てなずけたポメラニアンはSubで鬼上司でした

有村千代

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第3話 もっと支配されたい(5)★

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「蓮也もこっちおいで」
「あ、待っ……」
Comeおいで
「!」

 コマンドで言いつけられ、弾かれたように犬飼の体が反応した。腕を引かれるままベッドに乗り上げると、股間を隠すこともなく羽柴に寄り添う。

「そう、お利口さん。蓮也はでいい子だね――脱ぐの見られて興奮した?」

 羽柴は含みのある言い方をすると、ふっと視線を落とした。その先にあるものを意識するだけで、犬飼の興奮がより高まっていく。

「そっ、それもあるが……君に、褒められて」
「ふうん、褒められて嬉しくなっちゃったんだ?」
「……っん」

 羞恥に頬を赤らめつつも、犬飼は小さく頷いた。

 強いコマンドには抵抗が生じるものだが、信頼関係のあるパートナーに限っては、さらなる幸福感を得ることができる。嬉しくて、気持ちよくて、それこそサブスペースに至るほどに。

 犬飼もまた羽柴に心酔しきって、次なるコマンドを期待してやまなかった。Subとしての本能が、支配を求めずにはいられない。

「よしよし、蓮也はコマンド出されるの大好きだね。もっと満たしてあげたいな」

 羽柴が指先で顎の下をくすぐってくる。とろんとした眼差しで見上げれば、熱っぽく視線が絡み合った。

「羽柴が望むこと、全部……してほしい」
「Domに向かって、そんなこと言っていいの?」
「い……いい、羽柴なら――なんでも、言うこときくからっ」

 頭がふわふわとして、欲求を満たすことしか考えられない。
 もっと命令してほしいし、褒めてほしい。その一心で、羽柴の顔に手を伸ばし、ねだるようにその唇を舐めてみせる。

 すると、羽柴は犬飼の体をベッドに押し倒してきた。そうして、艶っぽい笑みとともに囁く。

「蓮也の綺麗な体、もっと見せてくれる? Crawl四つん這い

 脳髄にまで染み渡るコマンドに、犬飼は言われるがまま体を動かした。おずおずと四つん這いになり、自分の肩越しに相手の表情をうかがう。

 その様子に気をよくしたのか、羽柴はくつくつと喉奥で笑った。上体を起こして、犬飼の尻を撫でてくる。

「ご褒美はまだお預けだよ? 次はお尻を上げて、Present恥ずかしい所を見せて

 告げられたのは、最上位のコマンドと言っても過言ではない。
 無抵抗の状態で局部を晒せ――すなわち、「Subが服従の意を込め、自らをDomに捧げる」ということだ。

 もはや、羞恥も理性も存在し得ない。犬飼はSubとしての悦びを感じながら、尻を高々と上げた。

「っ、はぁ……あ、羽柴、できた……」

 コマンドを遂行できたことが嬉しくて、恍惚の笑みを浮かべる。と、羽柴は満足げに頷いてみせた。

「ありがとう、蓮也。すごく素敵だよ、Good boyいい子

 尾骨のあたりにキスしたかと思うと、尻たぶを鷲掴みにしてくる。
 そのまま左右に割り開かれて、あられもない箇所が露わとなった。はしたなくヒクつくそこにも、羽柴は唇を落としていく。
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