66 / 113
番外編 寂しがり屋のひとりえっち♡(2)★
しおりを挟む
(そっか。高山さん、帰ってこないんだ)
心の中で呟くと、急に寂しさが込み上げてくる。
いや、どうせ明日になれば会えるのだ。起きていても仕方がないし、今日はもう寝てしまおう――そう考えて、さっさと部屋の電気を消すことにする。
しかし、なかなか寝付けない。寝返りを打ちながら深呼吸を繰り返すも、一向に眠気が訪れる気配がなかった。
「眠れない……」
小一時間ほど経っただろうか。
ふと瞼を開ければ、高山の枕が目に入ってなんだか物悲しくなった。何となしに手繰り寄せてみると、微かに匂いが残っており、胸が締め付けられる心地がする。
(そんなつもりじゃ、ないのに――)
いつの間にやら、下腹部に熱が集まっていた。
侑人は下着の中へ手を入れると、己の欲望をそっと握り込む。ふとした罪悪感を覚えながらも、そのままゆっくりと上下に動かし始めた。
「んっ、は」
一度火がついてしまったからには、自身を慰める手はもう止まりそうにない。
高山に触られているときのことを思い出し、脳裏に浮かぶ手つきを真似てみせれば、先端からとろお……っと蜜が溢れだした。
その滑りを借りて激しく責め立てていくものの、侑人の眉根が切なげに寄る。
(っ、やっぱ物足りない。後ろが、疼いて……っ)
何度も高山に抱かれ、さんざん教え込まされた体だ。今さらこんなもので事足りるはずもないのだと思い知らされてしまう。
我ながら恥ずかしくてたまらない。けれど、どうしようもなくて、侑人はベッド脇のサイドボードへと手を伸ばした。
取り出したのはローションのチューブ。そして、つい先日購入したばかりの品が入った収納袋だった。
「うわあ……」
中から出てきたものを見て、思わず顔を引きつらせる。
――バイブレーション機能が搭載された、電動アナルビーズ。柔らかなシリコン素材をしており、全長は二十センチほど。直腸の奥まで届くような代物である。
(ネットでこんなのまで買っちゃって。俺、何してんだろ)
自慰の物足りなさと欲求不満、そして高山に対する恋しさが募った末に、魔が差したのだ。実を言うと、最近はすっかりこれに頼りっぱなしである。
侑人は下着ごとスウェットパンツを脱ぎ捨てると、枕を抱えながらうつ伏せになり、後孔にたっぷりとローションを塗りつけた。
アナルビーズの先端は親指ほどのサイズで、根本にかけて徐々にサイズアップしていく形状だ。もしものことを思ってセックスの準備はしていたし、これくらいなら潤滑剤さえあればすぐにでも入ってしまう。
「ん、ぅ――」
後孔にアナルビーズを宛がうなり、躊躇うことなく押し進めていく。
挿入はスムーズだった。ぼこぼことしたビーズの一つ一つが肛門を広げてきて、そのたびに何とも言い難い快感を味わう。
やがて根元まで埋め込んだのち、侑人は大きく息を吐いた。
(気持ちいい……っ)
無機質な道具を挿れているだけなのに、結腸の入り口まで入り込んでくるものだから、たまらなくゾクゾクする。
取っ手を掴んで引き抜こうとすれば、内壁が気持ちよく擦れて、さらなる快感をもたらした。弾力性の強い素材で出来ているせいか、密着感があって吸い付くような感覚を覚える。
「っふ……ぁ」
腹筋に力を入れながら、緩やかに最後まで引き抜いた。
それから再び奥まで挿入し、今度は少しだけ速く動かしてみる。すると、ビーズの凸凹とした感覚が鋭く伝わってきて、思わず腰が抜けそうになってしまった。
「あっ、ん、高山さん……」
侑人は枕に顔を埋めて、高山の匂いを嗅ぎながら行為に没頭していく。手つきも次第に大胆なものになり、気づけば夢中でアナルビーズを動かしていた。
ただ、いくら快楽を得られるとはいえ――やはり無機質なものに変わりない。
高山とのセックスのように、体の底から熱くなって、身も心も満たされるような感覚がないのだ。それが寂しくて、虚しくて仕方がなかった。
「高山さんのが、ほしい……よおっ」
瞳を潤ませ、切ない気持ちで呟く。よほど弱っているのか、自分でも驚くほど甘ったれた声が出た。
求めたところで仕方ないのに、と頭を振る――だが、そのときだった。
突然、玄関の鍵が開く音がしたかと思うと、バタバタと慌ただしい足音が近付いてくるではないか。
心の中で呟くと、急に寂しさが込み上げてくる。
いや、どうせ明日になれば会えるのだ。起きていても仕方がないし、今日はもう寝てしまおう――そう考えて、さっさと部屋の電気を消すことにする。
しかし、なかなか寝付けない。寝返りを打ちながら深呼吸を繰り返すも、一向に眠気が訪れる気配がなかった。
「眠れない……」
小一時間ほど経っただろうか。
