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おまけSS 意地っ張りなヤキモチ
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「高山さん、駄目だって」
「まだ六時だし、ちょっとくらい構わねえだろ」
「っ、高山さんのバカ」
高山はベッドの上で、侑人とじゃれつくようなキスを交わす。
今日は平日で互いに仕事がある。にも関わらず、うっかり朝から盛り上がってしまったのだ。
「侑人、可愛い――」
ちゅ、ちゅっと軽いリップ音を立てながら、素肌に何度も唇を押しつける。
侑人はくすぐったそうに身をよじりつつも、満更でもない様子でこちらの背に腕を回してきた。そのままぎゅっと抱きついて、自ら求めようとする。
「……ん」
二人して裸のまま――昨夜もさんざん愛し合ったのは言うまでもないが、それはそれというもの。セックスも好きだが、こうしてキスをするだけでも心が満たされていくのを感じる。
ところが不意に鳴り響いた着信音が、甘い雰囲気を打ち破ってきた。高山は内心で舌打ちをし、やれやれとスマートフォンに手を伸ばす。
液晶画面に表示されていたのは、新年度から入社してきた女性社員の名前だった。もう教育係を請け負うような若手でもないのだが、直属の上司として受け持つことになってしまったのだ。
(確かに、『何かあったらいつでも相談してくれ』とは言ったが)
侑人に断りを入れてから通話に出たものの、要件は大したものではなく、いくつか業務に関して確認されただけだった。
通話はものの数分で終わったが、少しどうなのかとも思ってしまう。ただ、相手は異性なだけに、そう強くも出られないのが正直なところだ。
「誰からだよ? ……なんか若い子だったみたいだけど」
見れば、侑人が不満そうに唇を尖らせている。高山は苦笑して、宥めるように頭を撫でた。
「新入社員の子。ちょっと気になることがあったみたいでな」
「『気になること』って緊急でもないのに? こんな時間に非常識じゃん」
「それだけ熱心なんだろ。ま、あとでそれとなく言っておくさ」
「……高山さん、ちょっと人が良すぎ」
納得がいかないといった様子で、侑人がそっぽを向く。どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
「なんだ、ヤキモチか?」
高山が冗談めかして言うと、侑人はむすっとしたまま胸元にすり寄ってきた。「そんなわけないだろ」と一蹴されるものと思っていたのだが、
「悪いかよ」
ぼそりと呟いて、こちらを見上げてくる。その頬はほんのりと赤く色づいており、まるで拗ねた子どものようだった。
「べ、べつに嫌とかじゃなくて。高山さんの面倒見がいいところ、俺も好きだし。いつも俺のこと考えてくれてるのもわかってるし……けど、高山さんってモテるから」
「………………」
まさか本気で嫉妬しているというのか――そう考えただけで、なんだか無性に嬉しくなってしまう。普段は素っ気ない態度が多いだけに、こういった素直な反応を見せられるともうたまらない。
「侑人」
高山は衝動のまま、侑人の体に覆い被さった。そうして、顔中にキスの雨を降らせていく。
「っん、なんだよ突然」
「さっきの続き。俺はお前しか見えてないってこと、あらためてわからせないとな」
「なっ……んなことしなくても、疑ってなんかないって」
「でも、まだモヤモヤしたまんまだろ? 顔にそう書いてある」
ニヤリと笑って、間近で顔を覗き込む。図星をつかれたであろう侑人は、気恥ずかしげに目を伏せた。
「……出社前なのに」
「大丈夫だって。シャワーの時間入れてもまだいけるだろ」
首筋から鎖骨にかけて、ゆっくりと唇を這わせる。軽く吸い上げてやれば、うっすらと赤い痕が残った。
侑人は抵抗らしい抵抗をせず、「もう……」と呆れながらもされるがままだ。それでいて、どこか期待に満ちた眼差しをこちらへ向けている。その態度がまたいじらしくて仕方ない。
(っとに、罪づくりなヤツだよ)
