上 下
74 / 197
第4章

発表

しおりを挟む
実際には集まっていないのにも関わらず、会議室にざわめきが広がった。
きっと水晶の投影範囲外にもかなりの人がいるのだろう。
『1つずつ説明します。
正式な幻獣士の誕生については、何処の国か研究施設の古の資料にあった本契約の聖句に基づいてされた契約で幻獣士になった者と言うことです。
今までその聖句を使用してもまともに契約出来なかったためも多くは居ませんが、出来なかった理由も判明しました』
強調した部分に僅かな反応を見せた者達をケイシー 商業ギルド代表は記憶に留めた。
『人族側の聖句だけでは正式な本契約が出来なかったということでした』
先程より小さなざわめきが起きる。
『幻獣王が認め、聖句を唱えた後ではないと本来の効果がないと言われたそうです。
本契約をすると、仮契約の様に目視の範囲内での念話という制限がなくなるそうです』
挙手があったので許可をする。
『我がコンティノアール国とエルフとドーワフの里の一部では、本契約の念話に関しての言い伝えにその様な記述が確かにあった。
残念ながら我々も本契約の条件については、本契約した者だけの秘匿とされ、聖句のみしか伝えられていなかった』
『最近では幻獣王が棲家を頻繁に変えていたそうなので久しぶりの本契約だったそうです。
そしてもう一つの発表にも関係して来ますが、今後幻獣士となる者達は、試練の森以外の全てにおいて自由に行き来できる上、幻獣が案内してくれた場所に限り持ち出せる量の制限がなくなるそうだ』
一際大きなざわめきが会議室を支配した。
一向に収まる気配がない中、ケイシーが大声をあげた。
『静粛に。まだ続きがあります』
ざわめきが小さくなるのを待って続ける。
『あくまでも幻獣士が持ち帰られる量が限定的ではあるが制限がないだけで、同行者がいた場合には同行者は今までと同じ量しか持ち出せない。
例えば幻獣士のマジックバックの容量が小さく、同行者が大きいからと入れてもらったら、今まで通りの量以外は持ち出せないため、森から出られないことになる』
一部から意味がないとか、不公平だなどの声が聞こえる。
『精霊王曰く、竜人族やエルフ、ドーワフ達の様に、持ち出す者が本当に必要な分のみ採取するのに制限はかけていないそうだ。
持ち出す個人に必要な量かは、大陸中にいる精霊や妖精が報告して来る情報を基に決めているそうです』
フレデリックが続く。
『迷いの森の資源はルールを守っている限りは無尽蔵だそうだ。
ルール以上に持ち出そうとされるから制限をかけるのだと。
最後にルールを悪用して、短期間に何度も森を往復して大量に持ち出そうとした場合、ペナルティが課せられる。
それでも改めなければ幻獣王が迎えに来て、幻獣を連れて行くそうだ。
幻獣士の剥奪及び二度と契約が出来ないそうだ』
それを狙っていたであろうスタークツ帝国とアデッソ王国が憎々しげな顔をしていた。
『さて、新しい迷いの森だが、場所は特定出来ないらしい。
但し入り口は決まっているため問題はない』
問題あるとか、何処の国なんだとか騒がしい。
『入り口は現在は1つですが、必要になれば増やすことも可能だそうです。
現在はエンサージョ国にある幻獣の保護施設に隣接しています。
そこは幻獣士ギルド本部の建物であり、そこからしか行けません』
シーンと鎮まりかえった。
『精霊王よりコンティノアール国と一部の里の皆様には申し訳ないと。
幻獣士になるためには幻獣士ギルドから入場し、試練を乗り越えた者だけが幻獣王と会い見えることが出来る様に変えてしまったと謝罪をしておられました』
『我が国は新たなルールとして受け入れよう』
『我々は精霊王様方や幻獣王様方がお決めになったことに従うのみ。
謝罪とは勿体無いお言葉です』
『最後に一言。
【幻獣士になりに試練の森に集いし者は、資格無き者は帰すこと叶わず】
という精霊王からの伝言です』

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた 少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa
ファンタジー
 国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……  知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。    街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis
ファンタジー
【注意!!】 途中からがっつりファンタジーバトルだらけ、主人公最強描写がとても多くなります。 内容が肌に合わない方、面白くないなと思い始めた方はブラウザバック推奨です。 ※主人公の転生先は、元はシナリオ外の存在、いわゆるモブと分類される人物です。 ベイルトン辺境伯家の三男坊として生まれたのが、ウォルター・ベイルトン。つまりは、転生した俺だ。 生まれ変わった先の世界は、オタクであった俺には大興奮の剣と魔法のファンタジー。 色々とハンデを背負いつつも、早々に二度目の死を迎えないために必死に強くなって、何とか生きてこられた。 そして、十五歳になった時に騎士学院に入学し、二度目の灰色の青春を謳歌していた。 騎士学院に馴染み、十七歳を迎えた二年目の春。 魔法学院との合同訓練の場で二人の転生者の少女と出会った事で、この世界がただの剣と魔法のファンタジーではない事を、徐々に理解していくのだった。 ※小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。 小説家になろうに投稿しているものに関しては、改稿されたものになりますので、予めご了承ください。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

外れジョブ「レンガ職人」を授かって追放されたので、魔の森でスローライフを送ります 〜丈夫な外壁を作ったら勝手に動物が住み着いて困ってます〜

フーツラ
ファンタジー
15歳の誕生日に行われる洗礼の儀。神の祝福と共に人はジョブを授かる。王国随一の武門として知られるクライン侯爵家の長男として生まれた俺は周囲から期待されていた。【剣聖】や【勇者】のような最上位ジョブを授かるに違いない。そう思われていた。 しかし、俺が授かったジョブは【レンガ職人】という聞いたことないもないものだった。 「この恥晒しめ! 二度とクライン家を名乗るではない!!」 父親の逆鱗に触れ、俺は侯爵領を追放される。そして失意の中向かったのは、冒険者と開拓民が集まる辺境の街とその近くにある【魔の森】だった。 俺は【レンガ作成】と【レンガ固定】のスキルを駆使してクラフト中心のスローライフを魔の森で送ることになる。

処理中です...