ふと瞼を開ければ、高山の枕が目に入ってなんだか物悲しくなった。何となしに手繰り寄せてみると、微かに匂いが残っており、胸が締め付けられる心地がする。
(そんなつもりじゃ、ないのに――)
いつの間にやら、下腹部に熱が集まっていた。
侑人は下着の中へ手を入れると、己の欲望をそっと握り込む。ふとした罪悪感を覚えながらも、そのままゆっくりと上下に動かし始めた。
「んっ、は」
一度火がついてしまったからには、自身を慰める手はもう止まりそうにない。
高山に触られているときのことを思い出し、脳裏に浮かぶ手つきを真似てみせれば、先端からとろお……っと蜜が溢れだした。
その滑りを借りて激しく責め立てていくものの、侑人の眉根が切なげに寄る。
(っ、やっぱ物足りない。後ろが、疼いて……っ)
何度も高山に抱かれ、さんざん教え込まされた体だ。今さらこんなもので事足りるはずもないのだと思い知らされてしまう。
我ながら恥ずかしくてたまらない。けれど、どうしようもなくて、侑人はベッド脇のサイドボードへと手を伸ばした。
取り出したのはローションのチューブ。そして、つい先日購入したばかりの品が入った収納袋だった。
「うわあ……」
中から出てきたものを見て、思わず顔を引きつらせる。
――バイブレーション機能が搭載された、電動アナルビーズ。柔らかなシリコン素材をしており、全長は二十センチほど。直腸の奥まで届くような代物である。
(ネットでこんなのまで買っちゃって。俺、何してんだろ)
自慰の物足りなさと欲求不満、そして高山に対する恋しさが募った末に、魔が差したのだ。実を言うと、最近はすっかりこれに頼りっぱなしである。
侑人は下着ごとスウェットパンツを脱ぎ捨てると、枕を抱えながらうつ伏せになり、後孔にたっぷりとローションを塗りつけた。
アナルビーズの先端は親指ほどのサイズで、根本にかけて徐々にサイズアップしていく形状だ。もしものことを思ってセックスの準備はしていたし、これくらいなら潤滑剤さえあればすぐにでも入ってしまう。
「ん、ぅ――」
後孔にアナルビーズを宛がうなり、躊躇うことなく押し進めていく。
挿入はスムーズだった。ぼこぼことしたビーズの一つ一つが肛門を広げてきて、そのたびに何とも言い難い快感を味わう。
やがて根元まで埋め込んだのち、侑人は大きく息を吐いた。
(気持ちいい……っ)
無機質な道具を挿れているだけなのに、結腸の入り口まで入り込んでくるものだから、たまらなくゾクゾクする。
取っ手を掴んで引き抜こうとすれば、内壁が気持ちよく擦れて、さらなる快感をもたらした。弾力性の強い素材で出来ているせいか、密着感があって吸い付くような感覚を覚える。
「っふ……ぁ」
腹筋に力を入れながら、緩やかに最後まで引き抜いた。
それから再び奥まで挿入し、今度は少しだけ速く動かしてみる。すると、ビーズの凸凹とした感覚が鋭く伝わってきて、思わず腰が抜けそうになってしまった。
「あっ、ん、高山さん……」
侑人は枕に顔を埋めて、高山の匂いを嗅ぎながら行為に没頭していく。手つきも次第に大胆なものになり、気づけば夢中でアナルビーズを動かしていた。
ただ、いくら快楽を得られるとはいえ――やはり無機質なものに変わりない。
高山とのセックスのように、体の底から熱くなって、身も心も満たされるような感覚がないのだ。それが寂しくて、虚しくて仕方がなかった。
「高山さんのが、ほしい……よおっ」
瞳を潤ませ、切ない気持ちで呟く。よほど弱っているのか、自分でも驚くほど甘ったれた声が出た。
求めたところで仕方ないのに、と頭を振る――だが、そのときだった。
突然、玄関の鍵が開く音がしたかと思うと、バタバタと慌ただしい足音が近付いてくるではないか。
47
お気に入りに追加
649
あなたにおすすめの小説
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……
鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。
そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。
これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。
「俺はずっと、ミルのことが好きだった」
そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。
お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ!
※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる