幻獣士の王 ーとある魔性植物園ー

瑠璃垣玲緒

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始動編

観察記録Sその1

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 リス猿系観察記録
~ 1班Bチーム~

 1日目 曇り
 此処ら辺ではあまり見かけない魔物だ。
 でもクリッとした目が愛らしい!
 あとで従魔士に本には載っていない情報を聞いて来なければならない。
 リス系魔物と同じ5種類を用意し、半分にする。
 果実の種類はリス系参照。
 それを更に半分の大きさに切り分ける。
 小ぶりのコーヒーカップに入れて前に置く。
 カップに近付き、興味深げに中を覗いて、おもむろに1欠片を取った。
 しきりに匂いを嗅ぎ、ペロッと舐めた。
 美味しかったようで慌てるように食べた。
 他も気になるようで軽く匂いを嗅ぐと次々に夢中になって食べていた。
 手が果汁でベタベタになっているが、催促するように声を出す。
 何度鳴いても追加が来ないと分かると、手についた果汁を舐めとっていた。
 恨めしそうにこちらを見ているが、データを取るためと適量が分からないため、心を鬼にして視線に耐える。
 あぁ、欲しがるだけあげたい!
 1週間お昼だけ同じメニューにすることを2人で話し合って決める。
 朝と夜はゲージには餌を入れてある。
 雑食らしいが、人が食べる物は果物以外は与えないように従魔士や調教師に言われた。
 味を覚えてしまうと、空腹時や好物だと人から奪う個体もいるらしいので、これからのことを考えてペットの餌か、果実、味付けや余計な加工をしていない一部の野菜以外は与えないように、誰かが手作りしたらしい飼育書にも書かれてあった。
 食後の運動にと中庭に連れて行く。
 警戒しているのか、しきりに匂いを嗅いでいる。
 走り出して一番近くの木に登ったが、しばらくキョロキョロと周りを見回しただけですぐに戻って来た。
 今は膝の上に座って、尻尾を腕に巻き付けられ、遠くを見ている。

 2日目 晴れ
 リスと違い特に好き嫌いはないように感じる。
 昨日は匂いを嗅ぐ時間が長かったが、今日は少し嗅いだだけで直ぐに食べていた。
 あっという間に食べ尽くし、昨日同様手の果汁を舐め取っていた。
 庭に行き地面に降ろすと、一旦こちらを許可をもらおうとするかのようなすがるような眼差しで見つめて来た。
 行っておいでと声をかけると、昨日と同じ木に登って行った。
 昨日よりも少し高いところに登ったものの、同じく直ぐに降りて来た。
 知らないところで不安なのだろうか?

 3日目 曇りのち晴れ
 今日も食事に関しては変化なし。
 運動については、地面に降ろした直後はチラチラと振り向くものの、許可を出すと素早く木に登って行った。
 昨日と同じくらいの高さだが、木にいる時間が少し長かったような気がする。
 これからは時計を見て、大体の時間を計測して記録しておこうかな?
 今日で僕の当番は終わる。
 いまは引き継ぎ中だ。
 体調は3日間は特に気になるほどの症状は見られなかった。
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