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第2章

同乗

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麓のテュラー村からヘンルーダ町へは、今回は村からの馴染みの行商人の馬車に途中まで乗せてもらい、夕方までに着くことが出来た。
タイミングと行き先さえが合えば一番早い移動手段なのだが、条件が揃うことは稀なので滅多に利用出来ない。
今回は幻獣この子達が居たから辻馬車でなくて本当に助かった。
その間ソルとルナは馬車の前を先導するかの如く走り、時々襲って来ようとする獣を嬉々として狩り、クレドは暴走したり、夢中になって逸れそうになる兄弟ソルとルナの補佐として活躍した。
幼体とスティードは行商人の馬車の後ろをちゃんと着いて来ていた。
運賃を払おうとしたら代わりに途中で狩った獣の素材と肉をもらえれば、お釣りが出るくらいだと言うので全て渡した。
魔物の肉なら魔素があるため少しはもらおうと思うが、今回は多少数が多いとはいえ獣だったからだが、調子に乗って街道から大きく逸れてまで追いかけて行ったのには辟易した。
クレド がいなかったら、馬車を降りて探し回らなければいけないところだった。一旦町に入り冒険ギルドに向かい、薬草採取のため森に入ることと、野営をするので最新の地図と情報が欲しいことを受付嬢に告げた。
一晩で帰る予定だが、念のためもう一泊分の用意はしてあると伝えると、3日経ってもここに連絡がない場合には捜索隊を出すという事で誓約書を提出した。
冒険者の護衛が必要では?と聞かれたが、幻獣使いであることや、普段からテュラー村近くの森に通っていること、幻獣と変異種達がいるから大丈夫だと告げたら幻獣を確認したいと言われた。
冒険ギルドの獣舎に預けたと言うと、少々お待ちくださいと奥に入っていく。
男性職員2人と戻って来て獣舎へと移動する。
はしゃぎ過ぎて疲れたらしい兄弟ソルとルナはスティードと幼体の側で丸くなって仲良く丸まって寝ていた。
レナードが獣舎に入ると直ぐにクレドが飛んで来て肩に止まる。
「先ずこの子が鷹の変異種のクレドで、まだ成体になったばかりなので魔法は未確認です」
喉元を指で撫でると嬉しそうに囀る。
「クレド、他の子達は?」
そう尋ねるとピィーとひと鳴きして奥の方へ飛んで案内してくれる。
3人でクレドの後を追うと4匹が視界に入る。
「寝ている2匹が狼犬の変異種で、側で寛いでいるのが子馬の変異種、もう1匹の子馬の後ろに隠れようとしているのが幻獣の幼体です」
「失礼ながらこれだけの変異種を連れて行かれるのは、森では難しいのでは?」
細身で長い髪を後ろで束ねている男が疑問を口にする。
まだ情報は来てないのか?
「難しいと言うのはどういう意味でしょう?」
「幻獣使いの方なら当然ご存知のはずですが、変異種の成体ならばまだしも、幼体は調子を崩しやすいことを。
それを3匹も連れて行くのはいかがなものかと」
「やはりこちらには届いていないんですね。リベルタの商業ギルドが公表されているはずですが、まだ商業ギルド止まりなんでしょうか?」
先程話していた人物が隣にいた人物に目を向ける。
「いや違う。私がこの町の冒険ギルド長のシリルだが、話しは来ている。
だが、商業ギルド預かりにはなっている。商業ギルド職員全員に周知して検証しているというので、ここを含む管轄内では冒険ギルドは駆除依頼の協力だけしている」
「そうですか。
ではギルド長は詳細をお聞きになってはいないのですか?」
「リベルタの噂は聞いているが、本当かどうかは疑っている」
「そうですか。まだ検証して1年と少しくらいなので実績が少ないから当然かも知れないですね。鳥類など成長が早い種類しか公表されていないだろうし。
でもこの子達については大丈夫ですよ。
ちゃんと仮契約を済ませて、異変が有れば直ぐ分かりますし、生後半年過ぎると普通種より変調が3割増しくらいですから」
「3割増し?3倍の間違いではなくて?」
「信じがたいですよね。
成体になる率が1割で、丈夫な種族でも3倍から4倍は弱いと言われていたんですから。
流石に幼獣でも小さな頃は少し大変でしたが、成体と同じような体型になってからは格段に楽になりましたよ」



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