××な君にヒロイン役は似合わない

有村千代

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おまけSS 事後、浴槽にて ★

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「はー、あったかくて気持ちいいですねー」
 背後、というより頭上から雅の声が聞こえてくる。ため息交じりに玲央は口を開いた。
「さすがに無理あんだろーが」
「ええ? 一緒にお風呂入るのよくないですか?」
「そーゆー問題じゃねえよ」
 玲央と雅は、自宅の狭い浴槽に浸かっていた。
 行為後はいつもシャワーで済ませるのだが、「一緒にお風呂入りたいです」と雅が唐突に言いだしたのだ。
 仕方なく付き合ったものの、男二人で入るにはやはり窮屈で、玲央の体は完全に雅の上に乗っかっていた。
「つか、コレ重くねーの?」
「全然ですよ。むしろ、玲央さんのこと触りたい放題で嬉しいです」
 雅がそっと太腿を撫でてくる。かと思えば、股間の方へ手が伸ばされた。
「なっ!?」
「あ、まだ柔らかいですね」
 言いながら、窄まりに指を押し込んでくる。
 ベッドの上で散々掻き回されたそこは、何の抵抗もなく異物を受け入れて、再び柔らかく蕩けていく。
「ばかやろっ、ちょ……デカくすんな!」
 熱く硬いものを背に感じて身をよじった。まさかと思ったら、
「これなら、俺のも入っちゃいそうかな」
(やっぱりかよっ!?)
 内心でツッコミを入れる。己の性欲に対し、ここまで正直なのはいかがなものか。
「おいコラ! 雅!」
「挿れるだけだから」
 指を引き抜くと、雅は自身を何度か扱いてから挿入してくる。
「ちょ……あ、あぁ……っ」
「すごい――玲央さんの中、まだトロトロだ」
「っ、バカッ……」
 あっという間に屹立が奥まで侵入してきて、熱い吐息が漏れた。
 己のそこがヒクヒクと収縮を繰り返すのがわかる。先ほどまでの行為を思い出して、胸が切なくなるのを感じた。
「んっ……は、あ……」
 あるのは少しの期待だ。ところが、雅は黙って抱きしめてくるだけだった。
(クソ、いつからこんな……)
 歯痒さに唇を噛みしめる。与えられぬ快感を残念がっている自分がおかしかった。あんなにも交わったあとなのに、と。
 どうしようもできずに、息をゆっくり吐いて情欲を抑えようとする。そんな玲央に気づいたのか、クスッと雅が笑った。
「もしかして物足りない?」
「は!? ンなわけ……あぁっ!」
 体を持ち上げられて、緩いストロークで揺さぶられる。狭い浴槽の中、ざぶざぶと湯が波立って羞恥の念に駆られた。
「あっ、く……バカ、こんなとこでっ!」
「あれっ、そうなんですか? 玲央さんが欲しがってるように思えたんですけど――いらないんだ?」
 言って、雅は律動を止めてしまう。
 思わず彼の方へ目を向けると、そっと結合部を指先で撫でられた。
「玲央さんのここ……きゅってしてる。どうして俺のこと放してくれないんですか」
「わ、わかってるクセに、なんで訊くんだよ」
「だって、玲央さんの口から聞きたい」
「………………」
 口をつぐんでしまうも、答えなんて一つに決まっている。
 彼の手にかかれば、プライドなんて少しも意味を成さない。本心では、身も心もすべて委ねたいと思っているのだから。
「ばか……早く、しろ……」
 その精一杯の言葉に、ふっと雅は笑った。
 そして、こちらの体を抑えながら立ち上がるなり、再び屹立を奥まで穿ってくる。
「っ、あぁ!」
 堪らず浴槽の縁に手をついて悶えた。体勢を整える間もなく最奥を執拗に擦られて、淫らな喘ぎが喉をついて出る。
「そこばっか、こすんな……あ、あぁっ」
「玲央さんってば本当に可愛い。後ろからのときはこうされるの、大好きですよね」
「す、好きなんか、じゃ……っ」
「ふふ、嘘。――奥のところ、ぐりぐりされるのイイでしょ?」
「や……あっ、あぁぁッ」
「ほら。玲央さんの奥、ちゅっちゅって俺に吸いついてくる……もっと奥まで届くかな?」
「ひあっ!? あ、くっ、ふかいっ……ふかすぎだから、ぁっ!」
 最奥だと思っていたそこを抜けて、より深くまで雅のものが届く。さらに強い力で刺激を送り込まれれば、痺れるような快感が脳天を突き抜けていった。
 こんな快感は知らない。体がゾクゾクと震え、全身が総毛立つ感覚を味わいながら、ただ玲央は嬌声をあげた。
「あ、あんっ、ン、あ、は……っ」
「中がすっごくうねってますよ……玲央さん、気持ちいい?」
「っあ、ん――いいっ……!」
 意図せず零れ落ちた言葉に、雅がほくそ笑む気配がした。
 その後、玲央は足腰が立たなくなるまで抱かれることになり、己の言動を振り返っては後悔するのだった。
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