上 下
17 / 110

第3話 恋人としての距離感(3)★

しおりを挟む
「ん、ぅ……」

 くちゅっ、と唾液の交わる音。何度も角度を変えながら口づけが繰り返されれば、次第に頭がぼうっとしてくる。
 それでもまだ理性は残っていて、襟元を緩めてくる高山の手をやんわりと制した。

「高山さん、ここじゃ」
「ああ悪い、ついがっついちまった。ベッド行くか」

 高山が苦笑を浮かべながら言う。かと思えば、ソファーの横で片膝立ちになり、侑人の体を軽々と抱き上げてきた――いわゆる《お姫様抱っこ》である。

「っわ、あ!?」
「おっと暴れるなよ。落っことしちまうだろ?」

 突然の浮遊感に、侑人は慌てて高山の首にしがみつく。困惑やら羞恥やらで目を白黒させる間にも、寝室へと移動した。
 ベッドに到着すると優しく横たえられて、再び高山が被さってくる。視線が交わるなり、二人の唇は自然と重なった。

「んっ……は」

 唇のみならず、額や頬にもキスを落としながら、高山がネクタイを解いてくる。

 気がつけば、Yシャツのボタンはすべて外されていた。
 高山の唇は首筋から鎖骨へと下りていき、時折強く吸い付いて鬱血の痕を残していく。それも、すぐには消えないよう同じ箇所にしつこく。毎度、困ったものである。

「っ、痕つけんなっていつも言ってんのに」
「いいだろ。ネクタイ締めてれば見えねえっての」

 悪びれることなく言って、高山はさらに痕を残そうとする。
 同時に、大きな手のひらが脇腹から胸元へと這い上がってきた。肌の感触を楽しむかのように撫で回されたあと、胸の突起をきゅっと摘まれる。

「ふ……っ、あ」

 指先で転がされたり、爪で引っかかれたりするうちに乳首はぷっくりとして、むず痒い痺れが広がっていく。じきに触られていない方も疼いてきて、侑人は自ら無意識のうちに押し付けていた。
 高山は心得たようにもう片方へと唇を寄せてくる。舌先で転がすように突起を舐められ、快感がゾクゾクと背筋を伝ってきた。

「んっ、あぁ……」

 ちゅうっ、と音が立つほどに吸われたあと、今度は優しく歯を立てられる。緩急をつけた愛撫に翻弄され、侑人は背を仰け反らせながら身悶えるしかない。
 息はすっかり上がっていて、下腹部も先ほどから疼きっぱなしだ。もっと強い刺激がほしい――そう訴えたくても素直に口に出せるはずもなく、もどかしげに両膝を擦り合わせる。

「なんだ? ここ、もう辛いか?」
「……っ」

 言わずとも伝わったらしい。高山の手がするすると下腹部へ下りていく。
 侑人のものは布地を押し上げるどころか、スラックスにまで薄っすらと染みを作っていた。それを目にした高山は、当然目を細めていやらしく笑う。

「あーあ、スラックス汚しちまって。どんだけ興奮してるんだ、このスケベめ」
「あ、あんたには言われたくないっ」
「まだ悪態つくのかよ……ま、体に訊いた方が早いか」
「ちょ、いきなりっ」

 前を寛げられたかと思えば、次の瞬間には下着ごとスラックスを剥ぎ取られてしまった。
 冷たい外気に晒され、勃起しきった侑人のものがふるりと震える。先端は先走りで濡れそぼっており、高山の手によって糸がつうっと引く様を見せつけられてしまう。

「っ、あ……」
「反応よすぎ。もうとろっとろじゃん」

 高山が先走りを掬い取るようにして指を滑らせてくる。裏筋をなぞられ、根元から先端にかけて扱かれ、自身はさらに蜜を溢れさせていく。
 早くも侑人は達してしまいそうになり、慌てて高山の袖口を掴んだ。

「やっ、あ……ま、待って、高山さんっ」少しの間のあと、震える声で告げる。「そっちじゃ、なくて……」

 そう待ったをかけると、高山は手を止めてこちらの顔を覗き込んできた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

将軍の宝玉

なか
BL
国内外に怖れられる将軍が、いよいよ結婚するらしい。 強面の不器用将軍と箱入り息子の結婚生活のはじまり。 一部修正再アップになります

浮気な彼氏

月夜の晩に
BL
同棲する年下彼氏が別の女に気持ちが行ってるみたい…。それでも健気に奮闘する受け。なのに攻めが裏切って…?

毒/同級生×同級生/オメガバース(α×β)

ハタセ
BL
βに強い執着を向けるαと、そんなαから「俺はお前の運命にはなれない」と言って逃げようとするβのオメガバースのお話です。

処理中です...