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第1章

添い寝

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幼体は銀狼が帰ってからは元気がない。
自分だけで森に行けないことは分かっているようで、雛が訓練に行っている3日間は毎日薬草を採取がてら、幼体の食事のために森に出かけていた。
夜は毛布を持ち込んで幼体と一緒に寝床で寝た。

雛を引き取りに町に行くため、ルゼに幼体を見てくれるように頼んだ。
薬師ギルドに常時依頼の薬草とポーションを納品し、銀狼が森に帰ったことを伝えた。
次に冒険ギルドに行き、養い親が帰ったが幼体が落ち着くまでは出来る限り事前に連絡して欲しいと頼んだ。
帰ろうとしたらギルド長に呼ばれ、貸馬屋から変異種の引き取り依頼が来たが、育ててみないかと提案された。
レナードのところに馬がいないことと、検証もやって欲しいと。
幼体の遊び相手にもなるし、大人になれば移動の手段が増えるからと引き受けた。
検証結果を提出をする代わりに安くしてくれるというので後で寄る約束をした。

雛は飛べるようになっていた。
まだ下手だが生き餌も食べられるようになったらしい。
半年ほどは数ヶ月おきに訓練をするようで、成長が楽しみである。
有用な情報のお礼にと魔物の肉を持たされた。
まだ目に見えた効果は出ていないが、食べる量と勢いが増えたらしい。
子馬を引き取るために預かり場に行くと、近くで何やら揉めていた。
最近産まれた狼犬の2匹が変異種で珍しいからと引き取ったが、弱くて手がかかるから養育費を出すか、他の子と交換しろと言って、どちらも出来ないと断ったために喧嘩に発展したらしい。
レナードは2人に、変異種は冒険ギルドで引き取ることが出来るかも知れないと話すと喧嘩を止めた。
結局レナードが2匹を預かり、他の子をもらうことで話し合いは済んだ。
しかし何故か変異種を引き取る話しが広まって、リス魔物や小型のリス猿系や小鳥系魔物数匹の赤ちゃんが集められていた。
周りの住民も困っていたようだがまだ検証中の極秘の案件なので、間違った情報が流れては困ると今日はこのまま預かるが、冒険ギルドや商業ギルドが変異種を引き取るかはあくまでも相談に応じてくれるだけで、必ず引き取るかは保証しないと強く念押しをした。
近所の人の協力で要らない買い物籠や古布などが集まり、赤ちゃん達を荷台に乗せて予定を変更して伝書屋へ向かう。
今回のことをヘルマンさんに話して、話しの流れで勝手に引き取って来てしまったが、小鳥達を引き受けてもらえないか聞いてみた。
荷台まで来て見てもらうと、狼犬以外は果実を好む種族だから魔性植物園のが良いのでは?と言われたので、冒険者ギルドで相談することにした。
ヘルマンさんに商業ギルドへの報告を頼み、冒険者ギルドへ向かった。
裏手に回り荷台を預けてギルド長へ取り継ぎを頼んだ。
今回の経緯を説明し、勝手な行動を謝罪した。
冒険者ギルド長も魔性植物園に先ずは相談した方が良いというので、ギルドの馬車を借りて赤ちゃん達を全部乗せて出発した。
ギルドから先触れを出してくれたのでスムーズに入園出来た。
狼犬も警備要員として欲しいが、現状では従魔術や幻獣術のスキル持ちが居ないため、果実や木の実が主食の小型種だけ引き受けてくれることになった。
職員に動物好きがいて、園内でも検証したいという申し出を検討中だったため、すんなり決まったようだ。
この町の魔性植物園は変異種の小型魔物を引き受ける噂が広まり、集まった変異種のコーナーを作ったことでその後爆発的な人気スポットになったのは別の話し。

結局狼犬の子犬2匹と子馬を荷台に積み、魔性植物園からの大量の果実と種、ヘルマンさんからの魔物の肉を積み込み、日用品や自分の食事以外の買い物をしなくて済んだ。
子馬は牛舎に、子犬達は幻獣舎にそれぞれ寝床を作った。
子馬はベテランの母牛が張り切って面倒を見てくれることになった。
頼もしい限りである。
子犬達は幼体の隣に、もらった籠に藁を詰めて布をかぶせ毛布をかけた。
幼体は新しい小さな生き物に興味があるのかソワソワしており、銀狼シルバーウルフが居なくなってからはじめて少し元気になった。
食事を幻獣舎に持って行くと、3匹が仲良く眠っていた。
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