ゲイ卒したいのに、何故かスパダリセフレに溺愛&求婚されてます!

有村千代

文字の大きさ
上 下
33 / 115

第5話 あと一歩の気持ち(6)★

しおりを挟む
「高山さん――俺、も」

 その先は言葉にならなかった。
 代わりに、空いていたもう一方の手を自らの下腹部に伸ばしていく。おずおずと下着の中に手を入ると、すでに濡れそぼっている自身を握って上下に扱きだした。

「やらしいヤツだな。我慢できなかったのか?」

 言葉にされて羞恥が沸き立ったが、一度動きだした手は止まらない。侑人は恨めしげに高山の顔を見上げた。

「誰のせいだと……」
「っは、俺だな。責任はとってやるよ」

 軽く笑ってこちらの手を取ると、高山は腰を寄せて互いのものを擦り合わせる。そして、手を重ねたまま一纏めに握り込んだのだった。

「……っ、ん」

 先端同士が触れ合えば、まるでキスでもしているかのように先走りが糸を引いた。
 互いの熱や脈動を感じ取るうち、どちらからともなく手を動かし始める。最初はゆっくりだった動きが次第に速くなり、いつの間にか侑人は夢中になって快感を追っていた。

(やばいこれ、擦れて……)

 裏筋が擦れる感覚に身震いしながら、無意識のうちに自分のものを押し付けてしまう。すると、それに応えるかのように高山が力強く握り込んできた。

「侑人、腰揺れてる」
「だって、きもちい……っ」

 背中を丸めて、与えられる快楽に身を委ねる。
 次第に息が上がってきて限界が近いと見るや、高山の手つきが変わった。射精を促すようにカリ首を扱かれ、鈴口を指先でぐりぐりと弄られる。
 そのあまりの気持ちよさに侑人は身悶え、高山の首筋に顔を埋めて喘いだ。

「や、ぁ、高山さん……もう、だ、だめ……っ」
「イきそう?」
「んっ、も、出る――イく、イくうっ」

 押し寄せる快楽に抗うこともできずに、呆気なく熱を放つ。
 けれど、高山の手淫は終わらない。射精後の余韻に浸る間もなく与えられる刺激に、侑人は息を乱して震えるばかりだ。

「あっ、やだ、あっ……あぁ!」
「っ、もう少し」

 高山から吐息混じりの声がこぼれる。それから間もなくして、こちらに煽られたかのように高山の昂ぶりが熱を放った。

「……は、っ」

 二人分の白濁が混ざり合い、互いの手を汚していく。その感覚にすら感じてしまい、侑人は熱っぽく息を漏らした。

(絶対、熱上がった……)

 脱力しながら、ぼんやりと考える。
 やがて絶頂の波が引いていくと、高山がわざわざ温かい濡れタオルを作って体を拭いてくれた。

「ほら、ティッシュで拭くよりいいだろ」
「ん……」

 侑人は小さく返事をしてされるがままになる。体力を消耗したせいか、急激に眠気が襲ってきていた。

「疲れたか?」
「今ので、完全に体力持ってかれた」
「そいつは悪いことしたな」
「悪いなんて思ってないくせに」

 拗ねたように言えば、高山は苦笑を浮かべて髪をくしゃくしゃとかき回してきた。

「まあ、否定はしない。お前も気持ちよさそうにしてたしな」
「っ、もう寝る!」

 体を反転させて背を向ける。
 すると、高山が笑う気配とともにベッドが再び沈んだ。すぐに背後から抱きしめられる格好になり、くすぐったいような気恥ずかしいような気持ちを味わう。

 言うなら、今しかない。そう思った侑人は、顔を背けたまま口を開いた。

「あ……あのさ、高山さん。今年のクリスマスはこんな感じになっちゃったけど……来年、またリベンジさせてよ。次はプレゼントなんかも用意するからさ――」

 これだけは伝えておきたいと、どうにか言葉を紡ぐ。
 返事など照れくさくて聞いていられなかったので、「お、おやすみ!」と告げて知らんぷりを決め込むことにした。

 高山はしばらく黙っていたが、やがてうなじに口づけが落とされたかと思うと、耳元でそっと囁いてきた。

「ああ、楽しみにしてるよ」

 その声音はひどく穏やかだった。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川パナ
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

酔った俺は、美味しく頂かれてました

雪紫
BL
片思いの相手に、酔ったフリして色々聞き出す筈が、何故かキスされて……? 両片思い(?)の男子大学生達の夜。 2話完結の短編です。 長いので2話にわけました。 他サイトにも掲載しています。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

処理中です...