上 下
38 / 110

第6話 愛しい人へ捧ぐ未来(5)★

しおりを挟む
「あ……っ、ん」

 返事をする暇もなかった。間髪をいれずに指が増やされ、手首を回しながら抜き挿しされてしまう。
 高山は快感を与えるというより、受け入れる準備が整うよう仕向けているのだ。そうとわかっていても体は快楽を覚えており、早くも三本目の指を呑み込もうとしていた。

「もう柔らかくなった。指もこんなに呑み込んで――」
「んっ、あ……」

 そこはすっかり高山の形を覚えてしまっているようで、もっと欲しいとばかりに収縮を繰り返す。
 次第に物足りなくなって腰を揺すれば、高山がいやらしく口角を上げて言った。

「何が欲しい?」

 何度訊かれたかもわからないその言葉。今までは「オヤジくさい」の一点張りで、大した返事などしてこなかった。
 が、意地を張るのも終わりだ。侑人は高山の首に腕を回し、思いのままに言葉を紡ぐ。

「っ、はやく――高山さんのが、ほしい」

 恥ずかしげもなく懇願してみせると、高山は愛おしげに目を細めて頭を撫でてきた。

「おねだり、上手になったな。……ゴム付けるから少し待ってろ」

 高山の手が枕元へと伸びる。しかし、侑人はその手を掴んで引き戻してやった。

「も、我慢できないから……このまま、挿れて」

 自ら臀部を左右に広げ、秘所をさらけ出す。
 すると、高山がわずかに息を呑む気配がした。余裕のない表情を見せるなり、すぐさまこちらに覆い被さってくる。

「本当にいいのか、ゴム付けなくて」
「いい、から……はやく」

 急かすように言えば、獲物を狩る猛獣のようなそれと視線がかち合い、背筋がゾクゾクと震えるのを感じた。

 高山は昂った自身を取り出して、侑人の膝裏を抱え上げてくる。
 先走りを塗りつけるように先端が押し当てられれば、侑人の頭は期待でいっぱいになった。後孔も先ほどからずっとヒクつきを見せてやまない。

「挿れるぞ」

 そんな言葉とともに熱い楔が打ち込まれる。待ち望んでいた質量に、侑人は喉を反らして喘いだ。

(高山さんのが、ナマで入ってきてる……っ)

 薄い膜の隔たりがないだけに、高山の雄々しい形がはっきりと伝わってくる。
 視線を落とせば、生々しいそれが自分の中に埋め込まれていく様を目の当たりにし、居たたまれない気分になった。今になって、部屋の電気が点けっぱなしだったことを思い出す。

「こーら、なに顔隠してんだ」

 さりげなく顔を隠そうとしたのだが、高山に目ざとく見抜かれてしまった。すかさず手首を掴まれ、シーツへと縫い留められる。
 悪あがきにそっぽを向いてみるけれど、今度は顎を掴まれて正面を向かされてしまう。

「こっち見ろよ、侑人」

 言いながら、高山は腰を進めてくる。内壁を押し広げながらゆっくりと満たされていく感覚に、侑人の顔がとろんと蕩けだした。

「あっ、あぁ……」
「可愛いな。とろっとろに顔蕩けさせちまって」
「ん……やだ、見んなあっ」
「そいつは無理な相談だ。ほら、もう少しで全部入るぞ」
「ぁ、あっ……ん」

 唇を塞がれ舌を絡め取られる。その間も下半身はどんどん密着していき、やがてすべてが収まると、高山は動きを止めてこちらを見下ろしてきた。

「あー、すげえ気持ちいい」

 前髪をかき上げながら、どこか恍惚とした笑みを浮かべる。その色気にあてられて、侑人は思わず中を締めてしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そばにいてほしい。

15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。 そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。 ──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。 幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け 安心してください、ハピエンです。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

処理中です...