上 下
95 / 242

16 麗しの王女シルファー・ファイルド_03

しおりを挟む
   *          *

『女占い師さん、徹夜、お疲れ様でした。どうか、お体を大切になさって下さいね!』

 翌朝早くに目を覚ましたハルコンは、女占い師に思念を同調させると、さっそく「天啓」をひとつ送った。

『お気遣いありがとうございます、ハルコン様。私、これ位なら全然へっちゃらですよ!』

 女占い師が心の声で明るくそう告げるのだが、……なかなかガッツあるなぁと、ハルコンは素直に感心した。

 さっそく彼女の視野を借りて部屋の周囲を見渡すと、陛下と笑顔で話をしている美しい少女を見かけた。

 へぇー。一体誰だろう?
 思わず気になって、そのまま少女の様子を窺っていると、

『シルファー第二王女殿下ですよ。まだ8歳とお若いのに、大変お美しくて聡明な方でいらっしゃいます』

 そう心の声で、女占い師が教えてくれた。

 ハルコンは、殿下の常人ならざる美しさに、思わず目を奪われていた。
 先ず、彼女は、プラチナブロンドのストレート髪を肩まで伸ばし、すらりとしつつもメリハリのある身体をされていた。

 際立つのは、トパーズのように透明感のある、オレンジがかったイエローのつぶらな瞳。
 更には、知的につんと細い鼻先、バラの咲いたような情熱的な唇。知性がかったように細く整えられた眉など、その全てが絶妙に素晴らしかった。

 ミラの美しさ、可憐さも中々なのだが、……それとはまた違った、情熱と知性、二面性のある麗しさが、殿下からは随所に垣間見えるのだ。

『シルファー殿下は、戦後復興期に生まれ、希望の世代の象徴と呼ばれています。現在は学生の身分で、王立学校には王宮から毎日通われていらっしゃるのですよ!』

『へぇーっ!』

『王立学校での授業に加え、王室での厳しい高等教育も率先して学んでいらっしゃいます。だからでしょうか、……同年代の子達よりも幾分大人びた考え方をされますし、兄殿下や姉殿下のための講義にくっ付いて参加されると、幼いながらも教師に質問なさったりするそうです』

 どうやら、シルファー殿下は高等教育も積極的に学ばれる、頑張り屋さんのようだ。
 ハルコンは、殿下から前世の自分とどこか似た雰囲気を感じ取り、何かいいなぁと思った。

 おや? ここで、ふと気付いたことがひとつ。
 シルファー殿下の側仕えの侍女が、どうやらその様子からNPCだということ。

 ハルコンは、その見た目17、8歳のNPCに思念をアクセスさせると、難なく同調できたため、とりあえず位置情報などを把握できるよう紐づけした。

 これで、今後殿下がどこにいらっしゃろうがアクセスできるね、とハルコンは思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生貴族の異世界無双生活

guju
ファンタジー
神の手違いで死んでしまったと、突如知らされる主人公。 彼は、神から貰った力で生きていくものの、そうそう幸せは続かない。 その世界でできる色々な出来事が、主人公をどう変えて行くのか! ハーレム弱めです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

転生したら死にそうな孤児だった

佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。 保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。 やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。 悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。 世界は、意外と優しいのです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

流石に異世界でもこのチートはやばくない?

裏おきな
ファンタジー
片桐蓮《かたぎりれん》40歳独身駄目サラリーマンが趣味のリサイクルとレストアの資材集めに解体業者の資材置き場に行ったらまさかの異世界転移してしまった!そこに現れたのが守護神獣になっていた昔飼っていた犬のラクス。 異世界転移で手に入れた無限鍛冶 のチート能力で異世界を生きて行く事になった! この作品は約1年半前に初めて「なろう」で書いた物を加筆修正して上げていきます。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...