苦笑しつつ、期待に応えるように再び唇を重ねる。そうして、時間ギリギリまで互いを求め合うことになるのだった。
「まだ六時だし、ちょっとくらい構わねえだろ」
「っ、高山さんのバカ」
高山はベッドの上で、侑人とじゃれつくようなキスを交わす。
今日は平日で互いに仕事がある。にも関わらず、うっかり朝から盛り上がってしまったのだ。
「侑人、可愛い――」
ちゅ、ちゅっと軽いリップ音を立てながら、素肌に何度も唇を押しつける。
侑人はくすぐったそうに身をよじりつつも、満更でもない様子でこちらの背に腕を回してきた。そのままぎゅっと抱きついて、自ら求めようとする。
「……ん」
二人して裸のまま――昨夜もさんざん愛し合ったのは言うまでもないが、それはそれというもの。セックスも好きだが、こうしてキスをするだけでも心が満たされていくのを感じる。
ところが不意に鳴り響いた着信音が、甘い雰囲気を打ち破ってきた。高山は内心で舌打ちをし、やれやれとスマートフォンに手を伸ばす。
液晶画面に表示されていたのは、新年度から入社してきた女性社員の名前だった。もう教育係を請け負うような若手でもないのだが、直属の上司として受け持つことになってしまったのだ。
(確かに、『何かあったらいつでも相談してくれ』とは言ったが)
侑人に断りを入れてから通話に出たものの、要件は大したものではなく、いくつか業務に関して確認されただけだった。
通話はものの数分で終わったが、少しどうなのかとも思ってしまう。ただ、相手は異性なだけに、そう強くも出られないのが正直なところだ。
「誰からだよ? ……なんか若い子だったみたいだけど」
見れば、侑人が不満そうに唇を尖らせている。高山は苦笑して、宥めるように頭を撫でた。
「新入社員の子。ちょっと気になることがあったみたいでな」
「『気になること』って緊急でもないのに? こんな時間に非常識じゃん」
「それだけ熱心なんだろ。ま、あとでそれとなく言っておくさ」
「……高山さん、ちょっと人が良すぎ」
納得がいかないといった様子で、侑人がそっぽを向く。どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。
「なんだ、ヤキモチか?」
高山が冗談めかして言うと、侑人はむすっとしたまま胸元にすり寄ってきた。「そんなわけないだろ」と一蹴されるものと思っていたのだが、
「悪いかよ」
ぼそりと呟いて、こちらを見上げてくる。その頬はほんのりと赤く色づいており、まるで拗ねた子どものようだった。
「べ、べつに嫌とかじゃなくて。高山さんの面倒見がいいところ、俺も好きだし。いつも俺のこと考えてくれてるのもわかってるし……けど、高山さんってモテるから」
「………………」
まさか本気で嫉妬しているというのか――そう考えただけで、なんだか無性に嬉しくなってしまう。普段は素っ気ない態度が多いだけに、こういった素直な反応を見せられるともうたまらない。
「侑人」
高山は衝動のまま、侑人の体に覆い被さった。そうして、顔中にキスの雨を降らせていく。
「っん、なんだよ突然」
「さっきの続き。俺はお前しか見えてないってこと、あらためてわからせないとな」
「なっ……んなことしなくても、疑ってなんかないって」
「でも、まだモヤモヤしたまんまだろ? 顔にそう書いてある」
ニヤリと笑って、間近で顔を覗き込む。図星をつかれたであろう侑人は、気恥ずかしげに目を伏せた。
「……出社前なのに」
「大丈夫だって。シャワーの時間入れてもまだいけるだろ」
首筋から鎖骨にかけて、ゆっくりと唇を這わせる。軽く吸い上げてやれば、うっすらと赤い痕が残った。
侑人は抵抗らしい抵抗をせず、「もう……」と呆れながらもされるがままだ。それでいて、どこか期待に満ちた眼差しをこちらへ向けている。その態度がまたいじらしくて仕方ない。
(っとに、罪づくりなヤツだよ)
苦笑しつつ、期待に応えるように再び唇を重ねる。そうして、時間ギリギリまで互いを求め合うことになるのだった。
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