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おまけSS 夏真っ盛り…なアツアツ♡
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「高山さん! 暑い、重い……暑い~っ!!」
夏の盛り。侑人はリビングで暑苦しさに悶えていた。
というのも、先ほどから高山がべったりと張りついているのだ。外は茹だるような暑さで、帰宅するなりクーラーをガンガン効かせたのだが――ソファーに寝転がった途端にこれである。
しかも、ただ抱きつくだけでは飽き足らず、頬や首すじに唇を押し当ててきたり、服の中に手を突っ込んできたりと好きにされている。ついでに引き剥がそうと躍起になっても、びくともしないのが余計に腹立たしい。
「おいこらっ……せっかく冷房効かせたってのに」
「んー? 設定温度、もう少し下げるか?」
「そういう問題じゃねーし! ああもう、なんでそんなベタベタしたがるんだよっ」
侑人がそう叫ぶと、高山はようやく顔を上げてくれた。
「なんだ、悪いかよ?」
「……正直、夏場は暑くてやだ」
恨めしげな目を向けつつ、ぼそりと呟く。すると、ため息が小さく返ってきたのだった。
「はいはい、わかったよ」
高山は身を起こすと、そっと距離を置いてみせる。
意外すぎる反応に、侑人は驚いて目を瞬かせた。てっきり、うやむやにされるかと思ったのだが。
(あ~涼しい……)
高山が離れたことで、ようやく体感温度も下がってくる。侑人はのびのびとソファーに寝転がるも、なんだか少し落ち着かない心地だった。
◇
(いや、さすがに距離置きすぎだろ!?)
高山は数日経っても、今までと打って変わって淡白な態度だ。
普段どおりに話はするが、抱きつかれたり、キスされたりといったことが一切なくなった。寝るときだって、すぐに寝息を立てているし、夜の営みもすっかりお預け状態である。
言い出したのはこちらだし、ありがたいはずなのだが――こうなると寂しさが募るというかなんとやら。
……と、悶々としながらリビングで過ごしていたら、高山が帰宅した。
とうとう我慢しきれなくなった侑人は、その大きな体に思いきって抱きつく。
「おいおい。シャワーも浴びてねえし、汗臭いぞー?」
高山は困ったように笑うも、身を離そうとはしなかった。侑人は胸元にぐりぐりと頭を擦りつけながら、返事をする。
「気にならないから、べつにいいし」
「ったく。夏場は暑くて、嫌なんじゃなかったのか?」
「……ごめん」
「ん?」
「やっぱ、高山さんにそうやって避けられると……ちょっと寂しいっていうか」
正直に打ち明けると、高山が微かに笑う気配がした。優しく頭を撫でられて、侑人も心地よさに目を細めたのだが――、
「まあ俺も、こうなることを期待していたわけだが」
「なっ!?」
とんでもないことを言われ、侑人は勢いよく顔を上げた。すると、高山のニヤけ顔が目に入り、さらに顔が熱くなってしまう。
「もしかして、わざと……っ」
「さあ、どうだろうな?」
「も、もう知らない!」
しかし、そんな反応もお見通しだとばかりに抱き寄せられては、もはやどうしようもない。そのまま腕の中に閉じ込められて、低い囁きが降ってくる。
「で、どうする? 一緒に風呂でも入るか?」
「っ!」
――結局、この甘さにほだされてしまうのだ。
侑人はムッと眉根を寄せながらも、静かに頷くほかなかった。
夏の盛り。侑人はリビングで暑苦しさに悶えていた。
というのも、先ほどから高山がべったりと張りついているのだ。外は茹だるような暑さで、帰宅するなりクーラーをガンガン効かせたのだが――ソファーに寝転がった途端にこれである。
しかも、ただ抱きつくだけでは飽き足らず、頬や首すじに唇を押し当ててきたり、服の中に手を突っ込んできたりと好きにされている。ついでに引き剥がそうと躍起になっても、びくともしないのが余計に腹立たしい。
「おいこらっ……せっかく冷房効かせたってのに」
「んー? 設定温度、もう少し下げるか?」
「そういう問題じゃねーし! ああもう、なんでそんなベタベタしたがるんだよっ」
侑人がそう叫ぶと、高山はようやく顔を上げてくれた。
「なんだ、悪いかよ?」
「……正直、夏場は暑くてやだ」
恨めしげな目を向けつつ、ぼそりと呟く。すると、ため息が小さく返ってきたのだった。
「はいはい、わかったよ」
高山は身を起こすと、そっと距離を置いてみせる。
意外すぎる反応に、侑人は驚いて目を瞬かせた。てっきり、うやむやにされるかと思ったのだが。
(あ~涼しい……)
高山が離れたことで、ようやく体感温度も下がってくる。侑人はのびのびとソファーに寝転がるも、なんだか少し落ち着かない心地だった。
◇
(いや、さすがに距離置きすぎだろ!?)
高山は数日経っても、今までと打って変わって淡白な態度だ。
普段どおりに話はするが、抱きつかれたり、キスされたりといったことが一切なくなった。寝るときだって、すぐに寝息を立てているし、夜の営みもすっかりお預け状態である。
言い出したのはこちらだし、ありがたいはずなのだが――こうなると寂しさが募るというかなんとやら。
……と、悶々としながらリビングで過ごしていたら、高山が帰宅した。
とうとう我慢しきれなくなった侑人は、その大きな体に思いきって抱きつく。
「おいおい。シャワーも浴びてねえし、汗臭いぞー?」
高山は困ったように笑うも、身を離そうとはしなかった。侑人は胸元にぐりぐりと頭を擦りつけながら、返事をする。
「気にならないから、べつにいいし」
「ったく。夏場は暑くて、嫌なんじゃなかったのか?」
「……ごめん」
「ん?」
「やっぱ、高山さんにそうやって避けられると……ちょっと寂しいっていうか」
正直に打ち明けると、高山が微かに笑う気配がした。優しく頭を撫でられて、侑人も心地よさに目を細めたのだが――、
「まあ俺も、こうなることを期待していたわけだが」
「なっ!?」
とんでもないことを言われ、侑人は勢いよく顔を上げた。すると、高山のニヤけ顔が目に入り、さらに顔が熱くなってしまう。
「もしかして、わざと……っ」
「さあ、どうだろうな?」
「も、もう知らない!」
しかし、そんな反応もお見通しだとばかりに抱き寄せられては、もはやどうしようもない。そのまま腕の中に閉じ込められて、低い囁きが降ってくる。
「で、どうする? 一緒に風呂でも入るか?」
「っ!」
――結局、この甘さにほだされてしまうのだ。
侑人はムッと眉根を寄せながらも、静かに頷くほかなかった。
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