるため、早々に強制解除される。
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