てなずけたポメラニアンはSubで鬼上司でした

有村千代

文字の大きさ
上 下
20 / 63

第3話 もっと支配されたい(5)★

しおりを挟む
「蓮也もこっちおいで」
「あ、待っ……」
Comeおいで
「!」

 コマンドで言いつけられ、弾かれたように犬飼の体が反応した。腕を引かれるままベッドに乗り上げると、股間を隠すこともなく羽柴に寄り添う。

「そう、お利口さん。蓮也はでいい子だね――脱ぐの見られて興奮した?」

 羽柴は含みのある言い方をすると、ふっと視線を落とした。その先にあるものを意識するだけで、犬飼の興奮がより高まっていく。

「そっ、それもあるが……君に、褒められて」
「ふうん、褒められて嬉しくなっちゃったんだ?」
「……っん」

 羞恥に頬を赤らめつつも、犬飼は小さく頷いた。

 強いコマンドには抵抗が生じるものだが、信頼関係のあるパートナーに限っては、さらなる幸福感を得ることができる。嬉しくて、気持ちよくて、それこそサブスペースに至るほどに。

 犬飼もまた羽柴に心酔しきって、次なるコマンドを期待してやまなかった。Subとしての本能が、支配を求めずにはいられない。

「よしよし、蓮也はコマンド出されるの大好きだね。もっと満たしてあげたいな」

 羽柴が指先で顎の下をくすぐってくる。とろんとした眼差しで見上げれば、熱っぽく視線が絡み合った。

「羽柴が望むこと、全部……してほしい」
「Domに向かって、そんなこと言っていいの?」
「い……いい、羽柴なら――なんでも、言うこときくからっ」

 頭がふわふわとして、欲求を満たすことしか考えられない。
 もっと命令してほしいし、褒めてほしい。その一心で、羽柴の顔に手を伸ばし、ねだるようにその唇を舐めてみせる。

 すると、羽柴は犬飼の体をベッドに押し倒してきた。そうして、艶っぽい笑みとともに囁く。

「蓮也の綺麗な体、もっと見せてくれる? Crawl四つん這い

 脳髄にまで染み渡るコマンドに、犬飼は言われるがまま体を動かした。おずおずと四つん這いになり、自分の肩越しに相手の表情をうかがう。

 その様子に気をよくしたのか、羽柴はくつくつと喉奥で笑った。上体を起こして、犬飼の尻を撫でてくる。

「ご褒美はまだお預けだよ? 次はお尻を上げて、Present恥ずかしい所を見せて

 告げられたのは、最上位のコマンドと言っても過言ではない。
 無抵抗の状態で局部を晒せ――すなわち、「Subが服従の意を込め、自らをDomに捧げる」ということだ。

 もはや、羞恥も理性も存在し得ない。犬飼はSubとしての悦びを感じながら、尻を高々と上げた。

「っ、はぁ……あ、羽柴、できた……」

 コマンドを遂行できたことが嬉しくて、恍惚の笑みを浮かべる。と、羽柴は満足げに頷いてみせた。

「ありがとう、蓮也。すごく素敵だよ、Good boyいい子

 尾骨のあたりにキスしたかと思うと、尻たぶを鷲掴みにしてくる。
 そのまま左右に割り開かれて、あられもない箇所が露わとなった。はしたなくヒクつくそこにも、羽柴は唇を落としていく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました

葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー 最悪な展開からの運命的な出会い 年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。 そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。 人生最悪の展開、と思ったけれど。 思いがけずに運命的な出会いをしました。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

絶対服従執事養成所〜君に届けたいCommand〜

ひきこ
BL
少数のDomが社会を支配する世界。 Subと診断された者にはDomに仕える執事となるため英才教育が施され、衣食住が保証され幸せに暮らす……と言われているのは表向きで、その実態は特殊な措置によりDomに尽くすべき存在に作り変えられる。 Subの少年ルカも執事になるほかなかったが、当然そこには人権など存在しなかった。 やがてボロボロに使い捨てられたルカと、彼のことをずっと気にかけていた青年との初恋と溺愛とすれ違い(ハッピーエンド)。 ◆Dom/Subユニバース設定の世界観をお借りしたほぼ独自設定のため、あまり詳しくなくても雰囲気で読んでいただけるかと思います。ハードなSM的描写はありません。 ◆直接的な描写はありませんが、受け・攻め どちらも過去にメイン相手以外との関係があります。 ◆他サイト掲載作に全話加筆修正しています。 ※サブタイトルは試験的に付けており、変更の可能性があります ※表紙画像はフリー素材サイトぴよたそ様よりお借りしています

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

敏感リーマンは大型ワンコをうちの子にしたい

おもちDX
BL
社畜のサラリーマン柊(ひいらぎ)はある日、ヘッドマッサージの勧誘にあう。怪しいマッサージかと疑いながらもついて行くと、待っていたのは――極上の癒し体験だった。柊は担当であるイケメンセラピスト夕里(ゆり)の技術に惚れ込むが、彼はもう店を辞めるという。柊はなんとか夕里を引き止めたいが、通ううちに自分の痴態を知ってしまった。ただのマッサージなのに敏感体質で喘ぐ柊に、夕里の様子がおかしくなってきて……? 敏感すぎるリーマンが、大型犬属性のセラピストを癒し、癒され、懐かれ、蕩かされるお話。 心に傷を抱えたセラピスト(27)×疲れてボロボロのサラリーマン(30) 現代物。年下攻め。ノンケ受け。 ※表紙のイラスト(攻め)はPicrewの「人間(男)メーカー(仮)」で作成しました。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

処理中です...