ゲイ卒したいのに、何故かスパダリセフレに溺愛&求婚されてます!

有村千代

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おまけSS はじめて、そして二回目(第4.5話)(2)★

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 連れてこられた先は、特別教室棟の男子トイレだった。あれよあれよという間に個室に押し込まれ、後ろ手で鍵を閉められてしまう。

「ちょ、どこ連れてきてっ」

 抗議しようにも、すぐさま唇を塞がれて言葉を紡げなくなった。
 咄嗟のことに動揺しながらも、なんとか押し返そうと試みる。が、ねっとりと舌を絡め取られればその気も失せ、だんだんと頭がぼうっとしてきた。

「ん、んー……っ」

 じきに侑人は抵抗をやめ、されるがままになっていた。
 高山の舌が口内を蹂躙していく。上顎や舌裏など弱いところを責められれば、それだけで腰が砕けそうになる。

(やばい……気持ちいい)

 全身が熱を帯びて、下肢には甘い疼きを感じていた。このままではまずいと思うものの、体が動いてくれない。

「っ、高山……せんぱい」

 息継ぎの合間にせめてもの理性で呼びかけると、高山はようやく唇を解放してくれた。その顔はどこか浮かない顔だ。

「……本城のヤツ、人の気も知らないで」
「えっ?」

 高山がぽつりと呟く。けれど、すぐに頭を振った。

「何でもねえよ」

 言って、侑人の体をくるりと反転させる。背後から抱きしめられたかと思うと、ズボン越しに股間をまさぐってくるのだった。

「な、なにしてっ」
「見ればわかるだろうが。お前に触りたくなったんだ」
「はあ!?」
「いいだろ、ちょっとぐらい。すぐ終わらせる」

 理解が追い付かない。どうしてこのような事態になってしまったのか――困惑しているうちにも、高山の手がベルトへと伸びていた。

「こっ……ここ、どこだと思ってんだよ!」

 さすがに理性が働き、どうにか引き剥がそうとする。が、力負けして両手首を掴まれてしまった。
 高山は片手で一纏めにすると、そのまま壁に押さえつけてくる。そして、もう一方の手で器用にベルトを外し始めるのだった。

「そうだな、あんま騒ぐなよ。こんなところ、昼休みに来るヤツもそういないだろうが――〝もしかしたら〟ってことはあるからな」

 カチャリという金属音がやけに響くような気がして、侑人の心臓が大きく脈打つ。
 抵抗しようにも身動きが取れず、

「っ、このヤリチン!」小声で悪態をつくほかない。

 当然、高山は楽しげに口元を歪めるばかりである。

「おっと。自分だって誘ってきたくせに、随分な言いぐさだな」
「それは……でも、こんなのっ」
「今さら意地張るなよ。あの日のこと――忘れられなかったんだろ?」

 言いながらズボンのチャックが下ろされ、下着ごと膝下まで脱がされてしまう。露わになった下半身に外気の冷たさを感じる暇もなく、今度は直接握り込まれた。
 すでに反応しかけているそこは、少し触れられただけで硬度を増していく。

「あ……あっ、やだ」
「だから、すぐ終わらせてやるって」
「っは、先輩」

 高山の手の動きに合わせて、熱っぽい吐息が漏れる。
 その反応に気をよくするかのように、高山は手淫を強めた。

「どこが感じやすい? 裏筋? それとも先っぽ?」

 指先が裏筋をなぞり上げていく。先端から透明な蜜が溢れ出せば、今度はそれを塗り込むようにして、先の方をぐりぐりと刺激された。

「ぅ、あっ――わ、かんな……っ」
「ん? わかんないってことはないだろ?」
「だ、だって……ぜんぶ、きもちいい、からぁ」

 思わず本音を漏らす。すると、高山が小さく苦笑する気配がした。

「こいつは参ったな。優等生にいけないこと教え込んでるみたいだ」静かに声を落とし、「……俺がいなきゃ、満足できない体にしてやりたい」

 そう続けると、耳朶を柔らかく食んでくる。
 ねっとりと舌で舐められ、侑人は背筋の震えが止まらなくなった。時折息を吹きかけられれば、もうたまったものではない。

「やっ、あ、それだめえ……っ」
「なんだ、耳弱いのか? 真っ赤にしちまって可愛いな」

 反応がいいと見るや、高山は耳への愛撫を執拗に繰り返した。その間も手の動きが止まることはなく、緩急をつけながら屹立を扱き上げてくる。
 限界が訪れるのも、もはや時間の問題だった。

「ん、あっ、も……出るっ――」

 迫りくる絶頂感に全身を震わせる。
 そうして次の瞬間には、高山の手に熱を吐き出していた。

(あ、ああ……)

 絶頂とともに、快感という快感が押し寄せてきてたまらない。侑人は顔を蕩けさせながら、ぐったりと壁に身を預ける。
 と、そんなことをしていたら、高山が緩やかに抱き寄せてきた。

「こーら。寄りかかるなら、こっちにしろよ」
「高山先輩……」

 促されるまま、脱力するようにして高山の胸に寄りかかる。くすぐったい気分を味わいながらも、何故だか悪い気はしなかった。
 しかし、高山の手元に目を落とした途端、侑人はハッと我に返ることになる。高山もそれに気づいてか、「ああ」と見せつけるように手のひらを広げてみせた。

「……この量は、昨日ヌいたばかりか?」
「っ、最悪!」

 本当に最悪だ。他人の精液をまじまじと見る輩がどこにいるというのか。

 羞恥に顔を赤くさせると、高山はおかしそうに笑ってみせた。汚れた手をトイレットペーパーで拭い、きちんと身なりを整えてくれるのだが、あまりの調子の良さにムッとしてしまう。

「何なんだよ、もう」
「悪い。お前といると、つい」
「つい、じゃねーし」

 そのようなやり取りを交わしながらも、またもや高山が抱きしめてくる。背後から肩に顔を埋められる形になり、侑人は小さく身じろいだ。

「おい……もういいだろ、放せよ」

 だが、高山は応じない。それどころか首筋へと口づけてくる。

「ん、っ」

 侑人の口から鼻にかかった声が漏れ、高山が笑みをこぼすのがわかった。
 立て続けに腰から尻にかけて撫で回されてしまい、たまらず身をよじるのだが、

「続きは放課後までお預けな。お前が望むなら、いくらでも抱いてやるよ」
「!」

 ドキリ、と心臓が大きく飛び跳ねる。
 何も言葉を返せないまま、高山は身を引いて個室から出て行ってしまった。まるで、からかうかのように。
 一人取り残された侑人は、しばらくの間呆然とする。

「……むっかつく。なんで上から目線なんだよ」

 やっとのことで紡げたのは、そんな文句だけだった。
 ただ、毒づきながらも、高山に触れられた部分が熱を帯びているような気がしてならない。同時に心地よさのようなものを感じ、なんだか妙な気分にもなってしまう。

(俺って、こんなに性欲強かったっけ――)

 放課後のことを考えると気が気でなくて、胸の高鳴りは一向に治まりそうになかった。
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